変わる私立中高(33)越境知を体験する中高生②パウロの生徒たち
★先日、聖パウロ学園の理事会がありました。新校長の小島綾子先生を迎えての理事会。パウロの歴史始まって以来初の女性校長です。今年はパウロは開校75周年です。この節目に女性校長誕生はとても意味があります。世界が希求しているすべての生徒にエンパワーメントをという力が溢れだすからです。実際、4月、5月という2カ月で、今までにない生徒主体の教育活動があふれ出しているのです。
★生徒が主体的に考えて行動するというのは、ただ積極的にことをなすことを言うのではありません。世界への興味と関心を抱き、それがゆえに世界の痛みにも気づき、自分では何ができるのか、小さな動きでもいいから考えて判断して世界貢献に動き出すというチェンジ―メーカーとして「考動」するということです。
★生徒会選挙、体育祭、文化祭、部活などの教育活動など生徒が企画運営してしまいます。学年を越境して活動していきます。あらゆる行事はアート活動も行われます。そして、探究ゼミや哲学対話という横断的な思考様式をトレーニングし、ボランティアや森の教室プロジェクトなど外部の団体と連携しエンパワーメントやエージェンシーのコンピテンシーやテクノロジーを実装していきます。
★探究ゼミと哲学対話は、その思考のエンジンとしてトゥルーミンモデルやアブダクションなどの正解のない問いを自ら見出し、洞察していくクリエイティブティや批判的思考が発動する仕掛けがしっかりなされています。各教科の授業でも20%ルールがあって、そのような思考の時間を設定しているのです。あらゆる教育活動が有機的に結合する仕掛けが緻密に計算されています。
★あらゆる活動で生徒が主体的になれるのは、そのような思考型教育が氷山モデルでいう水面下に見えない学力としてあるからですが、何よりメンタルモデルが効果的利他主義=黄金律を根っこにもっているということです。
★もちろん、このメンタルモデルは、自分の殻を破って越境していく勇気と自信を3年間でもっていくことによって成長していきます。自分の殻を破るには、自分ひとりの力ではもちろんできないので、多様な対話や体験、協働的な活動などを通してそのきっかけをつかんでいきます。
★そして、他校にはない森の教室という空間が強烈に生徒のメンタルモデルの成長をアフォーダンスしていきます。あのヘンリー・ソローは森の生活を通して、人間のウェルビーイングを生み出す活動をしました。おそらく、生徒は気づかないうちにそのような影響をソロー同様パウロの森から影響を受けることになります。
「どちらへ歩いていこうか決めるのがかなり難しいときがあるのですが、なぜでしょうか。「自然」の中には微妙な磁力があると私は思っています。知らず知らずそれに従うなら、ふさわしい方向に導いてくれるでしょう。私たちがどの方向へ歩くかは、どうでもよいことではないのです。ふさわしい方向があります。しかし不注意と愚かさのために誤った方向をとることが、とても多いのです。現実の世界でまだ歩いたことのない道、内面の理念の世界で旅する道を、歩いてみたいものです」(ヘンリー・ソロー「歩く」62ページから)
★パウロの教師は、生徒といっしょに、自らも内面の理念の世界で旅する道を歩いています。生徒1人ひとりにとってふさわしい方向を見つけるためのキャリアデザイン。その過程で大学の一般選抜を突破する必要があるのなら、放課後ヴェリタスという講座を開設します。総合型選抜で行くというのなら、探究ゼミやボランティアの活動を共に深く深くアプローチしていきます。海外大学の環境を選ぶというのなら、ともに合格戦略を考案し、徹底的に英語で対話していくでしょう。
★1学年の定員80名だからできる個別最適化と協働学習の統合化、学習指導と生徒指導の一体化、探究と進路の一体化、身体とメンタルと社会性と超自然的精神の循環化の教育活動をしています。80周年に向けて、繊細にそして大胆に教育システムをトランスフォームしていくでしょう。
★それが小島綾子校長のチーム作りです。勝俣副校長、大久保教頭、松本主幹が校長を支えながら進む期待のパウロ学園です。
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