変わる私立中高(15)啓明学園に集う。プロジェクト学習における評価方法に挑戦する私学の先生方。
★昨日5月1日(月)、啓明学園で研究会がありました。多くの学校の先生方が集まりました。同校の建学の精神と世界の根源的な問題を広く深く学んでいく探究の公開授業があったのですが、共通の関心を抱いている私学の先生方が多いのに感動しました。まず大坪校長の同校の建学の精神と教育のビジョン、続いて東京私学教育研究所の平方所長の同校のような新しい挑戦の意義が語られ、研究会の最後には夏坂理事長の企業と学校の人材育成の共通点などのお話がありました。かなり大きな世界の動きの枠組がセットされ、その最前線で啓明学園の教師のみなさんが使命を引き受けて教育に立ち臨んでいることが了解できました。
(ディスカッションは啓明学園の教育のベースです。写真は同校サイトから)
★同校の教員のナビゲートにしたがって研究会は進みました。まずは、同校の探究の背景やその成立のプロセスのレクチャーがあって、その後高1と高2の授業公会でした。高1は「平和」についてというコア概念を生徒がどのように理解していくのかその広がりと深堀が生まれ出でるディスカッションが公開。
★高2は、自分たち自身がどのような課題設定をするのかパフォーマンス型の問いの創出のためのディスカッションでした。
★同じディスカッションでも、高1は、まず3人の教師がそれぞれキーノートスピーチをするところからはじまりました。高2はいきなりディスカッションです。探究の授業を系統的にプランニングしているので、生徒の学習の発達段階に適合するように考案されていることが了解できました。
★その後、授業へのリフレクションが、参加者をグループに分けてディスカッションをするワークショップ形式で行われました。相互に情報交換をしたうえで、質疑応答という仕掛けですが、当然これは生徒の探究の授業においても行われている仕掛けでしょう。参加した先生方は、授業見学だけではなく、授業にも疑似的に参加できたので、当事者意識が生まれていました。
★そのうえで、教育方法学が専門で、教育評価に関してもいろいろなところで講演されている東京学芸大学の小山英恵准教授のまとめのコメントがありました。
★ディスカッション、その時に活用される概念マップやノートテーキングなどの学習ツールの有効性などについて語られたあと、生徒のインタビューのデータの質的研究の仕方についてアドバイスがありました。探究の授業はパフォーマンス型課題を設定することによって、本質的な問いと生徒自身の内側から生まれる問いのスクランブルになります。そしてさらにディスカッションすることによって間主観性の世界が広がります。
★客観的な知識を理解するだけではなく、生徒自身の生活=人生そのものを捉えかえし、それがディスカッションなどにより他者との理解を広げ深めていく世界作りにつながっていくのですが、それは独りよがりでも誰かが与えた客観的な物でもなく、互いの主観がインターサブジェクトとして生きる世界を創り上げていくわけです。
★その正当性、信頼性、妥当性、適合性をどのように評価するか。これは定量的にはなかなか見出すことができないので、質的研究(質的調査)が必要なのですが、まだまだそれは、現場で確立されていません。
★しかし、小山先生のコメントは、啓明学園で行っているインタビューやアンケート調査は、そこにチャレンジしているのだということを示唆しているようでした。そして、そこに参加した先生方も興味と関心があったように思われます。
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