GLICC Weekly EDU 第118回「湘南白百合学園の魅力〜2023年度入試分析とその教育の中身」 エンパワーメントの拡張
★先週の金曜日、ちょうど3月3日に、湘南白百合学園の教頭・広報部部長の水尾純子先生のお話を聴くことができました。2023年度の首都圏中学入試において、出願数が爆増したということで注目を浴びている神奈川エリアの私立女子校の湘南白百合学園です。巧みな広報戦略とアクティブな知のコミュニティを創る愛あるプロデューサーとしての水尾先生の力が発揮されました。湘南白百合が人気がでた理由の一つには、水尾先生と生徒たちのコラボレーションの効果がありました。
★ご視聴いただければ詳しいことはわかりますが、生徒自身が湘南白百合を広報したいと名のり出てくるその人数が破格です。全校生徒の25%のおよそ250名もいるそうです。もちろん、この人数の多さに圧倒されるわけですが、この人数の多さは、あるダイナミズムを生み出します。
★生徒たちは、湘南白百合の教育の中身や生徒の様子を自らの経験を通して温かく柔らかく、それでいてプライドを持って語ります。これは、生徒が同校でエンパワーメントされているということです。湘南白百合の教育の質の伝道は、カトリックの真理の伝導だし、何よりそのような自分を確認し、内面から愛ある行為を支える力がコンコンと湧き出てきているのです。
★お話をお聴きしているだけでも、その様子が目に浮かび、聴いている私も何か元気をもらえるのです。受験生・保護者であればなおさらです。水尾先生の広報活動は、湘南白百合のブランドをマーケティングだけでつくるではなく、在校生のみならず受験生もエンパワーメントされ、ウェルビーイングに満たされるブランドアクティビズムの手法で生み出されます。
★ウェルビーイングの世界に迎え入れる準備がすでに学校説明会などの広報活動においてなされているのです。人気が出るのは当然です。
★しかも、その広報活動では、「OECDのラーニングコンパス2030」というキー・コンポテンシーやチェンジメーカーのエンジンであるエージェンシーなどを育てるシステムを各教員が実装しているというのですから、さすがです。
★PISAという国際学力調査を行ってきたOECDですから、思考コードと同じように、知識・情報の取り出し、知識情報の背景にあるジレンマ現象の発見とそれを解決しようというコンパッションを大切にしたロジカルシンキング、その解決のためのクリティカル・クリエイティブシンキングが湘南白百合の教育のベースにあるわけです。
★そして、「2030」という数字が意味しているのは、SDGsの目標の1つである「教育の質」を豊かにしウェルビーイングを生み続けていこうという意志を表明しているわけです。同校もそのビジョンに同意しているわけですね。
★さらに、この最終的な創造的なアクションを生み出すには、実は深い洞察力を必要とする「問い」を立てなければ、探究活動は浅いものになってしまいます。そこもちゃんと緻密に計算されていて、水尾先生は、生徒たちが自ら「深イイ問い」を立てるコミュニティもプロデュースしているのです。
★学芸大学の先生と日本OECD共同研究が、湘南白百合、逗子開成、サレジオ学院、山手学院の教師、生徒とコラボして「問い」づくりを行う探究活動が始動しているのです。
★なぜコラボか?「深イイ問い」には、多様性がゆえに根源的な問題が投影されるケースが多いからです。
★世界の痛みを強烈に引き受けたり、世界に新地平が生まれる驚愕に直面したりしたときに愛が生まれます。だからこそ「深イイ問い」に気づくのだと思います。
★その「深イイ問い」を引き受けると、生徒は自分のそれぞれの道でミッションを感じとることになります。自分は何ができるのか思い巡らすことになります。生徒の成長曲線が指数関数的になっていくのです。神奈川県の入試市場のプレイヤーである受験生・保護者の洞察力と見識に頭が下がります。そのような本物教育にニーズを感じる方が多いということを、2023年神奈川エリアの中学入試は示唆しているのですから。
★男子校は聖光学院、共学校は横浜創英が、湘南白百合と同じく、男子校、共学校の中で受験者増加数ナンバー1だったのです。
★この3校が中学入試において憧れの学校になるということは、ウェルビーイング教育実践校としてのロールモデルエフェクトは絶大です。私の独断と偏見の話より、まずは水尾先生のトークをぜひご視聴ください!
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