変わる私立中高(37)中学入試市場の第4波シフトの意味 思考コードが映し出す学習観の水平的多様性への移行
★「GLICC Weekly EDU 第130回「首都圏模試センター×GLICCー2024年度中学入試最新情報」北一成氏の予想」で、北氏の考え方からインスパイアーして、中学入試の第4の波へのシフトを妄想したわけです。2014年から右肩上がりの首都圏の中学入試の第3の波の大きな要因を北氏は、「学び方の変化」と指摘しています。それがゆえに、思考力入試や英語思考力入試など新タイプ入試が急激に増えてきた可能性が大だと。
★さらに北氏は、中学入試市場を3つのゾーンに分けており、そのうちCゾーンが勢いをつけてきた流れが、この第3の波が生まれてきたこととかかわりがあるのではないかと。そこで、このそれぞれの3つのゾーンの学習観を思考コードに対応させてみました。上記の図がそれです。濃い領域がそれぞれのゾーンの学びの重点領域です。
★大学入試が一般選抜の受験生数が総合型選抜に比べまだまだ多いので、この3つのゾーンは、まだまだ垂直的序列主義の枠組ですが、世界の情勢が、この垂直的序列主義を水平的多様性に移行させる動きが相当でてきています。もちろん、それは限定的ではあるので、ある領域ZとY領域では、垂直的序列主義型ではあるけれど、Z領域内では水平的多様性になるという入れ子型のシフトの過程をたどることにはなります。
★この過程段階を中学入試市場においては第4の波だと妄想しているわけです。水平的多様性とは、あらゆる差別を見直し、フラットにしていこうという時代の要請でもあるのだと思うわけです。そうなってくると、3つのゾーンは融合していきます。
★すでに、この第4の学習観はイメージされています。しかし、まだ学校現場では、すべてがこうなっているわけではないのですが、どのゾーンもこの方向に動くようにアフォードするコレクティブダイナミズムが多方面で起きています。高大連携然り、探究の学び然り、英語の学び然り、大学入試の多様性然り、インクルーシブ教育の必要性然り、エンパワメントの動き然り、SDGsの動き然り、人間の安全保障についても然り、グローバル経済の倫理ベース然り、アントレの重要性然り、平和創造の問題然り、リスキリング問題然り、シンギュラリティ―の加速化然り、あらゆるところで、学習観は、中学入試における第4の波へのシフトと同期していると思えてならないのです。
★第4の波の段階では、私立中高の学習観の水平的多様性を生み出しますが、公立との関係はまだ垂直的序列主義の関係が続いています。しかし、それはやがて、水平的多様性にならざるを得ないでしょう。そうすることで、大学のみならず、中高段階でも海外の生徒が日本に留学しにやってくるのです。この動きはすでに生まれています。少子高齢化が進めば、そうならざるを得ないでしょう。この段階が中学入試市場では第5の波となるでしょう。2030年から2050年の間に、それがはっきり見えてきます。内閣府が実施しているムーンショット計画との同期が起こるからです。
★英語でも日本語でも第4波の学習観で学ぶようになると、海外の中高大の留学生がかなり訪れるようになるでしょう。この動き自体は、内閣府や文科省、経産省の政策にも同期します。政策が実現するかどうかは、法整備とその内実である学習観の整備ということに気づくはずです。そして、これによって、1930年のケインズの予言が日本で的中することになるのです。
| 固定リンク
「創造的才能」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
- 2025年中学入試動向(1)学校選択の新しい見方(2024.11.07)
「21世紀型教育」カテゴリの記事
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 2025年中学入試動向(33)聖学院 STEAM教育 成果着々(2024.12.11)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(4)ケイトスクールとの類似点いくつも(2024.12.11)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(2)インターナショナル≦グローバル(2024.12.09)
「中学入試」カテゴリの記事
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 2025年中学入試動向(33)聖学院 STEAM教育 成果着々(2024.12.11)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(4)ケイトスクールとの類似点いくつも(2024.12.11)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(3)グローカルな諸問題を解決する方法を使う(2024.12.11)
「大学入試」カテゴリの記事
- リスクマネジメントしての中学選択(05)共愛モデルに学ぶ(2024.12.02)
- 新しい社会の在り方を「人間—テクノロジーー世界」の多様な関係性でとらえる世代(2024.09.17)
- 2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(06)児浦准教授のEUU構想に希望(2024.09.08)
- 「問いの力」AI社会でも変わらないコンセプトレンズ創出力~福島県私学教育研修会でWSを実施して(2024.08.26)
- 2027年新学習指導要領 経済面が強く影響?(2024.08.13)
「創造的対話」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(15)日大豊山女子 新タイプ入試60%占める ルーブリックも公開(2024.11.25)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
「創造的破壊」カテゴリの記事
- 本田由紀教授の短いメッセージにも日本の根本問題を暴く(2024.10.29)
- 日経ビジネス 禅と哲学 駒沢学園女子の教育がグローバルなわけ(2024.10.22)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(了)2050年以降の社会は、だれもが創造的才能者になる(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(7)2050年以降の社会を創出する創造的才能者を生み出す教育(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(6)いわゆる高偏差値学校の教育と筑駒湘白型教科教育(2024.10.01)
「思考コード」カテゴリの記事
- 筑波大学の入試改革の影響(了)影響力ある中高の学びのあり方 受験業界に影響?(2023.07.02)
- 筑波大学の入試改革の影響①教科授業と探究の機能の意味が現場で明快になる(2023.06.30)
- チャットGPTと思考コードプロンプト(2023.06.29)
- 生成AIにおけるプロンプトエンジニアリングと思考コード(2023.06.23)
- 変わる私立中高(38)中学入試市場の第4波シフトを促す生成AI リアルな対話以上にリアル(2023.06.05)
「PBL」カテゴリの記事
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 聖書・宗教の授業・礼拝 聖ドミニコ学園・聖学院・桜美林・恵泉・湘南白百合・女子学院・普連土など 自己を見つめ世界の痛みに向き合い対話し言葉を紡ぐ(2024.11.26)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
「高校入試」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(26)日駒 コンパクトでパワフルなカリキュラム(2024.12.03)
- 2025年中学入試動向(22)文大杉並 interactionからtransactionへ突き抜ける(2024.11.30)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
最近のコメント