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2023年4月28日 (金)

変わる私立中高(13)私学教育とコラボする受験市場と私学教育を壊す受験市場の顕在化

★東京の私立中高一貫校は、全国の50%が集中しています。世界的に見ても稀有な知の場ができています。したがって、私学の先生方は、私学全体が21世紀型教育など共有し、世界標準どころか、世界から留学生がやってくるぐらいの私学教育を創ろうとしています。ある意味知のコモンズなのです。しかし、コモンズの悲劇というように、仲間全体が水平的多様性を持続可能にしようと信頼関係を築いているのに、ぬけがけをする人がでてきたら、信頼関係だけでなりたっていて、規制する法律がないので、そのぬけがけした一部の人間が独占してしまうのが常だといわれています。

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★ここ2,3年急にこのような動きが受験市場にでてきています。つまり、集まればよい、集まれば偏差値が急激にあがるということを目標にまるで、学校商売をするような動きがみられるのです。市場の原理からいえば、それもありだという人もいますが、それはリバタリアン的な市場の原理です。定員の倍くらい入学者が生まれると、その学校の教育はどうなるか予想はつくと思います。しかし、一方で倫理的な市場の原理を構築しようという考え方もあるのです。

★市場の自由については、サンデル教授ではないですが、複数あるわけです。私立学校の私学教育が目指しているのは、各私学の建学の精神を尊重しながら、私学を選んだ生徒がそれぞれの学校で、世界標準の教育環境を受け、自分の才能を開花し、社会に貢献する人間の育成する知のコモンズを形成することです。

★そして、それはかなり良いペースで進んでいるのですが、リバタリアニズムを発揮する学校がそういう学校を応援するネガティブ受験市場の影響を受けて、偏差値ベースの垂直的序列主義に陥っているところもでてきています。

★私立学校全体は、そのようなことのないように、そのような学校と対話を続けています。なぜかという、基本仲間ですし、そのような垂直的序列をつくること自体、建学の精神に反することだからです。

★一つ一つの私学は小さな集団です。資金調達は明治に私学が誕生したときから苦労し、創意工夫してなんとかサバイブしてきたわけです。ですから、そういう意味では、私学教育の知のコモンズを応援し協力してくれるポジティブ受験市場は歓迎しているのです。

★ですから、いま、私立中高一貫校の生徒募集の最前線である受験市場は、上記の図のような2つの種類が顕在化しています。

★ネガティブ受験市場に所属していると不思議かもしれませんが、私学の理事長校長が額を集めて知恵を出し合う時に、その雰囲気は公平、自由、寛容(フェアー、フリー、フラタニティとすれば3Fです)のキーワードで満たされているのです。偏差値は全く関係ないのです。

★さて、みなさん、どちらの価値観を選びますか?私学全体が知のコモンズをつくって、どこの学校に行っても世界で貢献できる知恵を身に付けられる私学教育×ポジティブ受験市場か、一部の生徒が恩恵を受ける垂直的序列主義を創ることになる私学教育×ネガティブ受験市場か?

★どちらを選ぶかは私事の自己決定だし、私学教育×ポジティブ受験市場を選んでもらえるように、さらにそれぞれの私学はそれぞれの魅力を創っていけばよいわけです。そんな話を多くの私学人と話している今日この頃です。

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