2023年大学入試(05)東大合格者数ランキング 固定した垂直的序列は水平的多様化になるのか?
★昨日東大の合格発表がありました。毎年のように合格者数多い順高校のランキングがでます。そして相変わらず、intereduによると、1位は、開成です。多少減りましたが、浪人が来年受かるので、元に戻ります。そんな山あり谷ありの繰り返しです。2位は、筑駒かもしれませんが、公開されていないので、今のところ灘です。そして3位が麻布と聖光学院です。聖光学院はすっかりこのポジショニングを固めました。
★麻布は、昨年70名を割って、建学の精神か偏差値かという受験業界のジレンマが影響したのかと不安の声もありましたが、やはり元に戻りました。80名前後受かればよいという麻布の伝統は続いています。
★駒東や浅野が昨年より増やしましたが、たぶん、ここも山あり谷ありでしょう。海城はもっと伸びても良さそうなのですが、もしかして、海外大学志向が聖光学院や駒東よりも大きくなっているのでしょうか?だとしたら、それは良い傾向です。東大一軸主義ではなく、多軸主義であるマインドが大切だからです。東大がどうのこうのではなく、選択多様性がなくなることが、あまりよいことではないのです。
★閉鎖主義や偏向主義は、多様性が機能しないところに生まれる可能性が大きく。それ自体、日本にとってリスクです。
★洗足学園のように昨年20名、今年22名と伸びてきて、なおかつ海外大学進学もあるというのは、多様性があって、学びの広がりがあるし、ダイバーシティを視野に入れているわけで、重要な教育モデルですね。
★今年の開成の東大合格者減少の理由が、ポストコロナに向けて海外大学進学志向が増大したからというのであれば、それは海城学園や洗足学園同様なんかいい感じです。
★東大合格者ランキングが一見固定されているかのようですが、開成や海城、洗足がそのような多様性を持ち込めば、水平的多様化が日本の大学進学へのあり方に影響を与えるかもしれません。
★もはや東大出身だからないからどうのこうのという価値観は薄くなりつつありますが、問題は、世界とディスカッションする人材がまだまだ限られているということなのです。
★固定的な偏向は、分断を生み、それぞれの領域間の比較優位に目が向いてしまい、全体の危機の問題に目がいかないのが常です。フィクションの安心安全とやはりフィクションの無気力の雰囲気が蔓延するのです。そんなものは捨ててしまえばよいのですが、固執と諦念。そこからルサンチマンが発酵し人知れず闇を生みだしてしまいます。
★たかが大学入試かもしれませんが、入試制度の柔軟化がないとそうなります。柔軟化とは、もう一般選抜を思い切ってやめたほうが良いということです。この選抜方法が偏向主義を生み出している大きな一因だからです。柔軟化を阻止しようという人は毎度でてきますが、そのような人は、この偏向主義の利得を享受している人でしょう。
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