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2023年3月15日 (水)

2023年度東京の高校入試(01)小さくて大きな変動が起きている 新渡戸文化

★高校入試というのは、中学入試と大学入試と性格が全く違います。たしかに制度が違うのですが、大前提として、高校入試の受験者はほぼ中学卒業生全員なのです。中学入試は、私立と国公立合わせて全国の小学生の10%しか受験生にならないわけです。大学入試は60%弱ですよね。

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(写真は同校サイトから)

★したがって、競争原理が激しくなるのは、中学入試と大学入試で、高校入試は相対的に競争原理は緩和されるのです。偏差値の高いところに集中して、振るい落とされても、中学入試の場合、公立中学の道があるし、大学入試の場合は、浪人という道もあるのです。ところが、高校入試は、道が複数あるわけではなく、ほぼ偏差値順に輪切りになる配分が中心的な選抜方法になります。

★したがって、いったん学校の偏差値が定着すると流れが決まってしまいます。全員がどこかの高校に収まるわけですから、倍率が激しく高くなるような現象がたくさん出てくるということは考えにくいのです。

★2023年度の高校入試も全体としてはそうでした。ところが、推薦入試も併願入試も両方とも前年比が増という学校がでてきました。偏差値などのペーパーテストの得点によって自分以外の誰かが作成した基準に従うのではなく、自分に合った学校を探して、そこにチャレンジしようという自分基準で選ぶ流れです。

★その象徴的な動きをした学校の1つが、新渡戸文化です。両方の入試で前年の出願数を上回ったのです。

★教えない授業をベースにした学校ですから、生徒が主体的に動き、自分たちでプロジェクトを創出していくエージェンシーの役割を生み出していく雰囲気。進路も偏差値に基づいた大学受験勉強ではなく、多様な進路チャンスを社会の人びとと協働するプロジェクトの中から見つけていく。そういうエンパワーメントのエネルギーにみなぎっている教えない授業という学びの環境に触れた受験生は、この学校でウェルビーイングな価値ある自分を見出したいとなるのでしょう。

★新渡戸文化のような学校が、やはり推薦も併願も出願を増やしているというのが2023年度の流れだと思います。もちろん、進学実績で人気の学校もあります。一気に変わりはしないでしょうが、新たな学校選択の通奏低音が響き始めたのです。

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