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2023年3月14日 (火)

ケアの時代(01)ケアの視座

★21世紀になって、急に自己肯定感、自閉症、メンタルモデル、ウェルビーイング、ケアなどのキーワードが照射する具体的状況が可視化され、意識が焦点化されています。高校教育では、全日と通信制高校のあり方の見直しも議論されてきています。

★特に、今回のパンデミック、ウクライナ、気候変動というキーワードが遠くの話ではなく身近な生活にもその影響を可視化しています。そして、当然困難にみな直面します。DXとかGXとかがその局面を解消するテクノロジーとしてあるいはイノベーションとして盛り上がっています。倫理的資本主義など資本主義の新しいカタチが求められ、あたかも1930年にあのケインズが「孫たちの経済的可能性」という予言書さながらのエッセイで書いているのと同じような状況が生まれています。

【インプットケアループ】

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★もちろん、2030年は、ケインズの予言通り、先進諸国は、イノベーションによって経済は発展し、1930年の世界恐慌当時とは比べ物にならない程生産性はあがっているでしょう。ケインズは、だから2030年は、当時の4分の1程度の労働で、よくなるのだともいっているわけです。そして、時間を持て余すから、人間はその余暇を本質的ななにかを追究するようになるしかないのだと。

★当時の4分の1程度の労働というわけにはいきませんが、毎年低成長かもしれませんが、先進諸国はなんとか成長し、1930年当時に比べるとたしかにすさまじい成長です。たとえばGDP成長率というのは、前年比ですから、複利計算で、たしかに資本蓄積は着々ですね。

★そういう意味では、経済に関するケインズの予言は半分はあたり、半分は外れたのかもしれません。しかし、ここで重要なことは、経済はあくまでも手段であって、人生の目的である人間にとって大切な本質的なことをみなが探究するようになるのだという指摘はあたっていたようです。

★もともとケインズは、このことを主張するためのでデータや根拠として経済成長の曲線を描いたにすぎず、それがあたろうがあたるまえが、人々が、世界恐慌に直面して、パニックになり自信喪失し、落胆し、自殺までしてしまう恐怖の恐慌時代に対し、100年先を見よ、孫即未来の価値を生み出せとエールを贈るのが本意だったのでしょう。

★そして、パンデミック、ウクライナ、気候変動の時代の悲痛さは、1930年時代よりも凄まじいかもしれません。51年前にドネラ・メドウズらが「成長の限界」で予言した2030年はまさに起こりつつあるのです。しかし、ドネラは、ケインズと同様に、メンタルモデルの変容を提唱します。自然と社会と精神の循環を取り戻そうよと。その動きがSDGsに結実し、日本の2050ムーンショット計画につながっているわけです。そして、それはケインズの孫たちのための2030年予言とシンクロしているわけです。

★すべての人のタレントを開花し、テクノロジーによるイノベーションを進化/深化させると同時に、人間のメンタルをウェルビーイング状態にすることこそケインズのいう人間の本質的なことでしょうし、ドネラのいうメンタルモデルの変容でしょう。

★では、そこはどうするか?私は、いよいよ21世紀はケアリングトランスフォーメンション(CX)の時代であると思っています。気遣いの時代といってもよいのですが、「気遣い」という日本語は、少しケアとニュアンスが違うので、ケアとかケアリングという言葉を今のところ使っておきましょう。

★ケアの視座は、上記のインプットケアループを理解し、内なる光と外交性を統合循環する精神・自然・社会の関係性を生み出すポジティブメンタルモデルを形成していき、孤立化や無気力、怨念の悪循環を生み出すネガティブメンタルモデルに陥らないように精神と自然と社会の環境をデザインするスキルの実装ということになります。

【アウトプットケアループ】

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★そして、この実装は、同時にインプットの逆照射につながります。ケアの視座は、インプットケアループとアウトプットケアループの相互関係性でなりたつわけです。

★しかしながら、インプットのときに、物理的・精神的抑圧を与えないようにすると、アウトプットのときに、物理的・精神的抑圧がでてこないかというと必ずしもそういうわけではありません。もし、外壁センサーと内壁センサーの関係性がポジティブメンタルモデルになっていない場合は、そうならないのです。

★したがって、インプット情報とその流れがポジティブメンタルモデルになるようにケアリングする必要があるのです。

★21世紀になって、私は多くの学校とPBL開発をしてきました。特に3.11以降は21世紀型教育機構のメンバー校の先生方と先鋭的PBLモデルを追究してきました。そして今、勤務校聖パウロ学園で全日制の先生方と通信制の先生方と毎日対話をし、気づきを得ています。もはや生産年齢を超えてしまった私ですから、これからも多くの先生方と対話しながら、今までそしてこれからの気づきと実践をシェアしていければと思っています。年寄りの冷や水かもしれませんが、あるいは大きなお世話かもしれませんが。。。。。

★しかし、私もケインズやドネラのならって、100年後を見据えて残りの人生を終えたいと思うのです。「孫たちの教育的可能性」「孫たちのウェルビーイングの可能性」について考察と実践をしていきたいと思います。そういう想いで、このシリーズを細々と続けたいと思います。

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