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2023年7月

2023年7月31日 (月)

改革がうまういくのは、メンタルモデルとコンセプアクションの化学反応が起こる自然と社会と精神と超自然の諸関係結合の教育環境デザイン次第

★改革がうまくいくのは、あるいは善い雰囲気に変容するのは、簡単に言えば、共感的コミュニケーションが充満しているということ。リーガルな側面から見ると、ハラスメントがないということ。守旧派がふんばっているのも、過激に改革パッケージを振り回すのも、ハラスメントで、そんな状態では改革は長持ちしない。

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★経済的な視点からみると、才能が生まれる自由なコミュニケーションが保障されていること。道徳的な視点からみると、権力的ルールが抑圧力を持っていないこと。イノベーションからみると、AI主義や科学主義になっていないこと。生徒募集から見ると、学歴社会を振り回さないこと。進路指導から見ると、人の人生を決めつけないこと。

★しかし、現実はなかなかうまくいかない。それはどの側面から見ても、それはコミュニケーションを必要としているからであり、コミュニケーションはお互いに心理学的にアンコンシャスバイアスを持っているから、互いのこの心の壁を受け入れながら、変容させていく対話ができるかどうか。

★言語処理と数理処理の側面から見ると、つまいr、これはリベラルアーツの側面から見ると、互いの判断のフレーム構成が違うといこと。文化的には価値観が違うというコト。

★対話を心理学的に見ているだけでも、社会学的に見ているだけでも、教育学的にも見ていても、どうしてこんなアンコンシャスバイアスや判断のフレームの違いが生まれるのかはなかなか解明できない。

★だから、現場では、うまくいった学校の共感的コミュニケーションのマインドセットや行動、チームづくりや組織作りの観察、ヒアリングしかないのかもしれない。

★その多様な事例を通して、結局創意工夫するしかない。

★しかし、ある条件を設定すると、なぜか改革が自己組織化されていく。互いの判断のフレームをぶつけ合うのではなく、化学反応を起こして第三の判断フレームを生み出し、共有して改革はうまくいく。

★もちろん、そのフレームは進化し続けるのだが。

★ともあれ、この状況を共感的コミュニケーションの生成と進化と持続可能性という状況がコンコンと生まれるわけだ。

★その最初の条件設定が肝心なのだ。これが実は教育環境デザインのクライテリアである。図の各人の体内に描いた小さい図がそれだが、それについては次回述べたい。

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SGSの「工学院、聖学院、和洋九段女子の生徒たち」が連携して教育フィールドワーク 面白いことになります!

工学院、聖学院、和洋九段女子(五十音順)の生徒が、互いの学校を見学して、教育フィールドワークをしています。3校の教育環境デザインはそれぞれ特徴的です。当然学びそのものもユニークです。そのユニークさが、教育環境に反映しているとも言えるし、特徴ある教育環境がユニークな学びをアフォードしているともいえます。教育環境と学びは相互に関係しているわけです。

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(写真は工学院サイトから)

★フィールドワークですから、互いの教育環境を観察し、そしてディスカッション、リフレクション、フィードバックを行っています。一見簡単なこのような「考動」も、実は3校ともプロジェクト学習がベースになっているから、違和感なく、すぐにプロジェクト考動を遂行できるのです。

★それになんといっても、3校とも先輩にアントレプレナーとしてのレジェンドがいるのです。しかも、当然グローバルに活躍するアントレプレナーです。

★その伝統を受け継いだ3校の生徒たちです。当然この活動はグローバルアントレプレナーシップに結びつきます。SDGsの深イイ取り組みも3校とも共通していますから、そのゴールである教育やパートナーシップなど互いにビビット来ているでしょう。

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(写真は工学院のサイトから)

★21世紀型教育を推進している経営者をSGM(スーパーグローバルマネージャー)と呼び、その教師をSGT(スーパーグローバルティーチャー)と呼んでいますが、いよいよSGS(スーパーグローバルスチューデント)が出揃ったのです。

★SGSは、C1英語取得も可能なグローバルな学びをしているし、その活動はプロジェクトベースです。思考は体験の中で対話と行動をしながらの「考動」タイプです。STEAMや探究活動、エッセイライティングや小論文などタイトな学びもGRITよろしくやってのけています。

★そして大事なのは、ケアの精神や共感的コミュニケーションです。

★社会課題を自ら見出して、学校を越境して、解決する政策だけではなく、プロダクトを創り、社旗貢献型の新市場を創出するグローバルアントレプレナーシップの持ち主です。

★さて、SGSたちは、今後どんなストーリーを描いていくのでしょう。大いに楽しみです。

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2023年7月30日 (日)

地球沸騰化時代を冷やすことは可能か?脱GDPは可能か?歴史に学ぶ。

★今月になって、猛暑が日本のみならず世界でも同時多発しています。国連 グテーレス事務総長が、「地球温暖化の時代は終わりました。地球沸騰化の時代が到来したのです」と宣言したニュースは当然でもあり、改めて衝撃的でした。すでに1972年「成長の限界」が世にこのままでいいのかと問い、コンピュータシュミレーションで、2030年ごろから地球環境はおかしくなるぞと警鐘を鳴らしていました。それが今のSDGSに結びついていることは周知のことですが、なかなかうまくいかないですね。1970年代オイルショックが起こりましたし、そしてリーマンショックもありました。そのたびに、GNPやGDPという指標ではない、たとえばブータン指標などが取り上げられましたが、なかなか。。。

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(図はBingが作成)

★今回もグテーレス事務総長は、≪脱GDP(Beyond GDP)≫を改めて宣言していますね。大事なことではありますが、すでに今春までのパンデミック(終わってはいませんが)の間中、ダボス会議では、グレートリセットとかステークホルダー資本主義とか、強欲資本主義のパラダイム転換を説いていました。しかし、その兆候はまだまだでしょうか。とはいえ、そんな意識が生まれていることも確かです。

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★新学習指導要領で誕生した「歴史総合」。この学びについて、現場では喧々諤々ですが、上記のような書(3部作の1つ)が発刊されて、近世から始まる近代の歴史を、高校生と学ぶ新たな機会の重要性を示す1つの方向性も生まれています。近代から始めるのではなく、近代のエンジンで1つである資本主義のシステムの萌芽が生まれる近世から始めているのがいい感じです。

★脱GDPというのは、結局資本主義と民主主義の矛盾が生まれる根源的システムを突きとめ、根っこから断つことが必要です。しかし、そのシステムはいくら現状の資本主義を調べてもみえにくいのです。なぜなら、そのシステムは民主主義が合法的に認めてしまっているからですね。

★そこが合法的になる前に、むき出しになっていた時代は、実は中世から近世にかけてです。そこを民主主義的合法的なシステムにして目立たないようにしたのは、多くの世界で、そのむき出しのままのシステムが、恐竜が絶滅するかのように、いきなり倒れたからでしょう。もちろん、徐々にではありますが、エントロピーは増大するのです。

★ローマ帝国などはそうですね。それは神聖ローマ帝国とか、手を変え品を変え、第1次世界大戦まで生き残りますが、姿を消します。しかし、それは、またまた合法的に生き残る道を探していまも続いています。それは第二次世界大戦に馬脚を現し、またまた倒れるのですが、その後も亡霊のように生き残っています。その亡霊がどこから生まれてくるのかその根っこの領域を見つけることが喫緊の課題です。亡霊はGDPとして出現しているわけですが、その亡霊を撃退するには、それが生まれてくる根っこを掘り起こすことが重要です。

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★そんなことを思いめぐらしていたら、多々良穣先生の上記の本に出合いました。近世前より遠い昔の「古典期マヤ」のお話です。私たちが知っているマヤに対する知識がいかにいい加減か、丁寧にコペ転してくださるストーリーはスリリングです。

★そして、マヤ全体としては、インカ帝国やアステカと違って、大航海時代のスペインとの攻防後も今に続いているようなのです。それは何故なのか?それはまさに探究のテーマですが、日本は大航海時代以降、近代化を進めて今日を迎えていますが、マヤはどうなっているのでしょうか。

★マヤが崩壊させた政治システムを日本は合法的に包摂することに成功したという違いがあるのかもしれませんが、それはまだまだ私の妄想です。

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(図はBingが作成。美しいwell-beingなone earthへの願い)

★しかし、近代の歴史を学び、その人新世的な問題意識を持つとともに、近世以前にそれを生み出す資本主義のむき出しの原型を知ることは、もしかしたら脱GDPのヒントになるかもしれませんね。そのむき出しのシステムをパラダイム転換しようとした原アイデアは、サンデル教授ではないですが、アリストテレスでもあります。

★13世紀くらいにヨーロッパで禁書アリストテレスの書に学んだ神学者の発想が、実は資本主義の原理を解禁し、それが強欲にならないようにアリストテレスで理論武装したのですが、その理論武装をスペインの軍事力とイタリアのメディティ家の巧妙な資産運用が破壊していく過程が、近世に現れます。

★スペインの大航海とイタリアのメディティ家のむき出しのシステムを崩壊させる力(結果的にスペイン帝国も自滅していく)と同時にアリストテレス的発想の崩壊の両方を行ったところから、近代が始まるとしたら。。。

★歴史の門外漢である私の妄想ですが、高校生がこんな風に考え試行錯誤して論理を展開していく、資料やデータとして「歴史総合」は重要な役割を果たすかもしれません。

★もっとも、現場では、なぜ近代からなのかとか、意図が読めないとか、全部終えるのは難しいとか同じような疑問が噴出もしています。しかし、最終的には活用方法の方針や課題設定は、現場で創意工夫するようになると思っています。

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2023年7月29日 (土)

大妻中野 妻中思考が生み出すグローバル教育と数理教育

★昨日28日(金)、≪GLICC Weekly EDU 第138回「明日の大妻中野」≫が開催されました。同校の教務主幹高村亮先生の2002年から始まる大妻中野のダイナミックで細心の注意をはらった改革の指数関数的軌跡についてお話をお聴きしました。高村先生の圧巻のカリキュラムマネジメント力には驚愕でした。

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★どうして、このように持続可能な改革の軌跡を描けるのか、そして同時にだからこそ毎年人気が高い学校の理由がよくわかる高村先生のお話です。学校説明会では到底お聞きすることができない氷山モデルでいう水面下でダイナミックに生まれている知の渦巻きについて聴くことができました。

★とにかく、教師も生徒も多様なプロジェクトチームを創って活動しています。その基礎にあるのは、英語とフランス語の複言語の学びがあることがグローバルプロジェクトに発展しているし、教科と探究が結びついていて、知識や情報のリサーチインプットをきちんとして、分析編集していくと同時にアイデアを生み出していく妻中流儀の思考エンジンを、多様な授業の中に展開しています。

★そして、この妻中流儀の思考エンジンは、数理的思考のエンジンだということが他校にはないアドバンテージの高い点でしょう。リベラルアーツという表現もでてきていますが、リベラルアーツは、言語や哲学という文系的領域と数学や天文学、音楽という理数的領域の両方がありますが、すべての生徒が文系理系問わず、高1までに両方をきちんと学ぶのです。文系理系高2になる時に、理科系に変わることも可能な柔軟なカリキュラムになっています。

★このようなフレキシブルで多様な教科と多様なプロジェクトがつながっていて、その環境の学びを通して生徒自身が成長を感じながら学園生活を送れる教育環境をデザインしているわけです。この生徒の成長にとってパワフルでエンパワメントする教育環境をデザインすることが高村先生のカリキュラムマネジメントの使命だそうです。

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(画像はBingに作成してもらいました。文字は私が貼り付けました。)

★それにしても、あらゆる教育領域に共通しているエンジンは、おそらく「試行錯誤ー垂直思考ー水平思考」が何度も循環するらせん状の渦巻きに例えられるでしょう。そしてそのいわば妻中思考エンジンが教師の内面、生徒の内面に生まれ回転しているのでしょう。

★このことについて具体的に丁寧に高村先生は語ってくださっています。ですから、動画をぜひご覧ください。大妻中野の教育の質とパワフルさがこんこんと生まれている理由がわかります。

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2023年7月28日 (金)

21世紀型教育における対話は教師も生徒も保護者もハラスメントがない状態を持続可能にする

★なぜ21世紀型教育か?一つには、ハラスメントのない対話空間を創ろうということがあったのです。本ブログでも共感的コミュニケーションの重要性を幾度も述べてきましたが、それは、20世紀型教育では、愛の鞭とばかりハラスメントが起きていたし、学歴社会をベースに差別発言というハラスメントも起きてきたことは、否めないでしょう。校内暴力や学級崩壊、いじめなど1980年代以降から次々と明らかになった学校の課題の根っこには、ハラスメントがあったということは、今や教育法化現象が新たなステージにシフトする中で隠しようのないことです。

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(画像はBingに作成してもらいました)

★東京私学教育研究所では、理事長校長部会、教頭部会の委員の先生方と毎夏研修を行って、労務関係や法務関係などの研修を、弁護士の先生方をお招きして、行っています。その研修の合間に、私も弁護士先生と対話をする時がありますが、先日、弁護士の先生に21世紀型教育をリーガルな側面からみるとどんな教育ですか?と尋ねたところ、それはハラスメントがない教育ということでしょう。発想の自由は、そこからしか生まれてこないでしょうと。

★さすがは、弁護士先生。私たち仲間が共感的コミュニケーションというのは、ハラスメントがないということを意味していますが、まさか受験生の親に非ハラスメントコミュニケーションとは表現できないので、柔らかく共感的コミュニケーションと言っていたことに気づきました。

★しかし、ずばり教師同士、教師と生徒、生徒同士、教師と保護者、家庭の中など、ハラスメントがない対話空間を形成していくのも21世紀型教育の重要な使命だなと確信したのです。

★では、ハラスメントのない対話とはどういうことでしょう。Bingに、「ハラスメントのない対話の条件について、5項目を挙げてください」と尋ねると、次のように即自回答。

・相手の人格や尊厳を尊重すること。相手に不快感や苦痛を与えるような言動は避けること。
・相手の意見や感情を聞くこと。自分の考えや主張だけを押し付けたり、相手の話を遮ったりしないこと。
・相手との関係性や状況に応じて適切な言葉や態度を選ぶこと。優越感や敵対心を持たず、協力的で建設的な対話を目指すこと。
・相手に対して誠実で正直であること。嘘や誇張、中傷などの不正確な情報を伝えたり、隠したりしないこと。
・相手に対して敬意や感謝の気持ちを表すこと。相手の貢献や努力を認めたり、謝罪やお礼を述べたりすること。

★たしかにすべて重要ですね。しかし、ネット上にある情報を集約してくれているのですから、おそらくこれ以上の深さは解答できないでしょう。実は、このような道徳的言説をきちんと守るには、相当な経験トレーニングをしなくてはなりません。現実の対話の中で、リフレクションしながら参加者が目配り気配りしながら、今の言葉は、態度は、行動は・・・どうなのだろう?と。

★いきなり対話ではなく、ハラスメントになっていないかどうかモニタリングしながら対話をしようという相互内省空間をマインドセットしてから始めていく必要があります。

★しかし、それだけではなかなか難しいのです。

★エスノメソドロジーや役割分析など社会学の視点が必要です。もちろん心理学も大切ですが、それだけでは、社会の枠組がもたらす矛盾による無意識のハラスメントに気づきにくいのです。

★もはや教育は、教育現場で教師が一生懸命がんばるだけではうまくいかないのです。教師の能力の問題ではなく、後ろを振り向けば社会問題が襲いかかってきているからです。やはり大学の科学的というか学問的サポートが必要になります。

★高大連携とは、探究活動だけやっていればよいのでは、ないのです。(つづく)

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21世紀型教育と現行学習指導要領の教育 この差異を共有していくことは可能か?

