サレジアン国際学園 中学校高等学校 すでに世界学校だったことが明かされる過程
★サレジアン国際学園。赤羽駅から10分ほどスロープを歩いていくと小高い丘にパッと開ける私立中高。正門の向こうにある校舎からは、まるで両腕を広げて、柔らかく温かく包み込んでくれるかのうような愛情が伝わってきます。キャンパスの中にはいると、その空間もゆったりとしたスペースが広がっています。廊下は木でフローリングされ、生徒たちは自然の中の道を歩いているかのようです。その仲間と歩いている姿に心地よさを感じるのです。
★しかも、iPadを抱えながらみな教室間を歩いています。インターナショナルクラスでは、オールイングリッシュで、数学や理科、社会の授業も行われていました。トリガークエスチョンにピアレビューしながらあるいはディスカッションしながら、同時に調べながらというプロジェクト学習が行われていました。別の時間に立ち寄るとプレゼンの準備にヒートアップしていました。
★本科クラスは、ちょうどゼミナールが実施されていました。プロジェクト学習であることはインターナショナルクラスと同様で、いわゆるPBLが貫徹した21世紀型教育がナチュラルに展開していたのには驚きました。
★理論物理の「輪講」を行っていたり、非線形方程式の周期解をもとめる関数変換を生徒がプレゼンしていました。福山雅治さん主演の「ガリレオ」で数式を書いている福山さんの様子さながら。カッコイイ!と感じました。同校の姉妹校であるサレジオ高専の先生方(大学教授)とも連携してしているロボティクスのゼミナールは超人気で参加者は溢れていました。プログラミングの書き込みに没入している生徒たちもいました。
★グローバル教育や外国語教育以外に理数教育にも受験勉強をはるかに超える本格的かつ専門的な活動に取り組まれているのには、衝撃的でした。
★ネーティブスピーカーの先生方は12人前後いるようでした。その中の1人である主任の先生が声をかけてくださったのですが、サレジアン国際で行われているロジカルシンキグについて、表層的な話ではなく、瞬間でしたが深い説明をいただきました。また思考コードベースのルーブリックとシラバスの関係についても、深い知見をお聞きすることができました。やはり人材の豊かさだなと。
★また、今回案内してくださったのは同校の募集広報部部長の尾崎正靖先生でした。尾崎先生は、本科コース推進部部長でもありますから、学びについてその理論と何より生徒の反応や成長について表層ではなく深層にダイブしながら語ってくださったのです。
★SDGsの話になったとき、サレジアン国際学園のSDGsは、教皇フランシスコが語る公式文書「ラウダート・シ」に沿うもので、他校で実践しているSDGsの取り組みとは少し違うのですと。たしかに、教皇フランシスコは、2015年にSDGsが採択されたとき、国連で共にこのゴールを達成していこうとエールを世界に贈っていました。しかし、その意味は、とても深いものです。
★というのも、教皇フランシスコは、あのアッシジの聖フランシスコを意識されているのは、その名前から明らかです。中世の聖人フランシスコは、エコロジストの守護神です。小動物と対話ができたというエピソードがあるほどですが、技術的にエコロジストであるだけでは足りないものがあるのです。教皇フランシスコにとってSDGsが達成されたとなるには、自然と経済が循環するだけではなく、自然と社会と精神が循環するための隣人愛が満ち溢れなくてはならないのでしょう。
★SDGsは2015年に採択されたわけですが、その精神はカトリックの聖人フランシスコ及びサレジアンの創立者ドン・ボスコの精神に結びついているものなのだと尾崎先生は語るわけですね。
★サレジアン国際学園は世界市民の育成を目標にしていますが、この世界市民は、自然と社会と精神をぶどうの木のように循環する愛と平和を導く使命を引き受けるのでしょう。英語ができること、ICTが使えること、才能を発揮すること、ディスカッションやプレゼンができることなどは確かに21世紀型教育のベースではありますが、それはサレジアン国際学園にとっては氷山の一角であり、その水面下には、もともとサレジアン国際の教育が世界学校であることが根付いていたのでした。
★21世紀型教育はその目では見えないサレジアン国際学園の心の部分を世に照射することに役立っているのにすぎないのかもしれません。世界のサレジアン学校が連携し、予測不能で混迷している国際社会、凄惨な事件が起きている身の回りの社会、そんな中で凍てついたガラスの心に震えている人間を、良き社会、良き市民へ導いていくことになるのではないかと感じながら同校を後にしました。
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