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2023年4月14日 (金)

変わる私立中高(02)女子校と男子校のインターエンパワーメントの時代

★2023年の東京の中学入試では、男子校が全般に出願数を集めました。女子校も、ここ数年徐々に全体的な冬の時代を乗り越え、応募者をきっちり集める女子校が増えてきました。この動きは、もちろん、社会構造的なジェンダー問題がありますから、保護者の方は、自分たちなりにそれを乗り越えようと、女性のエンパワーメントを実現する教育環境があるところを求めているということもあるでしょう。

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(写真は、首都圏模試センターから。)

★一方で、シングルスクールは、ある意味共学校で起こる幾つかの問題をめぐる規制がない分、相対的に自由だという感覚もあるでしょう。その規制をどう乗り越えるかということは、共学ならではの重要な問題だし、それもまた成長につながります。つまり、シングルスクールかコースクールで成長のストーリー作りは違いがでてくるのは当然なのです。

★ですから、女子校と男子校の存在意義のベースには、社会構造的な問題以外に、成長のストーリーの作り方の選択多様性というものがあります。女子校、男子校、共学校という子供の成長ストーリー類型があるというのが東京の私立中高一貫校の特徴です。

★そして、昨今、男子校と女子校のジェンダー問題に関する協働プロジェクトが増えてきてもいます。桐朋女子と桐朋、昭和女子大学と駒場東邦、品川女子と芝のプロジェクトなどはその典型ですね。

※参照)首都圏模試センターの最新記事「品川女子×芝 男子校で女子校生徒が生理の授業」

★この動きは、1972年のローマクラブが報告した「成長の限界」のテーマでもありました。昨年同書の発刊50周年をうけて、ローマクラブは、当時の2100年までの経済社会の変動予想world3モデルをアップデートしてEarth for Allモデルで、2100年予想をしました。

★そして予想される悲惨なシナリオをウェルビーイングシナリオにするために、5つのトピックをすべてつなげ循環するようにする具体的な提案がなされています。その5つのトピックの1つが「エンパワーメント」です。特に女性のエンパワーメントを取り扱っていますが、この活動が、男性のエンパワーメントがおろそかにならないようにという視点も入っています。

★ですから、女子校と男子校の共創的なジェンダー問題解決のプロジェクトは時代精神とシンクロしています。

★そしてこの時代精神は、万人のための地球、つまりEarth for Allというグローバル市民自身の生活世界の中から生まれてきているものです。

★受験生の保護者も、もちろんその一員です。ですから、このような女子校と男子校のインターエンパワーメントの動きがあるところには、アンテナが敏感に反応するのでしょう。

★もちろん、時代精神は、生活世界の中で万人が意識しているわけではありません。このような私立中高一貫校の財政出動ならぬ教育出動があってこそ気づくものです。

★私立中高一貫校の教育活動は、私たちの生活世界でふだんあまり目に見えないものをパフォーマンスというカタチで可視化してくれています。同時にそれが見えた人の目には、魅力的な教育として映るでしょう。Think global, Act locally.というビジョン体現者が、中学入試を考える保護者でもあるのかもしれません。

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