2024年中学入試の行方(10)青山学院の社会の入試問題 世界意識を学べる
★2022年は、世界的規模で人間・自然・社会の循環について重要な意識を掘り起こす年でした。私立中高一貫校の中には、中学入試段階で、そこを問い、入学前から高い世界意識を学ぶ機会をつくっている学校も少なくありません。すでに幾つかの学校を話題にしましたが、青山学院もその一つです。
★毎年ダボス会議で有名な世界経済フォーラムがリサーチして公開しているジェンダーギャップ報告書。青山学院は、そこに注目し、ジェンダーの定義を考える問題を出題しています。各私立中高一貫校は、グローバル教育を当然のように実施していますが、そのグローバルというのは、多様なマイノリティーを含めて互いにウェルビーイングをいかに形成していくのか、つまりダイバーシティの問題を含んでいます。同校の世界意識の高さを示唆しています。
★もう一つは、2022年の刑法改正ですね。刑罰から懲役刑と禁固刑をなくし、拘禁刑を導入するというものです。犯罪学や法社会学などで、懲役刑や禁固刑が再犯率を防ぐことにならないことがリサーチされ続けてきたのでしょう。死刑の問題もそうですが、国内法ですから、世界は関係ないと思われるでしょうが、比較法学などで、世界の動きがリサーチされています。
★やはり、Think Global, Act Locally.の動きは、国内法にも及び始めたということですね。ウクライナの問題もあるし、財政的な問題もあって、かなり多角的に考えないとなかなか結論が見えない領域ですが、青山学院には自由こそ真理なのだという信念があるのでしょう。真理は越境的・普遍的ですから、同校の教育としては世界意識が高くなるのは当然なのでしょう。
★それにしても、2022年の大切な「出来事」をキャッチし、受験生という子供とシェアする試みは、未来とかかわる大事なことです。かつて麻布の創設者江原素六は、「青年即未来」と言いましたが、この言葉は、広く私立中高一貫校にあてはまりそうですね。
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