★2018年から現行学習指導要領が順次移行措置され、2022年に高校の本格実施を待って、現行学習指導要領は初等中等教育全体で本格始動し始めたわけです。現行学習指導要領が、これまでの学習指導要領とは決定的に違う主な点は次のようなことでしょうか。授業論がガラリと変わり、社会科の探究化が深化し、数理資本主義の動きをデーターサイエンスなどに包摂することになり、英語もグローバルな社会課題を英語で考えプレゼンしていくレベルに上がりました。国語も、ロジカルシンキングが前面にでてきました。そして、すべての授業、教育活動にICTが活用されるようになりました。そうそう探究というキーワードが新たに誕生しました。そして、それに伴い思考コードとかルーブリックというエンパワーメント評価も誕生したのです。

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★この学習指導要領のパラダイムシフトは、プラグマティズムと認知科学とMITメディアラボの成果などが大きく影響したことは、学習指導要領の随所にその痕跡が見られます。

★ですから、従来の学習指導要領の時代に、すなわち2011年ころからの話ですが、その時代の21世紀型教育という運動は、あたかも現行学習指導要領の予告編のような感じでした。

★ところが、現行学習指導要領が本格実績されている今日では、2011年ころから開発推進されてきた21世紀型教育は、教育システムとして現行学習指導要領を包含しながらそれ以上の教育であることが、推進校で了解されたのです。

★もはや20世紀型教育と21世紀型教育の比較研究ではなく、現行学習指導要領と21世紀型教育の比較研究をする時代になったのです。

★ということは、21世紀型教育という名前を変えたほうが良い時代になったかもしれません。

★しかし、なかなか良いネーミングが思い浮かびません。

★現状では公立21世紀型教育と私立21世紀型教育という違いを比較研究するということになるでしょうか。現行学習指導要領は、21世紀型教育システムに包含されているわけですから、そうなりますね。

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2023年7月27日 (木)

2023年夏の「私学経営研究会 教頭部会」 21世紀型教育と生成AIとリーガルマインド

7月26日・27日と2日間、夏期研究協議会「私学経営研究会 教頭部会」が開催されました。まずはじめは、主催の東京私学教育研究所所長平方邦行先生の講演から。2089年からバックキャストした21世紀型教育の講演がありました。2つ目は、所長も話の中で触れた生成AIを使うワークショップを委員の先生方が企画運営して行いました。あっという間に多くの学校の教頭先生がチャットGPTを駆使できるようになっていました。チームに分かれて、ポストイットや模造紙を活用しながら、実際使ってみてチャットGPTのメリット・デメリット、可能性と限界などについてディスカッションしてプレゼン。その後、実際に保護者対象の文章やテスト問題作成など、コンテンツ作成について話し合い編集してプレゼンするという濃密なワークショップになっていました。盛り上がったことは言うまでもありません。

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★昼食後は、分散会になり、教頭の使命や役割、またなんといってもマネジメントや採用などの問題とそれを解決するノウハウについて情報交換で盛り上がりました。

★夕食後及び懇親会は、学校を越えた教頭同士のネットワーク作りがどんどん進みました。学校における諸問題は、多くの場合、自分の学校だけで起きるのではなく、同じようなタイプの問題はどこの学校でも起こります。というのは、そのような問題は、社会の多様な問題とつながっているのが通常だからです。

★そのような場合、一校では対応しきれないわけです。連携ネットワークが必要になります。今年教頭に就任したばかりの先生は、このような機会に、ヘルプネットワークをつくっておくことは大変重要です。

★2日目は、私学を取り巻く多様な問題について、弁護士の先生方の講義を聴き、その後分散会で、互いの学校の諸問題についていかに解決すべきか、そもそもそのような問題が起きるのはなぜなのかなど、弁護士の先生方も交えて情報交換・共有をしました。

★学校を巡る問題は、先述した通り、社会の問題とつながっているがゆえに、道徳的な解決だけではなかなかうまくいかにことが多いのです。改めて、私たちの社会は契約社会であることを認識し、信頼性を最低限法的条件や知識をしることで、維持できることに気づく機会となりました。

★モラルはとても大事ですが、具体的な問題においてはやはりリーガルマインドも極めて重要なのだと。

★個人的にですが、弁護士の方に、21世紀型教育をリーガルな側面から見るとどう理解できるのかと質問してみたところ、それはハラスメントがないことが大前提の教育ですねと。自由な発想は、ハラスメントがあれば、生まれてこないでしょうと。

★シンプルだけれど、根本的な問題であり、真実過ぎると感じ入りました。

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2023年7月26日 (水)

2023年夏の私学経営研究会「理事長・校長部会」終わりました

7月24日・25日の2日間、小田原で私学経営研究会「理事長・校長部会」が開催され無事終了しました。この研修を通して私が感じたのは、もともと明治以降の近代教育は、官僚的近代ともう一つの近代の両方が併存していて、隙あらば、前者による後者の撲滅政策があり、それに対しもう一つの近代は応戦してきた歴史があったのだなあと。私立学校は、そのもう一つの近代の社会に貢献する教育を持続可能にしてきたわけですが、今回の私学ガバナンス法改正問題や私学つぶしとさえ言われている大阪の高校完全無償化と私学の学費の上限を知事が決めるキャップ制などの動きは、まるで歴史は繰り返すのシーンがよぎるわけです。

★これに対し、東京の私立学校は、経営陣である理事長・校長が研修会を開き、教育の質をさらに高め、weii-beingな教育環境をいかにデザインしていくかと同時に、その環境を持続可能にし、さらに発展させていく私学経営権をいかにリスクマネジメントしていくかという研修会を毎夏開いているのだ感じました。

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★21世紀は、モダニズムからポストモダニズムに移行する、すなわち、大きな物語は崩壊して国や自治体ではなく個人が自由に動きやすくなる時代がやってきたということになっています。しかし、それが個人主義化して光と影を生んで、SNSや生成AIなどまた予測できない精神の凄惨な行動に日々不安が増している不安社会になっているのも否めませんが、これはむしろ、モダニズムの光と影の問題で、その影をそもそも近代の出発の時から見抜いていた私立学校は、なんとか払拭しようと創意工夫をして教育を実践してきました。

★今や政府や官僚、企業もモダニズム的なピラミッド型あるいは同心円状の同調社会をイメージはしていません。ポストモダニズムに舵を切っているはずですが、完全に移行はしていません。人間の意識はそんな簡単に変わりません。

★しかし、だからこそ、諦めずにチェンジメーカーとか自己変容とかいうキーワードが組織開発論や人材開発論において当たり前のように活用されているのでしょう。

★ウクライナの情勢や台湾の情勢、大阪の万博や大阪のカジノ構想の行方、生成AIの飛躍的進化と社会進出、気候変動など、私立学校を取り巻く社会課題や地球課題は山積しています。私立が校の理事長・校長は、遠くに見える問題もグローバル教育を実践しているために、実は身近な迫りくる問題として認識しています。

★さて、どのような教育を創り上げていくのか、私学の独自性と先見性、先進性の腕の見せ所ですが、1校ではなし得ません。情報交換・情報共有し、問題意識を高いレベルで共有し、連帯して対応すべきところは対応し、独自の教育を実践していくというわけです。

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2023年7月23日 (日)

GLICC Weekly EDU 第137回「富士見丘ーグローバル教育の新たな展開」グローバルアントレプレナーシップ

先週金曜日、GLICC Weekly EDU 第137回「富士見丘ーグローバル教育の新たな展開」がありました。副教頭の佐藤一成先生と広報副部長・英語科主任の田中裕樹先生との対話です。実るほど頭を垂れる稲穂かなということわざ通りのお二人で、同校がどんなに飛躍してもそれに満足せず、謙虚にさらに進もうという勇気とチャレンジングな静かな姿勢が美しいと感じ入りました。しかも、自分のことより同僚の活躍、生徒の活躍をリスペクトして話される姿が清々しいですね。

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★富士見丘は、とにかく国内外の体験のチャンスがたくさんデザインされています。そして、探究・ディスカッション・プレゼンテーションというPBLがそのベースに貫徹しています。英語はCEFRレベルでC1・C2にまで達成する生徒がたくさん輩出されます。STEAM教育も行われ、何より国内外の大学との連携のプロジェクトや姉妹校の数が破格です。

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★今回は、その多くのプログラムの中から中学から高校まで一貫したグローバルアントレプレナーシップを育成するコアプロジェクト(上記の図)一つ一つ丁寧に説明していただきました。詳しくは動画をご視聴ください。

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★お二人の説明を聞くと、どうして、こんなに国内外の大学合格実績が飛躍したのかその理由がわかります。

★どこどこ大学に何人いれるための進路指導などは当然していないのです。生徒1人ひとりが自分の意志で、教師や友人、先輩、大学の先生などと相談しながら、探究の学び方を自己組織化していった結果実績はでているのです。

★その過程は、自分と向かい合いながらあるいは友人たちと議論しながら葛藤やコンフリクションを乗り越えるべく内省的に成長する道です。富士見丘のハイクオリティの教育についてぜひご視聴ください。

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2023年7月22日 (土)

教育の世界にはメタローガーが必要 デューイとかベイトソンとかドネラとかのような

★メタローガーとは、プラグマティストやシステム思考家やベイトソンが活用するメタローグを展開し、ダイアローグのエントロピー増大を再生創造に変形する環境をデザインする存在です。日常生活の問題を解決する学者やコンサルタントは、有効なダイアローグはするのですが、専門領域を越境することができないため、結果的に対症療法になります。ですから、子供たちが成長するリアルな場(たとえば学校や家庭)では、持続可能な有効性を生み出せないのです。

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★ですから、学校の教育システムや組織システムを改善改革するとき、鳴り物入りの改革パッケージは、3年くらいしか持たないのです。ところが、メタローガーが学校の先生方と共に生み出していく改善や改革は、持続可能だし、改善や改革が自己組織化されます。

★また、その学校の教育の質の良さを受験生や保護者など外部のメンバーにつたえる時、どんなに優秀な広報部員がいても、自分の学校の教育の質を全部伝えることはできないのです。そして、受信者である受験生や保護者は、さらにその情報の一部を受け取ったり、誤解してけ受け取ったりするのです。この情報伝達のマイナスの差異が生まれないようにするにはどうしたらよいのか無尽蔵のエネルギーが使われ、常に新しいものを見せないとすぐにエントロピーは増大してしまいます。

★これは広報に限らず、理事会と現場の教職員、在校生の保護者の間のダイアローグでも頻繁に起こります。やはりエントロピーは増大します。自然の法則ですが、そこがデューイは一味違います。これは落合陽一さんも同じです。自然というものを生の自然だとはそもそも考えていないのです。それはベイトソンも、ドネラ・メドウズも同じですね。自然は精神と循環しているのであって、精神から独立した自然も、自然から独立した精神もないのです。だからリアルな自然の法則を変形できるのです。

★もちろん、この変形が正しいものであるかどうかは、メタローグが必要です。

★いずれにしても、この自然と精神が循環し、そこに社会が生まれる契機があるというシステム思考的な発想=メタローグを教育環境デザインの中に有している学校は、サバイブできます。そして、メタローガーを生み出せます。彼らが地球を救うわえけですから、とても18歳未満の児童生徒にとっては重要な環境です。

★もし、メタローガー的素養が育たないで大学や社会に出ると、すてきな対話はできるし、プロジェクトリーダーになることはできるかもしれませんが、10年くらい有効なスキルやシステムを生み出すことはできても、リスキリングを繰りかえし、全体としてはエントロピー増大に向かう社会を再生創造する発想を生み出すことは難しいでしょう。

★「主体的・対話的で深い学び」とか「探究」とか「教科横断」とかいう言葉を学習指導要領の中に埋め込んだ見識者(相当したたかな戦略)は、人知れぬメタローガーです。それは特定の誰かというより、ミームとして受け継がれているのでしょう。

★1985年、2015年、2045年、2075年、2105年と、5つの波が社会の変化をもたらし続けるのですが、そのたびに、メタローガーのミームが作動しますが、2045年以降は、それがだれか特定の集団や組織ではなく、一人ひとりがメタローガーになる時代になるでしょう。AI時代とはそういうことだと妄想しています(汗)。

