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2023年7月 5日 (水)

文部科学省の「生成AIの学校での取り扱い 暫定的なガイドライン」

★NHK(2023年7月4日 15時16分)の記事「 生成AIの学校での取り扱い 暫定的なガイドライン公表 文科省」によると、「生成AIの学校での取り扱いについて、文部科学省は暫定的なガイドラインを公表しました。読書感想文などのコンクールで生成AIの文章をそのまま提出することは適切ではないとする一方、グループ学習や英会話などでの活用が考えられるとしています」とあります。

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(Bing Image Creator によって作成;「フラクタル幾何学が次元をあげているイメージを描いてください」とプロンプト入力)

★創作物をAIでつくるのは、基本禁止ということがメインのようです。AIを使う時の許可の手続きやリスクマネジメント、倫理観の育成なども細かくガイドラインがつくられていて、現場ではほっと一息でしょうか。NHKの記事では、AIを活用した授業も紹介されていて、ガイドラインにそって今後もAIを有効に使った授業を展開しようと。

★紹介されていた授業は、子どもたちが文章を読んで、自分たちなりに理解のプロセスを可視化した段階で、同じ問いを教師がAIに投げかけて、すぐに出てきたAIと子どもたちの考えと照合して、リフレクションしていくという感じの授業でした。

★AIの速さに生徒は驚き、自分たちと同じような回答をしているのにさらに驚きと。AIは自分たちよりまだまだだなと思える回答がでるような問いを投げかけると今後はもっとおもしろくなるかなと。

★今回のガイドラインをつくるにあたって、このことは学校だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあるので、政府は、AIを巡る主な論点整理を相当リサーチしています。私たちが思いつくような点については網羅されており、新聞などのメディアではそこまで細かく論じられていません。もちろん、アカデミックな論文は逆にもっとすごいでしょう。

★その資料の一部にこんな図があります。

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★こんなに生成AIが創られてきて、半導体の莫大な使用によってchatGPT4は凄いことになっているというグラフがあって、日本は開発に遅れているかもしれないから、右の図のように体制を整えようというものです。半導体開発競争に政府が懸命になっているのもわかります。

★AI開発をする高度デジタル人材育成は必須だというわけですから、初等中等教育段階で、注意して使うガイドラインは当然重要なわけです。

★私たちは、この論点整理やガイドラインに書かれていない点をさらに探して安心安全(があるかどうかわかりません。原発のような防げないリスクを内包しているかもしれません)な枠組みの中で、AIを活用したイノベーションやクリエイティブ活動を行っていけるような教育環境をデザインする必要があります。

★イノベーションやクリエイティブ活動を包摂しているのがアントレプレナーシップ教育ですが、よくこのアントレプレナー人材は0を1にすることができるが、AIにはまだできないと言われます。

★しかし、0から1を創るということ自体メタファーであり、そんなことが事実としてあるのかどうかは、判断が難しいですね。悠久の歴史の中にある既存の知識が、組み合わさって、新しい知識や概念、アイデアが生まれてきました。それが混合的な組み合わせだとクリエイティビティを感じない可能性がありますが、化学反応的組み合わせだと、0から1が生まれたような感覚になります。

★こういう文脈で行けば、生成AIはクリエイティブティがあるともいえるのです。フラクタル次元が1次元から1から2の間の次元に上がる計算がなされているようなことは、起こるのでしょう。

★また、プロンプトエンジニアリングというコードを使わないエンジニアリングがここ数カ月の間で話題になっています。NHKで取り扱っているぐらいです。

★これは探究において、あるいはアントレプレナーシップ教育にとって、必要な問いの生成のエンジニアリングです。教師がつくった問いに答えた回答をAIの回答と照らし合わせるだけではなく、生徒自身が問いをつくるトレーニングを生成AIでもできるのです。

★教室において、将棋界の藤井壮太さんのように、年齢を超えてしまう生徒が続出することになる状況を、これから学校が生み出す勇気があるかどうかです。

★高校などでは、PBLなどのような「主体的・対話的で深い学び」では、AI活用を許可するとなると思いますから、必然的にそういうことになるでしょう。教師と生徒の関係は、協働学習者という関係にシフトする場面もでてくることになると思います。

★筑波大学の一般選抜の方法が面接や小論文などで実施する予定を発表しています。AI以上のメタ思考力をトレーニングせざるを得ない状況シフトはすでに生まれているのかもしれません。

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