GLICC Weekly EDU 第130回「首都圏模試センター×GLICCー2024年度中学入試最新情報」北一成氏の予想
★昨夜、GLICC Weekly EDU 第130回「首都圏模試センター×GLICCー2024年度中学入試最新情報」がありました。首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏の市場の変化の見通しと2024年中学入試の動向予想の貴重なトークを聴くことができました。
★北氏は1986年から中学入試の動向を見てきています。今までに3つの中学入試の波があり、それぞれの中学入試の波を生み出してきた要因を時代の変化と関係づけながら分析しています。第3の波は、2014年から始まっていて、その要因は、各私立学校の授業や教育活動における学びの環境の卓越性に受験生・保護者が着目しているからだと洞察しています。
★2013年以降、高大接続改革や学習指導要領の改正の議論が高まりましたが、それは世界の教育情勢やICTを活用した21世紀型スキルをベースにした新しい学習がGAFAMと共に世界を席巻している時代の流れと同期しています。
★私立学校はすでに2011年3・11以降、急速にこの世界の動きをキャッチし、独自の学びの視野を広げ深めてきました。それが文科省や経産省の動きと共通するところもあり、ある意味コレクティブインパクトを引き起こし続けています。
★北氏は、同センターの代表取締役山下氏と協働し、この新しい学びを体現している新タイプ入試についての取材・インタビュー、ワークショップイベントを進めてきました。また、偏差値及び多面的評価(思考コード)という両方の共通尺度を、晶文社や声の教育社などとも協働して受験市場でシェアしてきました。
★まさにコレクティブインパクトの条件を次々とクリアしてきたわけです。そして、中学受験の第三の波が10年目を迎えることになるわけです。予想では、ここから先第4の波にシフトし始めると北氏はこれまで予想してきましたが、もうしばらく続くと上方修正っすることになるかもしれないと今回語っています。
★たしかに、北氏の考え方をお聞きするにつれ、北氏が2014年から仮説を立ててきた3つの受験市場のゾーンがどんどん実現していることがわかります。
★そして、第3の波がしばらく納まって、第4の波にシフトするというより、納まることなく右肩あがりのまますぐに第4の波にシフトするのではないかと思えてくるのです。
★というのも、第3のゾーンは、「好奇心ーオープンマインドー問い生成」を生みだせる文理融合的な才能児を発掘する新タイプ入試をやっているのですが、これは入学後の6年間のカリキュラムもそのような環境になってきていて、そこから海外大学や総合型選抜でいわゆる偏差値ではなく、成長尺度で大学に進んでいく世界ができているのです。
★今までは、AゾーンとCゾーンでは、合格する大学の難易度が違っていたわけです。2011年までは、Aソーンに行けば勝ち組になれるという意識があったことは否めないでしょう。ところが、今ではAゾーンでもBゾーンでもCゾーンでも、生徒は自分の「好奇心ーオープンマインドー問い生成」という成長度に応じて、行きたい大学に行ける時代になってしまったのです。Cゾーンから東大に行きたいと思えば、チャレンジできるようになりました。ただ、世界の大学を選択できるようになってもいるので、東大以外の世界大学ランキング100位以内の大学の道も開かれてしまっているのです。
★第3の波は、A,B、Cゾーンが垂直的序列主義的な枠組みの中でそれを崩そうという動きでしたが、第4の波は、もはやそれは崩れて水平的多様性の枠組に変容し、「好奇心ーオープンマインドー問い生成」という才能・技術・寛容性が生徒1人ひとりの個性が、独自性と社会貢献性の両方のベクトルで出来上がるようになっていきます。学校選択が、その生徒1人ひとりの個性にマッチングするかどうかになるでしょう。
★では、垂直的序列主義はなくなるのか?いいえ、日本社会全体が、まだまだその主義から抜け出せないので、私立学校が卓越的にその垂直的序列主義を超えてその上空で水平的多様性を生み出すという教育社会的構造になるでしょう。これが第4の波の本質だと。北氏の論を展開していくとそうなるなあと独断ですが思うわけです。
★それでは、結果的に私立学校と公立学校の垂直的格差はなくならないではないかと。現状ではその通りです。しかし、それは、公立学校も「好奇心ーオープンマインドー問い生成」の学びを新学習指導要領を読みことによって可能にしていけば、格差はなくなります。
★これは経済格差ではなく、学習観格差ですから、やろうと思えばできます。今はそんな馬鹿なと思う人も多いでしょうが、2025年、いよいよ21世紀型教育を全うした生徒が大学を卒業して世にデビューします。21世紀型教育ベースのZ世代は「好奇心ーオープンマインドー問いの生成」という「考動」力を持っています。第5の波は、日本の教育全体が水平的多様性の世界になるでしょう。
★以上のようなことを北氏のトークから、インスパイアーされました。ぜひご視聴いただき、それぞれに未来に視座を広げてみましょう。
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