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2023年7月21日 (金)

高等学校教育の在り方が少しずつ変わる

★本日7月21日 、文科省は、高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第8回)を行いました。だいぶ全貌が見えてきました。簡単に言うと、越境しようということですね。

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★学校と社会の越境、文理の越境、教科と探究の越境、教師と生徒の壁の越境、各学校間の越境。

★全日制と定時制と通信制の越境も話題になっています。

★距離の越境、時間の越境も。

★越境ツールはICT。

★ところが、対話という互いのアンコンシャスバイアスを越境することに関しては、具体案が難しいようです。

★対話は、互いがアンコンシャスバイアスを持っているから、それぞれを各人がそして相手が解除しなくてはならないのです。

★2つのアンコンシャスバイアス。それぞれに自分と相手が解除する作業をする。そして、本当に解除できたかまた解除する。

★この無限解除のプロセスをwell-beingになるととらえるか、無限後退として非効率的だととらえるか。

★いずれにしても、そこは文科省のテリトリーではないのです。各学校に任せられます。

★結局変わるということは、この部分の話だったのです。

★この領域で教師がやりやすい環境設定をどうするか、人員を増やす、給料を増やす、ネットワークで時空を越境する。いろいろあります。

★しかし、無限解除対話の方法は、今のところ研究されていません。各学校の現場で行われてはいます。

★粛々とやっていくのか、その現場の実態を汲み取るのか。

★ただ救いは、このような話をするメンバーがWGの中に一人いたという発見でした。

★変わるとき、このような人間が出現するものです。

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生成AIトリセツ本のおもしろさと今井むつみ教授の見識

★生成AIのトリセツ本というかハウツー本は溢れるごとく出版されています。kindleストアにはいると0円(プレニアムか何か入っている方対象かもしれません)でどんどん出ています。ブログで書いていたものを電子書籍にしているのでしょう。そして下記写真の新刊本も出ましたが、よくまとまっています。チャトGPTは、あっという間に使用者が1億を超えたという速度に応ずる緊急出版ともいうべき本の数々。いかにAIインパクトが広がっているのかということでしょう。

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★この本のすごさの1つに、多様なAIツールを100以上紹介していることも挙げられます。これもまたAI時代の大きなウネリを示唆しています。

★そして実におもしろいのは、今井むつみ教授(慶応義塾大学環境情報学部)の次の見識を、これらの書籍が共有していることです。

ChatGPTを仕事にうまく活用している仕事の達人たちは、「答えをAIに聞けばいい」というマインドセットはかけらも持っていません。これまでに自分が培ってきた直観が働き、AIのアウトプットの是非を自分が判断できる分野に限定してAIを補助的に活用しています。(≪AIに負けない人の条件 「アブダクション推論」の力を鍛えよう≫日経ビジネス2023.7.19)

★今出版されている本は、実はこの今井教授の語る「達人のマインドセット」が前提になっています。それゆえ、面白いのです。そして、学校現場でも、「答えをAIに聞けばいい」とうマインドセットを払拭する動きがでてきています。

★文部科学省が公開したガイドラインも、そんな安易なマインドセットには規制をかけていますが、「達人のマインドセット」はどんどんやろうとしています。

★そして、この「達人のマインドセット」をもった教師が続々出現しています。たとえば、東京私学教育研究所の学校づくり委員会のメンバーである先生方は、「生成AIの達人マインドセット」を持っているのです。

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2023年7月20日 (木)

「主体的」なことが高い評価をうけそうでないと評価されないということはあってよいか。

★神崎史彦先生は、ご自身の研究の過程で、ときどきSNSで問いを共有されます。今回はおそらくタイトルにあるような問いを投げられたと私は思い込み、朝考えています。だいたい8時45分まではいろいろ感じたり気づいたり先生方から頂いた問いを考えながら出勤するのがルーティンになっています。そして、Bingとも対話しながら、高齢者脳を再トレーニングしています。楽しい朝です。

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(画像はBingに作成してもらいました。)

★たしかに、「主体的」といったとき、「自主的」「積極的」「能動的」「欲求的」」意志的」などの言葉を使う場面を想起します。ポジティブワードですね。しかし、一方でその逆の場合、評価されないとしたら、それは違う感じがします。

★というのも、「自主的」「積極的」「能動的」「欲求的」「意志的」などになれない状況や環境におかれている、あるいはそういう秩序の中で強いられているということは歴史をひもとくまでもなく、今の国際状況を見れば了解できます。

★また、「やらされ感」という言葉を生徒も使うように、「主体的」な行動を強いられるということもあるのでしょう。

★どうやら「主体的」とは「間主体的」で、主体的であるないの言動をしてしまう具体的な歴史的状況の中で自分がどうするか「考動」する実存的生を意味し、どちらかを評価するような枠組みそのものを脱構築して生き抜くことなのかもしれません。それが結果的に協働によって社会を変えることになるかもしれないし、そうではなく自己閉塞していくかもしれないのですが、そこは実存的なのでしょう。

★学習指導要領がそこまで切実な思考様式を求めているとは、教育基本法上思えませんが。。。。勝手な妄想は広がる一方です。

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2023年7月19日 (水)

総合型選抜の意味がわかっていないケース 一般選抜から逃げているなどという時代遅れの価値観

★一般選抜だろうが、総合型選抜だろうが、どちらが価値があるみたいな感覚の進路指導をいまだにしている学校があるとしたら、保護者は考えたほうがよいでしょう。もちろん、そんな学校は私立にはないと思いますが。

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(画像はBingに作成してもらいました)

★どちらも表面的には準備の仕方が違うだけで、本質的には同じなのです。どちらもちゃんと勉強しなくてはならないのです。このシンプルな真理を捻じ曲げているのは、うまく要領よく合格しようという生徒やそう指導する教師の問題なのです。

★いつの世の中にも、そういう裏技を使う人はいるでしょう。合法的であればよいのだと。

★ですから、ちゃんと勉強して合格するか、要領よくあまり勉強しないで合格する道を選ぶかは、選択者によるのです。

★そんなこといったて、合格することがまず大事ではと。そうでしょうか。そこは考えどころです。

★いずれにしても、総合型選抜や推薦入試は、東大や京大、慶應義塾大学、上智大学、聖心女子大、お茶の水大学などの例を見ればわかるように、大学1年の講義で学んでいるのと同じ感覚のレベルの学びの準備ができていることが要求されています。

★多くの大学がそうなっています。このことは何を意味するのでしょか。

★米国のAPのようなシステムが、各大学個別に行われているということを示唆するのです。

★AP=アドバンスト・プレイスメントは、高校生に大学レベルのカリキュラムや試験を提供するプログラムです。アメリカの場合は、カレッジボードと呼ばれる大学のコラボコミュニティがいくつかあって、それぞれによって運営されています。日本の高校にはこのようなコミュニティが運営するAPコースが開設されていませんが、高大連携や総合型選抜のプロセスは、各大学が個別にAPコースを設置しているようなものなのです。

★アメリカのAPテストも、当然「入学審査」の資料の一つとして活用されます。総合型選抜と似ているわけです。もっとも多くの場合「単位認定」としても活用できるのがAPです。日本ではまだまだ少ないですが、高大連携で大学の講義を受講できるものもあり、良い成績を収めて、その大学に入学した場合、単位認定がされるシステムも生まれてきています。

★一般選抜を受験する生徒も、総合型選抜の準備と同じようなプロジェクト学習をした場合、受験は一般選抜でも、学びは骨太の受験勉強をしたのと同じになります。

★ただ知識を暗記する学びをして一般選抜に臨めばよいとか、好きな体験だけ行って小論部を描けるようにして総合型選抜に備えればよいとかいう発想では、大学入学後困ることになります。

★高校の進路指導は、大学入学後も卒業後も、生徒が自分の学びを発展させていけるような学び方の自己組織化を学ぶ教育環境を創ることでしょう。そのような環境を構築する努力をしている学校を受験生・保護者は選択したほうが良いに決まっています。

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早稲田大学政経の一般選抜 総合問題から学ぶ 総合型選抜にも適用できる。

★早稲田大学の政治経済学部の一般選抜の総合問題は、課題文が日本語と英語。課題文というより資料という感じですね。今年春の問題には、いくつか資料がでていたのですが、同大学の橋本健二教授の著書からも(下記写真)出題されていました。

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★入試問題で焦点化されていたのは、日本社会における階級差と自己責任論を掛け合わせて、何が問題なのか、何がこれから問題が大きくなるのか、その理由と、解決策を考えるという点では、総合型選抜などの小論文と変わりはありません。英語のエッセイライティングも200語くらいで書く問題でした。アートと理数系の科目の優劣をどう考えるかという感じの問題でした。

★いずれもよくある問題のようですが、日本語の方は、データを頭の中でクロス集計しながら考えていく、初歩的なデータサイエンスの力も必要でした。

★総合型選抜は、自分の好きなテーマにある程度絞られますが、同大学同学部の一般選抜は、政治経済全般という幅広い領域からテーマが選択されるために、読書量が膨大になります。

★一般選抜を受験すると何か知識を大量に記憶すればよいと思われがちですが、最近では新書版や大学1年の講義レベルの書籍を読むことが当たり前になっています。

★ですから、PBL型授業は、一般選抜でこそ本当は役に立つ時代がやってきたんですね。なぜなら、一人でそのようなレベルの本を読破することはなかなか難しいからです。

★基本的な教養書は落合陽一さんなどの本を読んでいると全天候型です。あとは、学部によって今回の橋本教授のようなデータエビデンスを軸にしている本の読み方ですが、一人でもできますが、議論しながら行っていくPBLのほうが効果的です。

★本に掲載されているデータだけ見て、何が問題なのか、他にもっとデータが必要なのではないか、橋本教授が何を描こうとしたのか、推理する議論をしていくことです。

★このように文章を読むのではなく、挿絵やデータなどの資料だけ読んで、文章の内容を推理する読み方もありです。

★文章をコツコツ読む方法を「連続テキストリサーチ」、挿絵やデータから推理していく読み方を「非連続テキストリサーチ」とすると、一冊の本の読み方が、探究のリサーチのシミュレーションになるのが了解できるでしょう。

★読書は、「連続テキストリサーチ」しかできないものと「非連続テキストリサーチ」が可能なものがありますから、その使い分けをするとおもしろいですよ。

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2023年7月18日 (火)

各種推薦型入試や総合型選抜の小論文対策の仕方 カンザキメソッドとチャトGPTで

★公募推薦や指定校推薦、総合型選抜で小論文を課せらるケースがあります。9月から出願が始まるので、今まさに受験生は佳境にはいっているでしょう。ある程度自分の考えがまとまったら、チャットGPT(保護者に許可をもらう)に、こんなふうにプロンプトに書き込みます。「次の文章を、①主張は明快か?②主張を支える体験やデータはあるか?③主張を支える根拠を体験やデータから抽出しているか?という3つの視点で分析してください」

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(画像はBingに作成してもらいました)

★すると、生成AIは、「文章の分析をします。①主張は明快か?②主張を支える体験やデータはあるか?③主張を支える根拠を体験やデータから抽出しているか?という3つの視点で見ていきましょう。

【中略】

以上の分析から、文章は主張が明快であるという点では良いですが、主張を支える体験やデータが不十分であり、主張を支える根拠を体験やデータから抽出していないという点では改善の余地があります。文章をより説得力のあるものにするためには、以下のような工夫が必要です。

主張を支える体験やデータについて、具体的な出典や数字を示す。
主張を支える根拠を体験やデータから明確に導き出す。
主張と根拠との関係性を論理的に説明する。
文章の分析は以上です。ご参考になれば幸いです😊」

★【中略】のところは、3つの視点ごとに詳しく解説がありますが、分析対象の文章の著作権があるので、それは略しました。自分の文章で試してみてください。この分析が正しいかどうかは、自分で考えてみるし、さらにこんなデータを入れようと思うが、君はどう考えるとまたプロンプトに書き込んだりして、AIと対話していきます。

★AIに文章をつくってもらうのではなく、自分の文章について対話をしていくわけです。

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(画像はBingに作成してもらいました)

★実は、この対話によって、文章を構築する視点が養えます。メタ認知とか呼ばれている視点です。初めに紹介した3つの視点は基本的なもので、自分なりに増やしたり質を充実させていくといいですね。

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★ここまで、AIと対話してきたら、果たして自分なりの視点は信頼性があるのか不安になってくるものです。そのとき大いに頼りになるのが、神崎史彦先生の上記の書籍です。この本を独りで読むのはシンドイので、神崎先生に習うのが早道ですが、独りで何とかと思った場合、まず生成AIと対話を積んで、上記の本を読んでみてください。

★目からウロコです。自分の内側に、自分の視点の信頼性や妥当性を知りたいという欲求や不安があるので、神崎先生の本が身に染みてわかるようになっているはずです。わからないところは、生成AIでもよいですが、有名人神崎先生に会いに行くのもよいかもしれません。当然、有料ですよ。

★私が神崎先生の本を推薦するのは、この本はいわゆるノウハウ本ではなく、受験という領域を越境して通用するものの見方や感じ方、考え方の視点や方法が集積されているからです。

★また、神崎先生は、ご自身の積み上げてきた経験値を今大学院で検証している研究者でもあって、この本で体得した視点や知見は、大学入学後も社会に出た時も活用可能だし、自分で進化させていくことができるからです。

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改革は必要だが、踊らされる必要はない。本当に良質な学校はシンプル。

★生徒募集に困れば、改革は行うのは当然で、だからといってその改革が何かすばらしいかどうかは別の話。それなのに、自分たちの教育を信じないのか浮ついて改革しなくてはと思ったとしたら、それは違います。改革ビジネスに何も動揺させられる必要などないのです。もちろん、生徒が集まらない状態の場合は、そのような改革ビジネスに耳を傾ける必要はあるでしょう。そのうえで、自分たちは何をするかの前に、どう在るのか学内で対話することです。そのときに、改革ビジネスの方々の情報を調べるのは問題ありません。むしろ偏向主義にならないように、視野を広くしておくことは大事です。そのうえで、よき選択をしてほしいものです。

