変わる私立中高(21)コンテンツもコンピテンシーもパフォーマンスも 教科授業も探究も 数学的思考の世界現象であり、そのことの気づきがアート
★ここのところアートの先生や数学の先生の話をお聴きすることが多いのですが、アートと数学は緊密に結合しているなあとしみじみ感じます。アートも数学もそのデザインする世界のヴァージョンは多様ですが、そのヴァージョンを生み出すシステムは極めてシンプルです。このことはプラトン以来、多くの人々が語っているのですが、氷山モデルでいう水面下の深淵部に埋め込まれあたかも忘れているかのようです。
<世界ヴァージョンを生み出すシステム>
★ところが、アートや数学の先生方の話をお聴きすると、その深淵部から世界制作のシステム項目が見えるし、シンプルな要素どうしが結びついて複雑な世界ヴァージョンを生み出しているのが見えます。
★ただ、アートや数学の先生が、教科書の枠内の話を語る時は、そのシステムは隠れます。両者の先生方にとっては、自分の専門領域では身体化あるいは自動化あるいは暗黙知化されているからです。
★ところが、最近の対話では、専門領域を離れた場所で、もっというと専門領域以外の世界で対話した時に、世界ヴァージョンを生み出すシステムが見るのです。そのシステムは、上記の図の5つの項目が論理的連言で組み合わさることによって成り立っています。
★生活世界のさまざな具体的な事象を、5つの項目視点から観察し、論理的連言で再構築したり脱構築したり。新しいヴィジョンが現われれ、それに伴う新しい世界ヴァージョンが立ち上がります。
★それは、宇宙が多様な星や惑星が宇宙を作っているのに似ています。しかもその宇宙ですら多元的です。多元的でとても一つに還元できないのに、それぞれがあるのです。世界があるのか?宇宙があるのか?あるのはおそらく世界ヴァ―ジョンを創出するシステムという存在でしょう。世界や宇宙が誕生する前から、そのシステムはすでに在ったはずですから。
★存在は、それゆえ世界ではなく、生み出す仕掛けにすぎないのかもしれません。玉ねぎの皮をむいていったら種など何もないのと同じような感覚?カンタン・メイヤスやマルクス・ガブリエルが言っているような新実在論的な話になっているかもしれません。やはりアートや数学の先生方は、時代の変わり目に、そのシステムの存在を可視化するのですね。
★いずれにしても、この「5つの項目×連言」システム=ファンクションシステムを皆使っているのですが、文科系は、その連言は多様な接続語と多様なコンテンツやテキストという多様な世界ヴァージョンに目が行き、このファンクションシステムは見えなくなっています。
★しかし、最近探究とエッセイの学びに、トゥルーミンモデルや三角ロジックを演繹推論、帰納推論、仮説推論などと結びつけてプログラムを組む先生が数学の教師に限らず現れてきました。国語の先生やキャリアデザインに携わっている先生に多いと思いますが、そのような先生方は、アートや数学の先生方の持っているファンクションシステムと同期するようになっています。
★とくに情報の先生は、共振しています。
★シンプルで無限の多様性を生み出すファンクションシステムに行き着くのも時間の問題だと思って期待しています。それに生成AIはこの流れを加速させるでしょう。
★以上のファンクションシステムの発想は、ネルソン・グッドマン「世界制作の方法」(ちくま学芸文庫)の第1章からのものです。同章で、グッドマンが、エルンスト・カッシーラやウィリアム・ジェームズを引用しながら論を進めているので、着想領域が似ているなあと思い、何度もこの箇所だけを読んできたのです。
★自分の娘よりも若い盟友数学教師Iさん(今は私学のプロモーション・プロデュ―ス世界制作に携わっています)とずっとこのファンクションシステムについて語り合い、上智をはじめとするキリスト教関連の大学(前職はカトリック学校だったので)へ立ち臨む生徒それぞれの世界ヴァージョンを制作するワークショップを実践した時に、思い切って、このファンクションシステムを実践し、生徒と共有したものです。とはいえ、生徒が自分でこのシステムを可視化できるというところまではいきませんでした。ワークショップと小論トレーニングを通して身体化はできたと思いますが。
★Iさんも数学教師だったということもあり、彼との対話やワークショップを通して、ファンクションシステムのレンズを装着・実装することができたと思います。そのレンズでアートや数学の先生方の対話を見ることができているということだと思います。
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