変わる私立中高(30)生成AIが育成する資質・能力 文科省の懸念と期待
★5月23日、文科省は各学校に次のような通知を配信しています。「Chat GPT 等のいわゆる生成 AI を活用した様々なサービスが生まれる中で、学校現場における生成 AI の利用については、AI による誤回答や AI 生成物か否かを見分けられないなど、様々な議論や懸念の声があるものと承知しており、子供達の批判的思考力や創造性への影響、個人情報や著作権との関係などについて整理が必要であると考えております。
一方、学習指導要領では、「学習の基盤となる資質・能力」として、「情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見したり、自分の考えを形成するために必要な能力」である「情報活用能力」を位置付けており、新たな技術である生成 AIを使いこなすといった視点も必要です。これらを踏まえ、文部科学省では、政府全体の検討状況や中央教育審議会の議論を踏まえ、生成 AI の学校現場での利用に関するガイドラインを夏前を目途に策定・公表することとしておりますので、お知らせいたします。」と。
★夏まで待とうと思うけれど、文科省は子供たちの批判的思考と創造性にネガティブな影響を与えるのは避けたいと、逆に言うならば、批判的思考と創造性を大切にしているということが改めて確認出来てうれしいですね。
★さて、チャットGPTに、「君は批判的思考や創造性を豊かに持っているの?」と聞くと、瞬時に「私は大きな言語モデルであり、批判的思考や創造性のような人間の特性を持っていません。私は与えられた情報を元に文章を生成することができますが、自己意識や主観的な思考は持ちません。ただし、私が持っている情報を利用して、問題解決やアイデアの提供をすることは可能です。」と。
★なんだ安心じゃないかと思いきや、でも提供は可能だとある。おやっと思い、何か具体例、災害を起こす原因の一つである気象変動を防ぐにはどうしたらよいかと尋ねると、これまた瞬時に大量に回答するのです。あまりに膨大なので、400字でまとめてよと訊くと、「気候変動を防ぐための取り組みは多岐にわたります。温室効果ガスの排出削減、再生可能エネルギーの利用促進、持続可能な交通手段の普及などが重要です。また、森林保護や循環型経済の推進も効果的です。教育と意識向上も欠かせません。さらに、持続可能な都市計画や農業・食品生産の持続可能性の向上、国際協力と政策調整、研究と技術革新も重要です。これらの取り組みは統合的かつ継続的に行われるべきであり、個人の努力だけでなく、政府・企業・国際社会の協力が必要です。気候変動対策は緊急を要し、早急な行動が求められています」と。
★とくに批判的思考がはいっているわけでもないし、創造性によって作成されているわけでもないから大丈夫だ。というわけにはいかないですね。
★情報収集し整理するときに、論理的にただ整理するわけではないのです。このような整理の仕方に整合性があるかどうか論理は明快だけれど、妥当性や信頼性はあるのかとチェックするときに批判的思考が稼働します。何か違和感を感じたり、この見通しでは将来どうなるのだろうか未来から考えるとき創造性はいるでしょう。
★その結果上記のチャットGPTのようになるかもしれません。それがもちろん、既存の情報に過ぎないので、さらに新しい発見をとなるのですが、この端的な制作的創造性以外に、意外と大事なのはプロセスの創造性です。知識を記憶するときも実は創造性が必要です。
★そういう意味では、チャットGPTが与える影響力は、微妙ですね(汗。
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