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(画像はBingに作成してもらいました。)

★生徒も集まっていて、生徒と教師の関係も良好であるが、大学合格実績が今一歩だという学校は、進学実績をあげることは大切です。というか基本でしょう。しかし、このとき、大学実績ではなくて、偏差値ではなくて、STEAMだあ、個別最適化のDXだといってくる改革ビジネスが迫ってきます。

★生徒一人一台ノートパソコンを持っている今日、授業の中でもばんばん活用していたとしたら、STEAMや個別最適化のDXだという常識的な改革ビジネスなど必要ないでしょう。

★それより、ちゃんと英語のCEFRB2やC1、つまり英検準1級や1級をきちんと生徒が取得する基礎学力をつけたほうがよいでしょう。すると普段行っているアントレプレナーシップ型のボランティアは、グローバルアントレプレナーシップに自然にシフトします。無理やりパッケージを入れるのではなく、CEFR基準のB2やC1という基礎学力が大事です。この基礎は易しいという意味では当然ありません。

★それから、そもそもあらゆる小論文や口頭試問で出題される根本的な問題は、個人と社会の関係性をどうするかです。ほとんどの社会課題が、この問題から派生しています。テーマの変奏曲が鳴り響いています。この問題を解決するために、利己的な遺伝子やリバタリアニズムなど自然科学からも社会科学からもアプローチされています。

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★英語の基礎学力をあげるには、このような根本的な基礎社会課題を考え実行する体験プロジェクトを行いつつ、読書することです。たとえば、慶応大学教授の大屋雄裕教授の本を読むことです。こんな本は難しいとか言わずに、教師が生徒と一緒に読む時間を持てるかどうか。持てないから改革ビジネスになびくのです。

★上記写真の本は、生徒が読めばよいですが、ネットでダウンロードできる「エゴイズムにおける『私』の問題」(『名古屋大学法政論集』193号、2002年)は、教師と生徒が対話できます。丸一日あれば、深く読めます。こんな読書対話は、高校教育の基本中の基本です。

★こんなことしても無駄だとか思う教員がいたとしたら、人間一人一人のかけがえのない存在について生徒と対話することが無駄だと言っているに等しいことになるかもしれませんね。

★そのうえで、保護者に許可をもらって、その生徒は生成AIと対話します。プロンプトエンジニアよろしく、CoTの対話をしていけば、最後に、生成AIが、話題を変えましょうといってくるぐらい、メタ認知やメタローグを身に着けることができるでしょう。

★CEFRB2やC1を取得し、生成AIを超えるコンセプトレンズを身に着けたら、一般選抜であろうが、総合型選抜だろうが、いずれも大丈夫です。海外大学も大丈夫です。このような学力を基礎学力といいます。

★改革ビジネスにお金をかける分、生徒の学びの環境を充実するために投資したほうがよいでしょう。偏差値はどうでもよいですが、このような基礎学力は、高校入試の偏差値で50前後の生徒には、十分可能です。

★実にシンプルな教育環境デザインで最高の生徒の成長を生み出す教育。これぞWell-Beingではないでしょうか。

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2023年7月17日 (月)

2030年改訂学習指導要領に先駆けて現場は動いている 「探究」を巡る創意工夫はトリガーになっている

★ポストコロナ、あるいはアフターコロナの時代の夏休み、国内外で宿泊研修が盛況です。しかも、その研修は、学力研修や英語研修というものだけではなく、アントレプレナーシッププロジェクトだったりICTを競い合うカンファレンスだったり様々です。しかも、そこに企業や大学などの機関が連携するということは当たり前だし、高校同士の連携も増えてきています。金融教育もいまのところ金融詐欺にひっかからないようにというプログラムが多いですが、資金調達の方法に関するものも増えてきました。英語を使うのはもはや当たり前になってきています。

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★したがって、2030年以降の学習指導要領は、イノベーション教育(AIベース)、グローバルアントレプレナーシップ(社会貢献型)、金融経済教育、法教育(道徳教育の拡張でいく。法と道徳の関係性は重要)が4つの柱となり、その柱の土台が、SDGsの流れを汲み取った「自然と社会と精神の循環について語る対話の知性」となっていくでしょう。「主体的・対話的で深い学び」「探究」というのは、このようなフォームに流し込まれていきます。

★そうなってくると、「授業イノベーション」は当然起こります。またカリキュラムマネジメントより、「授業マネジメント」のイノベーションが起こります。パノプチコンというよりシノプチコンのメリット(個別最適化はここにいきつく。デメリットに陥らないように道徳と法の関係性を学ぶことは重要になる。すでに法学部の総合型選抜ではこの点が課題になっている)を活用するAIベースのマネジメントが当然起こるでしょう。今もすでに行われ始めています。

 

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(画像はBingに作成してもらいました。)

★高大連携のみならず、国内外の多様な領域での連携が起こり、そのイノベーションも起こります。資金調達も織り込み済みということになるでしょう。仮想通貨に移行することによって、その連携には、新しい資金調達の方法が学びのインセンティブを生み出す流れになっていきます。

★教育経済格差をなくす動きは、市場の経済も活用する動きになるのは、世界各国の財務状態からいって必然だし、Web3.0の行き着く世界でしょう。

★そして組織機能イノベーションです。教育は金がかかるというのが今ままでの学校組織の考え方です。基本的にこれは変わりませんが、教育は金がかかるが、同時に経済を豊かにするという組織機能イノベーションが起こるでしょう。

★とはいえ、2030年~2050年は、まだ限定的です。ですから、残念ながら、この過渡期において教育経済格差が生まれてしまいます。せめてもの救いは、優位に立った生徒が未来において利他主義を発揮する傾向にある昨今であるということです。

★地政学的な危機がグローバルにマネジメントする事態ができてからでないと、それは全面展開ができません。世界が利他主義になったうえで、市場の経済が広まるというマネジメントをどうするか。これは難問です。SFのようにはいきません。。。

★「探究」の根源的なテーマはやがてそこに行き着くでしょう。グローバルアントレプレナーシップ教育に探究がシフトするのはそういう理由です。おそらくこれが、2030年にむけてケインズが「孫たちの経済的可能性」の中で予言したことなのだと思います。

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2023年7月15日 (土)

聖パウロ学園 理事会 2030年~2050年を見通して

★本日午後から聖パウロ学園の理事会が行われました。同時間に行われていた高校野球の西東京大会の行方をバーチャル高校野球で時々チェックしながら。立ちあがり当初1点先制されましたが、すぐに取返し、快進撃が続きそうなので、議論に集中しましょうと、理事会を継続しました。なぜか私が議長だったのグダグダにならないようにと思いつつ、行方はやはり気になりましたが、気を引き締めて。

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(写真はBingでイメージを作成してもらいました)

★小島綾子校長から、学校の近況報告がなされました。教育活動、部活、森の教室の進捗状況、広報活動の中間報告、進路指導の活動など詳細にプレゼンがありました。

★理事の方々それぞれは、ものの見方や感じ方がほんの少し違いますが、方向性は一致しています。むしろその違いが多面的に議論ができるのでよいのです。また、理事会の始まる前に、小島綾子校長とは複眼的に意見を交わしていたので、調整しながら司会進行できました。評価方法や進路指導の点では、だいぶ進化しているのですが、そこまでは今回の理事会では共有できなかったのは多少残念でしたが、それは次回以降に。

★私の中でも、校長先生からヒアリングした段階ではにわかに整理がつけられなかったということもありましたし、そこはアジェンダになっていませんでしたから、いいかなあと。むしろ進化しているとはこういう動きだなと改めて実感。

★とにもかくにも、理事会自体は。非常に建設的な議論だったし、多様なアイデアやフィードバックもあり、密度の高い理事会でした。教育と資金調達。資金調達の方法は入学者獲得以外にも必要であるという認識は、5年後の80周年記念事業に向けてだんだん盛り上がってきました。

★最後に私見として述べたことは、2030年から2050年にかけて、学習指導要領は、2,3回改訂されますから、80周年事業は、その先を見通して計画を立ていくことが必要だと。そこまでは、理事会で今後予想して考えていきましょうと。そして理事会は終わりました。終了後、パウロの野球部が勝利していたので、ホッとしながら、市ヶ谷の別の委員会に参加するために戻りました。

★その道すがら、まだ妄想段階ですが、総合的な探究の時間はなくなり、グローバルアントレプレナーシップと資金調達の方法のプロジェクト学習がそれに代わるんだろうなあとなんとなく思い巡らしました。その方が明確なんです。PBLとはパーパスが明確でなければうまくいかないのは当然です。

★また、教科の時間は、実は、ここに探究的プロセスが明快に埋め込まれるだろうと。探究活動がなくなるわけではないのです。

★人的資本に教育投資をすることになるわけですね。すると、これまた教育内容は明確になります。これからの人的資本は、知識を覚える力なのではなく、その活用方法を学べる力ということになるし、もっと批判的思考力と創造的思考力を育成する学びに投資が行われるようになります。

★したがって、今の一般選抜で合格実績を出そうというような発想は価値がなくなるなあと。もちろん、一般選抜はなくなりません。むしろ総合型選抜がなくなるでしょう。しかし、それは筑波大学が将来プランしているような口頭試問と小論文になるからです。まえもってエントリーシートや課題論文を提出することはなくなります。入試における生成AI対策は当然になります。

★目の前で対話し、目の前で小論文を書くということになります。

★対話や筆記された小論文は、2030年以降は、すぐに文字データに書き起こすソフトが活用されます。今でもすでにありますから、あとは精度の問題ですね。

★すると、採点はAIでということになります。AI対策をしたうえで、AIで評価のデータを作成する。そういう試験システムになるでしょう。

★ということは、ダイアローグからメタローグという高次対話能力と論理的思考力だけではなく、批判的で創造的な、つまりイノベーションを生みだせるような思考力が必須になります。

★それから、アントレプレナーシップ。高校3年間で、社会貢献型の何らかのツールアイデアや実際にアーティファクトとしてつくったものをプレゼンするのは口頭試問の時に必要になるかもしれません。

★入試日は、試験日ではなく、試験期間になるでしょう。同じ大学同じ学部を受験したとしても、友人と違う日にちに受験するということはあるでしょう。同じ問題はでないのですから可能です。

★すると、国立大学も複数受験ができるようになります。まあすべては妄想ですが、そう考えていくと、必要な教育は何か明快になってくると思います。まあ、今年の受験には全く関係ないのですが(汗)。

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GLICC Weekly EDU 第136回「夏休みの勉強の進め方ーコンセプトレンズを身につける」

昨日、GWE(GLICC Weekly EDU)第136回で主宰の鈴木さんと対話しました。今回は夏休みがはじまるということもありますから、GLICCの夏期講習の考え方や方針をベースに、他の塾や家庭で学ぶときにも見過ごしがちなコンセプトレンズを身に付けるための、教材や入試問題の扱い方について対話しました。

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★世の中、理屈じゃないとかわかりやすさが大事だといって、子どもたちの才能が開かれていく機会を摘み取っていることはあるあるです。だから、やさしい問題から応用。発展という順番で学びを進めるのが通例です。

★そして、やさしい問題はできるんだけれど、応用から先に進めないとか、応用まで行けるけれど、発展のレベルに飛べないとなり、それが偏差値輪切りの学びの格差につながっています。

★この格差を縮めるために、大量の問題を解けばよいということになり、圧が高まっていくわけです。

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★もちろん、大量のトレーニングを行っていくことによって、コツに気づいていく子供は、伸びるわけですが、そのコツに気づかない子供もいるのです。そして、気づいている子供も、そのコツが何であるかを言語化や可視化できているわけではないのです。

★そのまま成長し、気づいていたで終わる場合、新たな壁にぶちあたるわけです。

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★体験を積んで、みんが同じように成長しないのをふだんからみていると思います。それと同じことですね。

★ですから一見易しい問題を考える時に、そのコツであるコンセプトレンズ(高度な抽象化レベル)に気づくリフレクションを丁寧に挟みながら学ぶプログラムが大切です。とはいえ、気づいたことを言語化しなさいと言っても、それは認知科学の学者レベルのお話なので、3つの異なるアプローチをしている問いをぐるぐる回していって、やがて見えてくるというプロセスを埋め込みます。すなわち、問題を解く時間+リフレクションというより、3つの問いを考えるときに内面にいつのまにか気づきが生まれるという仕掛けをつくっています。問いを考えると同時にリフレクションするという循環をつくります。

★私は、このプロセスを、3つの問いの循環(TQs:trinity qustions)と呼んでいて、久しい間、いろいろなプログラムやワークショップに埋め込んできました。

★遠い昔GLICC立ち上げの時に、私も鈴木さんを応援していたので、その仕掛けを教材に組み込む考え方をシェアしました。ですから、GLICCの教材作りは概ねそうなっています。

★いずれにしても、高感度な抽象化ができるコンセプトレンズを身体化すると、一見違うものもつながります。化学反応が起こります。すると同じ時間でもたくさんの問題を解けてしまう思考の密度感が生まれてきます。

★これがないと、わかるまでそして定着するまで、類似問題を長時間解くことになります。それで、子どもがトイレに行けるようになるまで、自転車に乗れるようになるまで、ある程度時間がかかりますが、体得すると、それまでかかっていた時間はまったくかからないような状態になればよいのですが、この方法だとなる子どもとならない子どもに分かれてしまいます。

★しかし、コンセプトレンズを身に付けるTQsの学びのサイクルを経験すると、思考力の学びもそこまで瞬間的にできるように多くの生徒がなるわけではありませんが、似たようなことが起こるものです。詳しくはぜひご視聴ください

★小学校で偏差値50くらいの生徒が、麻布に合格するとか、高校で同じような生徒が上智や早稲田に合格していくということは、私自身立ち会ってきたので、そのような学校に合格することが目的ではないにしても、思考力は豊かになるものです。その豊かに成長する速度は、風姿花伝の「序破急」のテンポです。エッ~!もう小6です間に合いますかと思われる方もいるかもしれません。

