2024年中学入試の行方(11)受験市場と入試市場の葛藤を乗り越え第三の学びの市場へシフト
★一般に受験市場と入試市場は同じものだと思われています。というより、その差異は意識しないでどちらも同じような意味で使われています。ところが、それぞれの市場ではプロデュースするプレイヤーが違います。受験市場は塾という企業が主導して創出した市場です。入試市場は学校が主導で創った市場です。こういうと、すぐにしたり顔で相互に影響しているのではないかという人もでてきます。それはそうでしょう。問題は、その相互関係とその構造なのです。相互に影響し合うというのは、学校が受験市場の情報を鵜呑みにするケース、学校が受験市場の情報を適切に活用するケース、学校が受験市場に関心を持たないケース。いろいろな相互関係のケースがあるでしょう。
(八雲学園中3の海外研修。サンタバーバラのレジデンスで。八雲学園は生徒のウェルビーイングを気遣う代表格です。)
★しかしながら、どのケースも、偏差値という受験市場が作った基準を意識している限りは、偏差値を巡る受験言語空間の中にすっぽり入ってしまう構造があるわけです。ところが、ここ数年、偏差値基準以外の入試言語空間を学校側も創ろうとしてきました。たとえば新タイプ入試などは偏差値基準は実際には使えないのです。
★首都圏模試センターは偏差値以外に思考コードを組み合わせた新基準を、実は学校の先生方と協働して市場創出をしています。こうなってくると、受験市場か入試市場かという二者択一ではなく、新たな学びの言語空間ができるわけです。受験市場と入試市場をあえて分けて考えうことによって、受験市場の中あるいは、入試市場の中に新タイプ入試が位置づけられるのではなく、第3の道という新次元での出来事なのだという認識が成り立つ可能性があります。
★なぜ第3の道が必要なのか。
★実は学校側が困るような行き過ぎた受験言語空間も今まではありましたし、結構そのような暴言はSNS上でまだまだ飛んでいます。表現の自由だからと言ってなかなか削除されません。弁護士に頼めば別ですが。たとえば、新タイプ入試批判は、偏差値が高くない受験生を傷つけるような発言になてちるものもあります。そんなことに気づかずに権威主義的な垂直的序列主義の発言が多かったですよね。
★今は、SDGsなどの学びが広がったこともあって、表立ってはでてきません。行き過ぎるとリーガルな問題になるからです。
★一方、学校側も偏差値主義のところがあって、それが行き過ぎると同じようなことが起こり得ます。昨日3月4日の読売新聞によると、「神戸大は3日、学生に不適切な発言を繰り返した男性准教授(50歳代)を停職4か月の懲戒処分としたと発表した。」とありました。不適切な発言とは具体的には、たとえば「お前みたいな成績悪いやつが研究を楽しめるわけがない」(同新聞)のようなものです。
★このような暴言は、大学だけの話ではなく、中高の学校だって、塾だってあり得ます。つまり、垂直的偏差値主義とか能力主義の言語空間は、20世紀型教育がつくりあげてきたものです。これは乗り越えたいよねと語ると、上から目線で柔らかいかどうかは違いはありますが暴言が、塾だけではなく学校側からもでてきたものです。最近はさすがに表面的には目立たなくなっています。
★しかし、世の中が学力不振や不登校という状況や発達障害などであたかも自己責任であるかのように扱われ困っている生徒のためには「合理的配慮」をするようにという気遣いがうまれてきました。そして、このような生徒が困ってしまう根源的問題は、偏差値主義に代表される垂直的序列主義の重圧であることは、およそ想像がつくと思います。
★私はこの「合理的配慮」を保護者の方がは知っておいた方がよいと思います。大学や学校や塾だけではなく家庭もこの「合理的配慮」というサポートをすべての子どもたちや学生にしなければならにというのは、国民の責務として法律になっています。
★垂直的序列主義の組織は、「合理的配慮」を巡りリーガルな問題に発展するリスクがあります。
★そもそも垂直的序列主義的な言語空間は、「合理的配慮」がない言語空間です。言語空間はそこに所属している子供にとっては世界の限界です。その世界の中から抜け出ることができなくて、抑圧され続けたら、体調不良、メンタルのネガティブ化、人間関係不全症候群になるのは当然です。
★たしかに言語の限界は世界の限界なのですが、自分の所属している言語空間だけが唯一の空間ではありません。合理的配慮のある言語空間。水平的多様性を基調にしている言語空間。これが第3の道です。この道を開発している大学、中高、塾、予備校を探すのも自分の子どもを守るすべです。
★もちろん、探せないという場合、そのような言語空間にあっても、つまり垂直的序列主義の組織の中にあっても、水平的多様性を基調とする友人や仲間とスクラムを組むスキルをトレーニングしておいた方がよいでしょう。
★ただ、2024年以降の受験市場は、第3の道を開拓する学校と塾がたくさんでてきます。「ウェルビーイング(WB)」という言葉は、垂直的序列主義の言語空間に対し武装解除させるキーワードだと思います。このWBという言葉を追究している学校や塾が第3の道を開拓している学びの空間があるところです。
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