★中学受験をきっかけにコンセプトレンズを身に付けるチャンスを生み出す簡単な方法は、最後に少し語っています。動画をザッピングしてみて頂ければと思います。

 

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2023年7月14日 (金)

21世紀型教育は豊かな経済社会をつくる

★「世界最高峰の経済学教室」の第一章を読んだだけですが、いまさらながら驚きました。「人的資本理論」などで有名なゲイリー・ベッカーが教育に投資しなさいといっていたのは知っていましたが、1960年代の話だったので、教育を受けて、いい大学に行って、大企業に入るという文脈かなあと思っていました。しかし、そんなことでノーベル経済学賞を受賞するはずなど、たしかになかったわけですね。

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(画像はBing)

★なんとなんと、論理的思考力と批判的思考力とクリエイティビティを養えというのです。そうすれば激変する世界に対応するイノベーションを生み出し、経済社会は豊かになるというのです。60歳以上もリスキリングしなさいとまで。

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(画像はBing)

★そして、利己主義より利他主義のほうが経済は豊かになるというエビデンスを数値化したとまで。

★思考力や思いやりは、競争的欲望資本主義と真逆で、本質的で善なるものだけれど、優勝劣敗主義者にはウケないなあと思っていましたが、なんと格差なき経済力を生み出せるのだという経済学側からの応援をもらえる21世紀型教育です。

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★たしかにコペ転でした。他の章もななめ読みぐらいはしようかなと。

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2023年7月13日 (木)

落合陽一さん中学入試雑誌に登場!「my TYPE7月号」首都圏模試センター発刊

首都圏模試センターが発刊している「my TYPE! 第7号(2023年7月9日発行)」に、落合陽一さんが登場しています。同雑誌を頂いてページを開くや丸々一ページが落合さんの写真。インパクト!激震!感動!まさか中学入試業界に落合さんが登場するという発想はありませんでしたからね。テーマは、「コスパ・タイパ時代の読書の価値」で、取材・構成は泉義彦(教育系コピーライター)さん。「ネットで検索してわかることと必要な時に頭の中から知識を引き出すことは違います」と落合陽一さんにインタビューしている記事です。

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★落合さんとは面識はありませんが、なぜか親近感があるんです。21世紀型教育機構を先生方と創っていた時から、落合さんの著書は読んでいて、よく集まりながら読書会風の飲み会もやっていました。同機構をつくるコンセプトの1つにリチャード・フロリダのクリエイティブクラスというのがあるのですが、それについても落合さんが言及する本が出版されたりして、オッ!なんかコンセプトレンズ親和性があるなあと思っていたのです。

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★そして昨年ですか、上記写真「忘れる読書」が出版されました。驚きました。仲間といっしょに未来づくりの教育に1972年の「成長の限界」の中心的執筆者のドネラ・メドウズのシステム思考やメンタルモデルに注目して、どのようにPBLの中に埋め込むか、SDGsをベースにいろいろミニ研究会を行い、構想を練り上げていました。その成果の一つであるWSをこの夏福島で研修を仲間とやりますが、すでにコンセプトは、昨年の5月東京私学教育研究所の中学入試ガイドブック≪DISCOVER≫に盛り込み、今年の5月にはアップデートしたものでを出しているのです。

★話が長くなりましたが、上記写真の落合さんの著書の前書きに、ドネラ・メドウズのことが言及され、同書がドネラ・メドウズの日本人研究家の方の支えで、世に出たというのです。親和性ますますという感じです。

★そして、不思議なことに、首都圏模試センター発刊の受験雑誌「しゅとも」で「持続可能な社会への変革 ドネラ・プロジェクト」の企画が立ち上がり、今年4月から連載寄稿しているわけです。

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★なんか元気がでました。1998年ごろから影響を受けたというか衝撃を受けたのが、今千葉工業大学の学長に就任した伊藤穰一さんだったし、アメリカのリチャード・フロリダだったし、2015年本格的に21世紀型教育機構が稼働し始めたときには、落合陽一さんでした。

★そして上記の書を読んだ時、落合さんがニーチェの書や風姿花伝に影響を受けていたり、茶の道にも興味と関心があるという。ミカドの肖像についても言及していて、なんだなんだ、私学人の系譜の私の参考書の1冊じゃんなんて同書には興奮したものです。

★何より、ジョン・ロックが登場するのはすばらしい。≪私学の系譜≫中の系譜です。とにもmy TYPEご購読を!

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2023年7月12日 (水)

教育課程と教師不足

★教育課程(カリキュラム)を構成する単位数や時間数は、学習指導要領に規定されています。一方で、この単位数や時間数は、生徒の心身の発達を促すものであって、阻害するものであってはなりません。

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★ところが、実際には、学校現場では、時間が足りなくて終わらないなどの声は山ほど聞くし、教科によっては、教える教師をそろえることができないという状況にもなっています。

★このような現場の状況で、生徒の心身の発達を促す安心安全な心理状態を形成できるとは到底思えません。まさかこのような状態は、教師のせいだとか学校の管理能力不足だとかいうのでしょうか。

★仮にそんなことを言うお役人がいたとしたら、合理的配慮がないということになるやもしれません。

★2050年からバックキャストして、必要最小限度の教育課程を見直し、学校によって増やすことができるようにするというのは、昔から実は言われてきたのですが、さっぱりですね。

★たとえば、STEAMが必要だというのなら、教科のサイエンスや数学やアートを読み替えられるような柔軟性を単位や時間設定に織り込むことです。

★今でもやれるではないかといわれます。しかし、未履修問題がすぐにでてきますから、削除挿入とか、順序づけや重みづけがなかなかできません。

★だいたい心理的な発達理論だって、具体的には、どのように学校現場で行われているのでしょう。養護教諭やスクールカウンセラーは強い味方ですが、ことが起きてから頼ってしまうということが多く、教科学習の中に発達心理学的な知見のみならず技術を埋め込むにはどうしたらよいかということについては、各校に任されたままです。

★2050年からバックキャストして、教科をどのようなビジョンに読み替え、未履修にならないように、単元主義ではなく、学び方・考え方主義で組み替えられるようにしていかざるを得ないというのが、現状のような気がします。

★教科横断といっているのは、ほんらいそういう柔軟性でしょう。

★化学反応が起きて、同じ時間でも密度が増すような学びの環境を作るにはいかにしたら可能か?

★学習指導要領は、法的拘束力を持ってしまっているのに、わかりにくいし、努力義務だといいながら、かなり義務に近い規制が実はかかっているのも事実です。

★そういう環境は、学校がブラックだというより、学習指導要領の規制と自由が不明瞭であるということを示しているのだと思います。それゆえ、そんな不明瞭な条件下では教師のなり手が減っているというのが本当のところではないでしょうか。難しいから曖昧なままにしているんだという慣習はありますよね。

★教育課程の構造的問題を解決するプロジェクト学習を文科省はしたほうがよいでしょう。

★もちろん、現場では、現状の制約の中で、大いに創意工夫しています。そのうえで、教育課程の構造的問題をちゃんと解決するようにと言っているのです。

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2023年7月11日 (火)

身体知が重要な時代になった

「幼児期の体験が形成する身体知は未来の創造的思考に大きな影響を及ぼす。」のつづきです。近代教育は、だんだん子供や女性をリスペクとするようになってきましたが、19世紀末は、まだまだ男性中心社会だったことは、今や説明するまでもないでしょう。封建社会から近代社会に移行する時に、まず男性がそれまでの格差で、つまり生まれや血筋などで、固定的になってきたポジションから、自由・平等・友愛理念で解放される運動が起きました。

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★立身出世なんて言葉の意味が、明治以降今私たちが理解するような意味にシフトされたことでも了解できます。この固定化された階層から解放されるには、知識や技術の優劣でポジションを勝ち取ればよかったわけです。明治時代の政府の教育のコンセプトは優勝劣敗です。いまもまだ勝ち組負け組なんて言葉や意識が残っていますね。

★しかし、優勝劣敗は、階層構造を作るという点では、近代の理念には反していました。近代の現実は、格差やそれを生み出す資源奪取戦争などが重なり、かなり凄惨なものになりました。しかし、1972年の「成長の限界」が世に出て、ようやく2015年以降、その理念がSDGsに結実してから、格差をなくすことや資源の使い方を考える時代がやってきたのです。ようやくレイチェル・カーソンの(SoW)センス・オブ・ワンダーを大事にしようと。たしかに、一方で凄惨な事態は起こっているのですが、それを放置せずになんとかしようと。もちろん、まだまだ足りないのでしょうが。

★いずれにしても、このSoWこそ、身体知のベースになっているものです。この身体知は幼児期にほとんど一生分ができると考えた方がよいと思います。優勝劣敗型学びによる受験勉強型成長は、身体知にかかわりなくいけるのですが、今やAI時代。その成長は果たして人間の成長と言えるのか疑わしくなっています。

★プロジェクト型学習が盛んになってきていて、自分の身体知を才能という形式知に変換する新しい教育が、小中高大で連綿として生まれてきています。

★幼児期の身体知が豊かで善であればあるほど、プロジェクト学習が引き出し開花する才能は社会貢献型イノベーションを生み出すでしょう。

★もちろん、身体知は1人ひとり違います。豊かであるかそうでないかの基準は今のところわかりませんが、身体知を形成することに影響する原体験については心理学の中でも昔から重視されているし、そこで直面してしまったトラウマが、その後の人生に相当影響を与え、そこから解放されるために心療内科や精神分析などが研究を続けているのは、やはり身体知を豊かにし善なるものに最初から形成する環境を設定しておくことが大切だということを示唆しているのではないでしょうか。

★モンテッソーリ教育やレッジョ・エミリアの教育、イエナプランなどが注目さてきたのも、そのような考え方があるのではないでしょうか。

★それを分析的に証明しようというのは、専門家に任せ、私たちは、豊かで善なる身体知をいかに形成するか実践あるのでみです。もっとも、私が幼児にかかわれるのは、今や孫だけですから、実際には、信頼すべき幼児教育を実践している内田真哉先生谷口梨花先生にお任せするのが一番なのです。

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金沢工業大学のプロジェクトデザイン教育 中高のPBLの有効性も示唆

大学ジャーナルONLINE2023年7月10日の記事「金沢工業大学~プロジェクトデザイン教育を柱に就職率トップを堅持。「コーオプ教育」により企業の一員としてさらに実践力を磨く」は必見です。どんなことが書かれているかというと、同記事によると「最新の就職率99.9%(2023年3月卒業生実績)、大学就職率ランキングでは不動の首位を獲得している金沢工業大学。「自ら考え行動する技術者の育成」を教育目標に掲げ、チームで問題の発見から解決までの過程・方法を実践しながら学ぶ「プロジェクトデザイン教育」を独自に展開している。さらに2020年度からは、学内の講座と企業での就業体験を融合させた「コーオプ教育プログラム」を開始。産学共同教育の充実を図っている。」についてです。

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(画像はbingに作成してもらいました)

★詳しくは同記事をお読みいただきたいのですが、要はこのようなプロジェクト型学びや研究は、イノベーションや創造的思考などを生み出すには極めて有効だということです。就職率が高いということは、偏差値が高いとか学びのうちの部分的な能力だけではなく、人間力・発想力・協働力・ミッション力・意志力などの成長力とさらに未来への成長期待値が高いということを示しているでしょう。

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(文科省が大学でのアントレプレナーシップ教育プロジェクトを立ち上げる時に公開した図。PBLをメインロードに位置付けている)

★このことは、中高にもあてはまります。思いつくまま具体的な例を挙げると、富士見丘、聖学院、工学院大学附属、順天、成立、文化学園大学杉並、三田国際、八雲、和洋九段女子、聖ドミニコ学園、サレジアン国際学園、サレジアン国際世田谷、大妻中野、成城学園、湘南白百合、日本工業大学駒場、城西大城西など中学入試において、思考力型の中学入試や英語思考力型入試などを実施し、入学後もプロジェクト型学習を教科学習と探究型学習で行っている学校の生徒の大学進学実績やそれ以上のプロジェクト型成長(偏差値のように定量的には表現されていない。まだ定性的が故に気づかない人が多い)は定評があります。

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★これらの中高は、金沢工業大学の「プロジェクトデザイン教育」や「コーオプ教育」同様、プロジェクト型学習を大学や企業などと連携して行っています。同大学と同じように、すでに、上記グラフのようなイメージのプロジェクト型成長が生み出されているのです。その証明は、これらの中高から海外大学に進学する実績が多数出ているというは分かりやすいと思います。

★海外大学は、日本の受験勉強型偏差値成長では、進学するのは困難で、世界標準のプロジェクト型成長が必要だからです。

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2023年7月 9日 (日)

幼児期の体験が形成する身体知は未来の創造的思考に大きな影響を及ぼす。

★2歳の孫の行動を観ていると、体験から何かを取り込み身体知としての駆動力ができていることがわかります。まだ言葉は一言二言しかでてこないのですが、飛んだり跳ねたり、しかし土かコンクリか床かマットレスか安全度を確かめることはできます。高いところから飛ぼうとするときも、飛んで大丈夫かどうか何か探ってから、大丈夫だと思えば思いきり飛びます。音楽に合わせてダンスでも踊るように、友達と身体を動かします。保育園で、友達(という意識があるかどうかわかりませんが)と食事をとる速度はだいたい同じくらいです。

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(画像はbingが作成してくれました。)

★虫を見れば観察するし、風呂に一緒に入って水鉄砲をつかって遊ぶこともできます。まるかいてチョンと言った感じで顔も書きます。ミニカーは好きで、段ボールを斜めにして、競争させたりします。ウサギに餌をやる時に、自分の手をかじられないように、さっと手を引いたりします。砂場では、スコップで、砂場を掘って山をつくったり、くぼみに水を何度運んでもたまらないので、泣いてどうしてだとうったえかけます。

★山も登ります。プールに入って泳ごうとしますが、それはなかなかうまくいかないので、母親の手を探ります。

★長い道や広い原っぱにいけばひたすら走ります。隠れん坊まではできませんが、家の中で、隠れていると、探し当てに来ます。二輪車を漕いで乗ることはできませんが、両足で二輪車を走らせながら進みます。結構速いですね。

★大きなゴムボールでキャッチボールをしますが、意外と受け取るし、きちんと相手に投げることもします。水をコップに入れて飲むこともします。隣の家の少し年上のお兄さんとお姉さんとも毎日遊びます。遊園地で、電動の車に一緒に乗り、楽しむこともできます。

★言葉が少し遅いのは母親は心配していますが、それ以外は問題なく暮らしています。身体知として、言葉になる前の身体認識あるいは身体知みたいなものは形成されているのでしょう。幼児期の五感から取り入れる体験は、おそらく大人の日常生活で行われるものと何らそん色はないでしょうね。

★しかも、大人の日常生活以上に、自然とのコミュニケーションが多いのは幼児期の特徴です。もちろん、冨士山のような山に登らないでしょうし。大海原で沖合まで泳ぐことはありませんが、そのミニサイズの体験は日々行っています。

★おもちゃの取り合いをやって、自分の好きなようにうまくいかない体験もしています。社会の関係性を、保育園でも体験するし、病院で真面目モードになる人間関係の体験もしています。母親にはべったり甘えますが、父親とはいろいろな遊びの目的を達成する付き合い方をします。保育園の先生ともまた違う関係性を作り出しています。関係性のモードチェンジも身体で学んでいます。

★おそらく大人が忘れてしまっているくらいの身体知を豊かにしているのが幼児期でしょう。この体験が少ないと、言葉として表現できるようになっても、身体知が足りない言葉の表出になっている可能性があります。

★身体知の多くは語り得ぬ言葉の質です。その質をすべて言葉に表出する必要は大人の日常生活ではないのです。しかし、それはリアルな音楽を電子化してリアルとの差異に気づかないような生活です。ときどき、自然に還って驚くのは、幼児期に形成していた身体知が反応するからでしょう。

★現在の幼児は、生の自然体験とバーチャルな自然体験の両方を身体知化するわけです。ものの見方感じ方が、生の自然体験しかしてこなかった昭和の大人とは違うのは当然です。

★しかし、もしこの生の自然体験を十分にしてこなかったら、そのような人間はどうなるでしょうか。大人になってから、生の自然体験から得られる身体知は補えるのでしょうか?さて、それはわかりません。

★しかし、身体知へと自然体験の変形は、自由と秩序の実は枠組みを得ているとも考えられます。人間と自然と身体知としての精神の循環を制度という論理以前に体得しているとしたらどうでしょう。

★古い時代から自然法と実定法は対立構造があり、近代は自然法を退ける傾向にあります。さてさて、身体知ルネサンスは今実は必要なのかもしれません。

★身体知>論理言語ということなのかもしれませんね。非認知能力の重要性やSELの必要性が語られる知の構造のパラダイム転換ということなのかもしれません。これが2030年以降の学習指導要領に間接的かもしれませんが影響するかもしれません。

★したがって、思考コードの身体知は、はじめから9つの領域すべてを把捉していたのかもしれません。私たちは、その身体知をその子供に有ったツールを通して、すべて開花できる環境をつくることなのかもしれません。

★マシンモデルで、一つ一つの領域をくっつけていくというイメージではなく、もともとある身体知を、言葉が得意な生徒は言葉というツールで、レゴが得意な生徒はレゴというツールで、ダンスが得意であればダンスというツールで、身体知を可視化していくわけです。ツールが個人によって違うので、身体知の可視化が、個性的な才能開花になるのでしょう。

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2050年大学の役割が変わる

★おそらく2050年には、大学は、トニー・ワーグナー教授の発想のようになるのではないかと。日本も18歳で成人になっています。18歳で、グローバルアントレプレナーになるということを意味するのが、2030年以降です。大学は、今以上の専門集団になるのですが、グローバルアントレプレナーは新市場を創出しながら、大学知を活用しながらOne Earthを持続可能にする新しい資本主義経済のサポーターになっています。

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(写真は、bingが作成してくれました。)

★ですから、高校卒業後は、グローバルアントレプレナーとして社会にでるのです。大学に行くもありですが、それは大学卒業後、専門的な知を発展させるスタッフとなるために行きますから、給料がでます。国からの助成金も出ますが、高校卒業後のグローバルアントレプレナーが起業し、必要な知や開発の協力を大学に依頼し、そのコンサル料や開発費を大学機関に支払うというわけです。大学も企業化するのですが(現在もそうですがもっと進化します)、知のニューコモンズとしての役割がベースで、そのために国からあるいは国際機関から認定及び評価され続けます。

★どこかの大学を卒業したから凄いだなんて世界は終焉を迎えています。グローバルアントレプレナーですから、依頼先が海外の大学であってももちろん構わないのです。大学がサバイバルするには、新論文の作成量とその論文によって開発される技術の特許料の資産がものをいうようになるでしょう。

★アントレプレナーを支えるのには、国際機関が世界のアントレプレナーにベーシックインカムを渡します。年金の先渡しのような発想です。そして、70以上には、ベーシックインカムがでなくても生きていける蓄財を準備しておくということになるでしょう。

★介護などは、介護ロボットが活躍していて、幸せな老後が保障されるようになっているでしょう。グローバルアントレプレナーは、One Earthとその延長上にある宇宙に市場を広げているでしょう。市場は無限というわけです。

★地球貢献、宇宙貢献などがお金に換算されるようになり、貨幣の意味が利潤のための交換手段ではなく、多様な貢献を増幅するための交換手段となっているでしょう。もちろん、仮想貨幣になっているでしょう。

★結局、高校の学びは、リベラルアーツ知と経営智を学んで、グローバルアントレプレナーシップを育成するカリキュラムになっているでしょう。大学の学問知の前提の教科の学習知は、今の受験業界が巨大なデータベースに集約し、AIによって、高校生が調べたいときに活用できるようになっているでしょう。利用料は、今のサブスクのような会費制になっていればよいわけです。

★エッ!?国際政治はどうなるのか?グローバルアントレプレナーがOne Earthを持続可能にする世界をWEB3.0 以降のシステムで創っていくでしょう。戦争など論外という世界になります。富の格差をなくすわけですから、富の争奪を巡る戦争はなくなるはずです。

★犯罪は、予防の前に予防できる医療技術が発展しているので、それも回避できるでしょう。

★自然災害も起きないように防衛していきますから、自衛隊や消防団などのシステムも変わりますが、その存在は極めて重要です。もっとも、そこもグローバルアントレプレナーが起業する部分でもあるとなるでしょう。

★そんなグローバルアントレプレナーを輩出するのは、当面私立高校ですが、やがて、アントレプレナーが学校を運営しますから、公立学校は、すべて私立学校になるかもしれません。しかも、メタバースが発展しますから、生徒募集は広域になるかもしれません。

★もちろん、以上全て妄想ですが。

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2030年の次期学習指導要領は、HTHのコンセプトを学校に埋め込む?グローバルアントレプレナーシップへ。

★現行の学習指導要領は、2030年には改訂されます。その見通しについて、文部科学省はリサーチをはじめ、すでにWGをつくってビジョンを立て始めいます。まだまだ全貌はわからないけれど、少なくとも現行の学習指導要領はsociety5.0という未来社会からバックキャスティングしていることは周知の事実です。ですから、多様性だとか探究だとかSTEAMだとかPBLだとかインクルーシブ教育などがキーワードになっていました。SGHやSSHにも力を入れてきて、現場の新しい学びも支援してきました。成功したかどうかはともかく、国際バカロレア校200校計画も進められています。

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(写真はbingに作成してもらいました)

★ハーバード大学のトニーワーグナー教授は、あのHTH設立にかかわっていますが、彼が語っていることの1つに、大学のあり方への見直しです。大学で行っていることのうち批判的思考とか創造的思考とかイノベーション教育については、高校でもできることがあるから、そこをもっと整理してはどうかと。

★文部科学省がこのトニー・ワーグナー教授などの見識やHTHの実践をリサーチしていないわけはないのです。文科省は、最近高校におけるアントレプレナーシップ教育事業を拡大し始めました。大学は随分前からなのですが、高校のこのプロジェクトのキックオフミーティングが行われたのはつい6月のことなのです。

★ようやく、トニー・ワグナー教授やHTHのリサーチの適用を開始しはじめたわけです。というのもHTHは教育内容が最先端だけではなく、資金調達の方法も今までの日本の学校とは違います。まさにこの実践は、アントレプレナーシップ教育プロジェクトのロールモデルなのです。

★HTHが話題になった時、いきなり文部科学省はそれを適用することはできませんでした。各学校も使えるところは使うという方法で、部分的には導入してきました。定期テストをなくすとか、校則の見直しだとか。特に広がったのはPBLの実践でした。経産省が支援したということもあります。

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★文科省が大学のアントレプレナーシップ事業を支援する時に提出していた資料にも、PBLがメインストリームになっているのです。

★現行学習指導要領では、情報とSTEAMと探究が、教科学習とどのように一体化するのか静かに議論しています。現場でも議論がなされています。

★この接点にPBLがあることは間違いないのですが、このPBLは最終的には社会課題を見出し、それを解決するモノを作り出す社会貢献型のアントレプレナーシップにすでにつながっています。家庭科で金融教育をやっているのは、このアントレプレナーシップを将来実際に起業につなげようという目論見は透けて見えます。

★日本国内からGAFAMのような企業を生みたいという色気があるのはわかりやすいでしょう。

★それには、いうまでもなくグローバル教育が必要なのはいうまでもないのです。

★そして、文部科学省が、拡大しようといしているアントレプレナーシップ教育のプロジェクトは「EDGE-PRIME Initiative」と呼ばれています。これは「Exploration and Development of Global Entrepreneurship for Primary, Middle and High School Students Initiative」の略語です。日本語だと、アントレ―プレナーシップ教育といっているだけですが、英語だとグローバルアントレプレナーシップとなっているのです。

★これは、結局グローバルと高度デジタル人材育成とアントレが複合している流れができているということなのです。東工大学が、高度デジタル人材育成の学部に関しては、定員を増やしてよいという政府の緩和があるやすぐに増員の届け出を出したように、着々とこの流れはできています。

★大学入学共通テストにおいて、情報の試験も2025年には実施されます。

★筑波大学の個別入試、つまり一般選抜でもミネルバ大学のような口頭試問型になりそうです。

★2030年ごろの学習指導要領では、濃厚なAIj時代になっている中、教科学習と生徒指導と探究と英語教育と情報教育は、一体化して、グローバルアントレプレナーシップ教育へシフトしているでしょう。あくまでも私のいつもの独断と偏見の妄想にすぎません。

★しかし、そのロールモデルは、聖学院や順天、和洋九段女子、工学院大学附属、富士見丘などでは、先進的なグローバルアントレプレナーシッププログラムが実施されて6年以上経っています。HTHばかりがロールモデルではありません。日本型HTHはすでに生まれ、花開いているのです。

★ただ、「グローバルアントレプレナーシップ」という新しいレンズでまだ世の中が眺めていないから気づいていないというだけです。何せ、今始まったばかりなのですから。

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2023年7月 8日 (土)

変わる中学受験市場(01)驚きの模擬試験コンセプト

★首都圏模試センターの発行している「shuTOMO 第16号(2023年7月12日)」のページをめくって驚きました。同センター主催の模擬試験の広告が目に飛び込んできたのです。

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★同号の特集が「well-being」です。それにもともと首都圏模試センターの模擬試験のコンセプトが「正解がない時代の模試~教育の世界にウェルビーイングを」でした。ウェルビーイングの思考コードまで作成して、今年の模擬試験は始まっています。

★ですから、広告のメインボディに「Well-being」が刻印されているのは、さほど驚かなかったのです。実際日本私学教育研究所や東京私学教育研究所の私学経営研修会や初任者研修会でもウェルビーイングな組織づくりや人材育成がテーマになっているものは多くなっています。

★中学受験市場も私立学校の教育ビジョンも当然呼応するのは自然な流れです。

★しかし、私が驚いたのは、コピーの中に「子どもを幸せにしない中学受験は滅んでしまう。」というものがあることです。しかも「滅んでしまう」はゴチになっているのです。ガチじゃんと叫びそうになりました。

★2021年5月に成立した改正障害者差別解消法の施行日は2024年4月1日です。これにより、民間企業の障害者雇用はもとより、飲食店や小売店などでも障害のある方に対する合理的配慮の提供が義務化されます。中学受験業界は、民間企業が多いですから、このことは念頭に置く必要が確かにあります。それは学校も同じです。

★そして、大事なことは、これは障害のある方だけが対象ではなく、すべての人が互いにリスペクトするという配慮であるということです。つまり、いきにくい状態をつくらない、困っている人に対する合理的配慮も極めて重要になります。

★ウェルビーイングな状態を持続可能にするにはいかにしたら可能かを、受験業界も私学も考えなければならない時代が待ったなしできているのです。

★それゆえ、首都圏模試センターは、覚悟を持って「子どもを幸せにしない中学受験は滅んでしまう」という気概を発信したのです。すごい時代、そしてすばらしい時代になりました。もちろん、実行することが大切です。私たちも気を引き締めて「考動」しなくては。

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GLICC Weekly EDU 第135回 順天学園の魅力を副校長片倉敦先生語る 高い進学実績と社会貢献活動の粋が相関する

★昨日、GLICC Weekly EDU 第135回「順天学園の魅力」で、副校長片倉敦先生が同校の魅力の全容を語られました。同時に同校の教育が教育の根本である人間力とは何かを具体的に展開していることが示されています。独自の教育でありながら同時に普遍的教育であるということが理解できます。

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★また、時代が希求する人間像を牽引する多様なグローバルなアントレプレナーシップを育成するプログラムを丁寧に語ってくださっています。そして、そのアントレプレナーシップは、自己利益を超えて社会に貢献するパーパスが実現されていることが、同校の特色であることも了解できます。

★片倉先生の語りを聴きながら、この社会貢献を遂行する成果まで創り出すプロジェクト型学習の質の高さに驚愕しました。ご視聴される方もそのインパクトに感動するでしょう。

★その中でも、OBの宮地 貴士さんの活動は身に染みます。秋田大学医学部在学中の2017年にザンビア共和国の無医村に診療所を建設するプロジェクト「ザンビア・ブリッジ企画」を立ち上げたのです。支援活動に集中するため、2019年に大学を休学してまでもの意志を貫いたのです。その営みは、多くの壁を乗り越え、成功を収め、多くの医学生たちにも共感の輪を広めています。現在はJA秋田厚生連平鹿総合病院で研修医をしているそうです。

 →)日本人学生がアフリカ僻地で手作りの診療所を建設。5年間を経て開院までを追ったドキュメンタリ

★宮地さんのこのすばらしい活動のドキュメンタリーを動画で見ることができます。キャリアデザインで悩んでいる子どもたちや生徒の皆さんにとってもいろいろなヒントを与えてくれると思います。

★医者であり、経営的手腕もあり、社会課題を解決するプロジェクト実装能力もあります。このような人間力を生み出す順天の教育は魅力的であるのは当然です。ぜひご視聴ください。

 

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2023年7月 7日 (金)

成城学園の社会科の入試問題から見える 成城学園の複眼思考力を育成する教育

★成城学園の中学入試問題は、興味深いものが多いので、ホームページで公開されたらときどき見てみます。今年も面白い問題ばかりですが、1回目の社会科の2番目の問題は、ちょっと感動的でした。

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★この課題文の理解には、深い学びが必要です。というのも、覚える問題というより、世界地図を眺めていたり、日本の地形を眺めていたりしていると推理して解ける問題が多いのです。問いのつくりも実におもしろいですね。

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★問2などは、「ロシア」を答えるのではなく、ロシアを説明している文を選ぶというラテラルシンキングを稼働させる問いがつくられています。世界地図を眺めておく必要があります。中学入試の段階ですから、世界地図を鳥瞰していればまずはよいのですが、この問題は、中高では地政学的な文脈で探究していくことが予想できますね。

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★また産業構造の転換を考える問題なのですが、当然中高では、この延長線上に未来の産業を探究する学びの場があることが予想できます。他にもSDGsに関連するような問いも出題されているし、鉄鉱石生産国ランキングを応えるような問いは、暗記というより、地質学的な想定というかパンゲア時代に知の冒険をするような学びが中高にあるのだろうなあとワクワクしてしまう問題でした。

★要するに、地形学、地政学、地経学、地質学、未来学など、複眼的な思考を養う深い学びが中高で行われていることが予想できる問題なのです。

★先に掲載した課題文の背景にこんなに多角的なアプローチが広がっているのです。学びとは何か?そのモデルが成城学園にはあります。それが分かる入試問題。すてきですね!

 

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日本工業大学駒場の工芸の授業の記事が注目される

★本ブログ「日本工業大学駒場の工芸の授業 工芸品の作り方は世界制作の方法だったの記事のアクセスが増えています。二か月ほど前の記事ですから、日駒か工芸かいずれかの観点からサーチされているのでしょう。本ブログに直接アクセスして過去にさかのぼるということはあまりないですから。

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★学校におけるアートの意味を見つけるNHKなどのメディアの方々がいるといいですね。どうしてもアートはコンテンツベースになり、アートの知にアプローチする方が少ないので、アートの知のインパクトを発見する動きがでてくることをRe-Questいたします。

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学校の組織マネジメントの1つ Re-Questコミュニケーションの大切さ

★学校のマネジメント改革は、この激動のAI時代、急速な少子高齢化の時代、健康概念の見直されている時代・・・に必須です。そんな話を静かな情熱をもって語る校長先生方のミーティングに参加しました。

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★もう何十年も生徒募集に困っていない人気校の校長と生徒募集が右肩上がりになってきた学校の校長などがミーティング。その両方に共通しているのは、校長と教師、部長や主任と教師、教師と教師、教師と生徒、生徒と生徒、教師と保護者などの関係性が良好なことです。

★なぜ良好か?それはコミュニケーションが豊かだからです。

★特徴的なことは、みなが互いにお願いすることです。こうしたいこうやっていきましょうよいかがですか?と。

★すると、その問いを互いに真摯に受けとめ、どうやったらできるのか深く議論し解決していくシンキングルーティーンができあがっているのです。

★つまり、Re-Questですから、何度も探究活動になって、創造的な対話になるのです。

★そんなコミュニケーションはプレイフルだし、そんな様子や雰囲気は磁石のように受験生や保護者、新任教師を引き付けます。魅力的ですから。

★このRe-Questコミュニケーションのマネジメントこそ、ひと・もの・かね・情報があとからどんどん結合してきますね。当然、生徒の学力も伸びますね。楽しく深く学ぶシンキングルーチンができているのですから当然です。

★さて、コミュニケーションマネジメント開発をはじめましょうよということのようです。

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2023年7月 6日 (木)

生成AI 関東第一高校の取り組みや富田勝さんの見識

★文科省から生成AIのガイドラインの暫定版が出されました。そのガイドラインに則った様々な学校の取り組みや大学教授など見識者からのコメントがどんどん増えています。そんな中で、生成AIの光と影の両歩をきちんと見極めアグレッシブに授業にとり入れていくチャレンジをしている関東第一高校の取り組みが毎日新聞で紹介されています。「生成AIは教育に必要?不要? 独自動画で保護者の承諾得た学校も」という記事です。とても参考になると思います。

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★また東洋経済ONLINEでは、慶応義塾大学名誉教授の富田勝さんの慧眼な見識が紹介されています。「ChatGPTの激震で「大学入試」はどう変わる?4つの博士号を持つ冨田勝が今思うこと 生成AIの普及で問われる「人間としての価値」」という記事です。

★ご自身もAIの研究に従事されており、AO入試をはじめて日本に導入した時にかかわってもいて、今後の大学入試についても言及しています。腑に落ちる考え方だと思います。ぜひご参照を。

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2023年7月 5日 (水)

富士見丘 グローバルアントレプレナーシップの先進的プログラム

★富士見丘高等学校のサイトの新着情報に次のような記事があります。「高校2年生 グローバルスタディ演習②」。このプロジェクト型学習は8年以上前から行われていて、同校にとっては当たり前の光景です。グローバルな交流の中で、世界の人々と共に社会課題を解決することによって社旗貢献を果たすプロジェクト学習です。しかもハワイ大学や慶応義塾大学、ISSなどの高大連携も並行進化しているのです。富士見丘におけるグローバル教育は、多様性を受け入れ、国際交流をすると同時に、このようなアントレプレナーシップ育成まで行ってしまうプログラムが出来上がっています。

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(写真は同校サイトから)

★この記事には、グアムチームとマレーシアチームと台湾チームの活動の進捗状況が報告されています。引用してみます。

 グアムチームは、観光学をご専門とするハワイ大学の神末武彦教授によるオールイングリッシュの講義がスタート。この日はオンラインで観光プロモーションの手法や研究の基礎についてお話を伺いました。次回以降は、来日される神末教授に対面にてご指導いただき、探究内容を掘り下げていきます。

マレーシアチームは、現段階で関心を持つ社会課題についてグループで口頭発表を実施。指導を仰ぐ慶應義塾大学理工学部の伊香賀教授と公益財団法人地球環境戦略研究機関(ISS)の藤野先生から講評をいただき、今後の探究の方向性を固めました。

台湾チームは、日本と台湾が共通して抱える社会課題を中心に、解決を目指すべきと考えるテーマについてグループプレゼンテーションを実施。じっくりと先行研究に向き合った成果を発揮しました。

★もちろん、富士見丘の生徒は英語は堪能です。卒業時には最低でも全員英検2級は取得している程です。おそらく30%以上は準1級以上でしょう。

★さて、今年6月3日、文部科学省は、CICTokyoで、高校生等を対象としたアントレプレナーシップ教育の重要性の発信や、大学・自治体・産業界・学校現場等とのネットワーク構築を目的として、「EDGE-PRIME Initiative」キックオフイベントを開催しました。

★「EDGE-PRIME Initiative」とは「Exploration and Development of Global Entrepreneurship for Primary, Middle and High School Students Initiative」の略ですが、すでに富士見丘は、文科省が動き出す8年以上前に、グロバールアントレプレナーシップを実施していたということですね。凄い!

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文部科学省の「生成AIの学校での取り扱い 暫定的なガイドライン」

★NHK(2023年7月4日 15時16分)の記事「 生成AIの学校での取り扱い 暫定的なガイドライン公表 文科省」によると、「生成AIの学校での取り扱いについて、文部科学省は暫定的なガイドラインを公表しました。読書感想文などのコンクールで生成AIの文章をそのまま提出することは適切ではないとする一方、グループ学習や英会話などでの活用が考えられるとしています」とあります。

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(Bing Image Creator によって作成;「フラクタル幾何学が次元をあげているイメージを描いてください」とプロンプト入力)

★創作物をAIでつくるのは、基本禁止ということがメインのようです。AIを使う時の許可の手続きやリスクマネジメント、倫理観の育成なども細かくガイドラインがつくられていて、現場ではほっと一息でしょうか。NHKの記事では、AIを活用した授業も紹介されていて、ガイドラインにそって今後もAIを有効に使った授業を展開しようと。

★紹介されていた授業は、子どもたちが文章を読んで、自分たちなりに理解のプロセスを可視化した段階で、同じ問いを教師がAIに投げかけて、すぐに出てきたAIと子どもたちの考えと照合して、リフレクションしていくという感じの授業でした。

★AIの速さに生徒は驚き、自分たちと同じような回答をしているのにさらに驚きと。AIは自分たちよりまだまだだなと思える回答がでるような問いを投げかけると今後はもっとおもしろくなるかなと。

★今回のガイドラインをつくるにあたって、このことは学校だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあるので、政府は、AIを巡る主な論点整理を相当リサーチしています。私たちが思いつくような点については網羅されており、新聞などのメディアではそこまで細かく論じられていません。もちろん、アカデミックな論文は逆にもっとすごいでしょう。

★その資料の一部にこんな図があります。

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★こんなに生成AIが創られてきて、半導体の莫大な使用によってchatGPT4は凄いことになっているというグラフがあって、日本は開発に遅れているかもしれないから、右の図のように体制を整えようというものです。半導体開発競争に政府が懸命になっているのもわかります。

★AI開発をする高度デジタル人材育成は必須だというわけですから、初等中等教育段階で、注意して使うガイドラインは当然重要なわけです。

★私たちは、この論点整理やガイドラインに書かれていない点をさらに探して安心安全(があるかどうかわかりません。原発のような防げないリスクを内包しているかもしれません)な枠組みの中で、AIを活用したイノベーションやクリエイティブ活動を行っていけるような教育環境をデザインする必要があります。

★イノベーションやクリエイティブ活動を包摂しているのがアントレプレナーシップ教育ですが、よくこのアントレプレナー人材は0を1にすることができるが、AIにはまだできないと言われます。

★しかし、0から1を創るということ自体メタファーであり、そんなことが事実としてあるのかどうかは、判断が難しいですね。悠久の歴史の中にある既存の知識が、組み合わさって、新しい知識や概念、アイデアが生まれてきました。それが混合的な組み合わせだとクリエイティビティを感じない可能性がありますが、化学反応的組み合わせだと、0から1が生まれたような感覚になります。

★こういう文脈で行けば、生成AIはクリエイティブティがあるともいえるのです。フラクタル次元が1次元から1から2の間の次元に上がる計算がなされているようなことは、起こるのでしょう。

★また、プロンプトエンジニアリングというコードを使わないエンジニアリングがここ数カ月の間で話題になっています。NHKで取り扱っているぐらいです。

★これは探究において、あるいはアントレプレナーシップ教育にとって、必要な問いの生成のエンジニアリングです。教師がつくった問いに答えた回答をAIの回答と照らし合わせるだけではなく、生徒自身が問いをつくるトレーニングを生成AIでもできるのです。

★教室において、将棋界の藤井壮太さんのように、年齢を超えてしまう生徒が続出することになる状況を、これから学校が生み出す勇気があるかどうかです。

★高校などでは、PBLなどのような「主体的・対話的で深い学び」では、AI活用を許可するとなると思いますから、必然的にそういうことになるでしょう。教師と生徒の関係は、協働学習者という関係にシフトする場面もでてくることになると思います。

★筑波大学の一般選抜の方法が面接や小論文などで実施する予定を発表しています。AI以上のメタ思考力をトレーニングせざるを得ない状況シフトはすでに生まれているのかもしれません。

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2023年7月 4日 (火)

東京工業大学 2024年度情報理工学院定員40名増を文科省に届ける

★2024年秋には、東京工業大学は、東京医科歯科大学と大学統合をし、新大学「東京科学大学(仮称)」を設置する予定でいるなど、世の中の注目を浴びていますが、6月末には、またもアグレッシブな計画に出ました。それは、2024年度に情報理工学院という学部の定員を40名増加すると文科省に届け出たということです。高度デジタル人材育成の必要性を唱えている政府(以上に民間ですが)に呼応する形で、さすがです。

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(写真は同大学サイトから)

★東京23区は、2018年から2028年3月末まで、地方創世の一環で東京23区規制が課せられていました。東京23区で大学の定員増を原則10年認めないとしたものです。ところが、高度デジタル人材に対するニーズが高いため、2023年2月、政府はデジタル分野に限り、例外措置を講じる方針を打ち出しました。

★そして、政府は6月9日、その方針を実施する旨を交付したのです。すると、満を持して東京工業大学が動いたということでしょう。今後それが認可されるかどうかは、様々な審議の過程を経ることでしょうが、このような動きが日本の未来を創る次世代にとって有益なことは間違いないでしょう。

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文科省 教職大学院の学生を非常勤にと。意外と対症療法ではなかったりする。

★7月3日、ジャーナリストの前屋毅さんの執筆記事「教員不足の対応に大学院生までも動員、もはや「戦時体制」なのか」がYahooニュースに掲載されていました。「教職大学院の学生を非常勤講師とするように推奨する通知を、教職大学を置く各国私立大学長宛に文科省がだした。そこまでやらなければならないほど、教員不足は深刻な状況なのだ。」という問題があるということです。

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(写真は、Bingに描いてもらいました)

★前屋毅さんは、この事態に「教員不足が深刻な状況になっていることは誰も否定しようもないのだが、第二次世界大戦終盤の兵力不足を補うために行われた「学徒出陣」を連想してしまう。その結果が悲惨だったように、けっして明るい展望をもてそうもない。こうした路線は、さらに悪化もしかねない。学部生を「戦力」とするために、教育実習の長期化や教員免許取得者の一定期間の教職就労義務など、まさに「戦時体制」のような状況に発展しかねず、本気で心配になってしまう」と柔らかく不安を表していますが、おそらくこれは、グローバル市民にとっては対症療法だが、政府にとっては、教職大学院にある機能を集中させるマイルストーンなのではないかという懸念があるからこうした表現をしたのかもしれません。あくまで私の独断と偏見の予想ですが。

★教員不足を解消するには、教師になりたいという意欲を生成することです。それが結構高い志になるので、今のところ確かに難問です。働き方改革で条件をよくしても、自分たちの成果が、大学合格実績や就職率をあげることにあるわけではないことに気づいてしまっている以上、それ以外のモチベーションを可視化するにはどうするかということがちゃんと研究されていないとということです。

★それには、現場で自分なりに自分の仕事に価値を見出して奮闘している教師の行動に目を向けることだと思います。いつもメディアが取り上げる教師は、決まっていて、そのような教師は、すでに条件がいいわけです。その条件をみんながもてばよいのか、そうなるとそれはしれでモチベーションがなくなるでしょう。それは、市場の原理で明らかです。

★だからそういうものではない、かけがえのない価値を自ら創って生徒の成長を見守るすてきな教師がたくさんいることに合理的配慮ができる社会構造やシステムをどうするか、文科省だけではなく、メディアやグローバル市民は考えて行動していけるとよいですね。

★それには、グローバル市民をはじめ、政府やメディアの方々も、学びについてグローバル市民と共に学ぶとよいと思います。また教員という人材育成については経営学部も教職系の学部と協力するといいですね。もちろん、新しい資本主義とは何かを考えておくことは大前提ですが。

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2023年7月 2日 (日)

大阪府立水都国際 世界標準のスーパーモデル。太田教頭に聴く。

★先週の金曜日、GLICC Weekly EDU 第134回「大阪府立水都国際中学校・高等学校ー国際バカロレアの探究が育む課題解決力」がありました。太田教頭が開設準備の段階からかかわり、はや6年目。今春卒業生も2回生が旅立ちました。太田先生によると、国際バカロレアコースを設置しながら、そのバカロレアの肝であるTOKというプログラムは、国際バカロレアコースだけではなく、他のコースでも実施しているということです。これは他の学校にはない同校ならではの重要な特色です。

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★このTOKを全学年で実施することにより、教科学習と探究の学びが密接につながっています。TOKは、教科横断型のメタ的な知をトレーニングするプログラムだからでしょう。

★また、すでに中高全学年がそろっているのですが、来年から中学からの生徒が高3になるということもあり、いよいよ水都国際らしさの輪郭が描けるようになってきました。そこで、生徒たちは教師と共に、水都国際の生徒像を独自に練り上げました。ザ水都モデルと呼んでいるそうです。

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(太田教頭の話からインスパイヤーされ本間がイメージした)

★これによって、生徒と教師の関係性もフラットな学習者として互いに活動ができ、それでいて教師をリスペクとする生徒の姿勢としての学校のメンタルモデルがデザインされたわけです。

★ザ水都モデルというメンタルモデルが、水都生の思考・判断・表現・意思決定などの駆動力となているようです。このザ水都モデルと多角的な複眼的な思考力を発揮するTOKプログラムが、同校の教育活動や人間関係を貫く「智慧」となっているのだと感じ入りました。

★多様な探究活動や多くの海外研修プログラムなどについても、今回太田先生は詳しく語っています。またザ水都モデルの全貌も公開してくれています。

★大学進学についても総合型選抜と海外大学の準備教育がベースにあることも説明されています。日本の学校の世界標準のスーパーモデル校です。ぜひご視聴ください。

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筑波大学の入試改革の影響(了)影響力ある中高の学びのあり方 受験業界に影響?

★今回の筑波大学の入試改革の公表は、多様な領域で、いろいろなコメントを喚起していますが、いわゆる東大や医学部にたくさん合格させている学校の学びの具体的状況をリサーチしようという受験業界に善き影響を与えると思います。というのも、以前であれば、東大合格者の数や医学部合格者の数にまず注目がいき、このような合格者を出す理由を、中学入学時や高校入学時の偏差値に求めたり、数学や理科の授業における難関大学の入試問題の取り扱い方に注目して、概ね終了だったでしょう。

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★そのような学校では、国語や英語や社会は、不要教科だとまでいわれているなどという神話が語られもしました。しかし、それは学校の実態とは大きくズレているのです。しかし、ある塾の有力な方々は、以上の観点から学校を観てではなく、受験スタイルを見て、そのような判断をしていたわけですね。

★このような学校と言えば、海城、本郷、豊島岡女子学園やいわゆる御三家を想い受けべれば良いと思いますが、おそらく受験スタイルは、一般選抜が圧倒的に多く、総合型選抜を活用する生徒は少ないでしょう。

★ですから、探究の学びのような総合型選抜に濃厚につながる学びには力をいれていないのだという「推論のはしご」を登ってしまうのでしょう。

★しかし、そのような学校の実態は、上記の思考コードのように、教科学習はたしかに、A1A2A3B1B2B3までがっちりやっていますが、探究だってB2B3C2C3までやっているのです。ただし、このような学校の中には、もともと探究の時間が学習指導要領で設定されるずっと前から、麻布のように土曜日にがっちり教養をカバーするような講座を設定していたので、探究という言い方を前面にだしていないということもありますね。それにあの「論集」や「社会科論文」のような骨太の研究といえるほどのことを行ってもいるわけです。

★海城も、ずいぶん前から、冒険型プロジェクトやドラマエデュケーション、圧巻の論文編集などの学びの環境をデザインし続けてきたわけです。

★麻布と海城の例は、本ブログでもたびたび紹介してきました。

★今年6月の末に豊島岡女子学園の探究活動やSSHの活動について事例発表会があったことについても紹介させていただきました。

★桜蔭や女子学院も麻布、海城のような圧巻の論文編集の学びの環境デザインが昔から行われています。

★一般選抜の受験スタイルを選んでいるからと言って、教養や探究などの活動を行っていないなどとは限らないのです。

★こういった学校の生徒の多くは論文編集能力と読書量は、全国平均を超えるレベルです。

★だから、受験業界全体が、教科学習と探究のような活動の両方がどのようなプログラムになっているのか注目するようになると、日本の中等教育も意外と世界標準レベル以上だということが了解できるはずです。

★そして、受験業界ですから学校間の比較をするでしょう。それは市場の原理でどうぞやって構わないのですが、そのとき、教科学習における難度比較ばかりではなく、探究のような活動の比較もしてくれれば、その領域においては逆転現象が起きている学校もあるということにも気づくでしょう。

★実際に都内の東の御三家のある学校が、都内の西の学校にまで見学に行って、探究やICT領域の学びの活動において、そこまでうちではできない、自分たちが何ができるか考えなくてはと切磋琢磨が起こるような場面もあるわけです。

★もちろん、このような世界標準のレベルの視野を持って、情報収集・分析をしている受験業界におけるシンクタンクもすでに現れています。そこが大きな流れをつくっているという事実もあります。

★対話型の生成AIが登場して、教科学習については、思考コードの差を埋めるデフォルトモードの学びの環境ができてきます。今のところ、そのようなAIを使って論文や作文を提出しないという禁止条項への流れの話が注目されていますが、プロンプトエンジニアリング(問い生成エンジニアリング)の流れが教育に入ってくると、知識・理解や論理の思考作用についての学びは、差がなくなります。

★学校の学びの特色は、「適用」「批判」「創造」の思考作用の学びの環境をいかにデザインするか、そのクオリティの共創的競争になるでしょう。先日、そんな話で意気投合した若き受験業界のデータサイエンティストたちに出会いました。

★おそらく、最終的には、「コミュニケーション」や「対話」の質を求めるようになっていくでしょう。ここの分析も、もはやAIでできてしまうのです。今ままでは、実はあまりこの領域の進化がみえなかったのです。理念的段階で終わっていたのです。ところが、それがグッと進むことになるでしょう。ただし、AIはそのクオリティを分析できても、自分で質をあげていくことは今のところできません。

★とはいえ、既存の情報を組み合わせるとそれが混合ではなく化合することがあります。すなわち、化学反応を引き起こすことはあるので、油断はもちろんできないのですが。

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2023年7月 1日 (土)

筑波大学の入試改革の影響②果たして大学入学スケジュールを変更できるのか?学生広報活動ではなく学生募集戦略という学問的視点へ。

★筑波大学の一般選抜の大胆な改革の話は、私の周りの盟友たち(といっても100人くらい)にとっては、いい傾向だという認識があるのですが、一方でスケジュールがなかなか難しいかなと但し書きがつくわけです。彼らが語るスケジュールをざっくりまとめてみました。もちろん大学個々によるので、一例にすぎませんが。

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★たしかに、共通テストと面接と小論文で一般選抜を実施するとなると、アナロジーとして米国大学の話がでてきます。しかし、米国の場合、9月大学がスタートする場合、1月から2月に出願して3月から4月(5月になる場合もあります)くらいまでに合格の連絡がくるわけです。極めてたっぷり時間をかけているわけです。

★それがバタバタと2週間くらいで合否を出す国立大学では、米国型の大学入試スタイルは難しいのではないかというわけです。

★国立大学の場合、総合型選抜でも、3,4カ月かけるわけですから、一般選抜の方式を共通テストがあるとはいえ、1カ月もかけられないのに、米国型や総合型選抜のような入試スタイルは現実的かどうか。

★少なくとも共通テストを12月に行い、2月上旬に一般選抜をやるということにしなくてはとなるけれど、そんなことができるだろうか。ことは、国立大学の一般選抜の入試日だけの問題だけでは済まないのだからと。

★だから、これは国立大学の中でも推薦入試の十分な実績がある筑波大学の特有の話で、国立大学全体に影響はしない。でも、中高の現場は、これによって、明快に教科学習と探究の時間の相互関係をどうすべき議論や開発が続くのは必然の流れなのだと。基礎学力と才能開発は両方必要になるのだから。

★なぜなら、筑波大学の今回の話は、学生募集のエンロールメント・ストラテージの話で、いわゆる学生応募広報活動の話ではないのだというわけです。彼らが言うには、日本だけ見ていると、学校広報活動は量の問題になってしまう。学生募集戦略は、世界では学問になっていて、ビジネスのマーケティングの話で終わらない。というより、マーケティングだって本来学問で、よく理屈じゃないとか質より量だとかいう、マーケティングは、世界標準ではないでしょうと。

★いちいち学問だなんて、あれっと思いますが、あらゆる行動が、学問として取り扱われているのが、海外大学の市民社会と結合している姿なのだと。なななるほどオっ。。。

★偏差値の話の問題は、一握りの数の学生の能力だけが日本社会や世界で活躍するような幻想を作り出すところなのだというわけです。たしかに、東大、京大、東北大学、東工大、一橋大学、京都大学などに進むメンバーだけが世界をつくているわけではないですよね。それ以外の国立大学の学生も活躍しているわけです。

★筑波大学に入学する学生の大部分は、偏差値輪切りの受験システムを通してくるわけですが、才能はそのふるいにかけられていないわけです。おそらくスルーされているでしょう。しかし、アンコンシャスバイアスがあって、学生自身が偏差値学力=才能だと思っているのが現状です。

★少子高齢化であっても、一学年まだまだ80万人くらいが5年後移行続くわけです。シンガポールやフィンランドなど全人口が600万人いかないのです。日本は13歳から22歳の年齢人口は800万人以上いるわけです。

★この年齢層の才能開発をすることが、日本のネガティブなイメージの社会を払拭することです。東大は東大のやり方で才能開発すればよいし、筑波大は筑波大のやり方で才能開発すればよいわけです。入学の際、それぞれアンコンシャスバイアスが、学生を覆っています。しかし、そのバイアスは、各大学によって違います。もちろん個人によって違います。

★ですから、社会的メンタルモデルと自己メンタルモデルは相互に影響し合っていますが、面接や小論文は、その両方を見つめ、自己変容することが可能な機会をつくることになるでしょう。

★その筑波大モデルができることは、もしかしたら、日本の生徒や学生にとって希望であるかもしれません。東大レベルの受験対策を実施している教師や塾の先生方にとっては、東大が筑波大モデルを採用しては困るでしょうが、東大はすでに推薦入試と外国語学校卒業者入試のシステムを構築して東大モデルをつくっているので、採用するはずがありません。何も心配する必要はないのです。東大を合格させるための受験対策は、今まで通り行えばよいだけです。

★ただ、それは3300人の生徒のお話です。現状まだ高校3年生は100万人はいますから、0.3%の生徒の話です。0.3%の生徒の学びのモデルを100万人にかぶせる必要はないのです。100万人がそれぞれどのようなハッピーな人生を進むかは、それぞれです。国立大学がそれぞれの大学の特色をスケジュールや文部行政の枠の中で創意工夫するのは、大いに結構ではないかと思います。

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