2023年首都圏中学入試動向(27)成熟期を迎えた多くの私立中高一貫校の内生的成長が目立ったのではないか
★今年は、首都圏の私立中学受験生は、昨年より増えたようです。いずれ各中学受験シンクタンクが詳細を発表するでしょう。この時期、私は、今後の教育を考えるためのヒントを探すべく、出願動向と学校の魅力の相関があるかどうか独断と偏見で眺めているのですが、2013年から立ち上がった21世紀型教育校もその多くは2020年あたりに一つの成果を出し、成熟期にはいりました。それ以前からたとえば男女御三家と呼ばれている学校は、久しい間成熟期を持続可能にしてきたわけですから、21世紀型教育推進校のような新興の学校も成熟期にはいると、多くの私立中高一貫校がその具体的状況は違うものの全体として成熟期に入っていると言えそうです。
★したがって、私立中学入試市場は、成熟市場として成長しているといえそうです。学校の成長サイクルは、上記のような図で表せると思います。生徒募集が苦境に立たされ衰退期を超えても、蘇生戦略にでるか清算処理にでるかによって、学校の運命は変わります。
★ここ数年新興の学校の中には、すでに衰退期にはいっていた学校が今では難関校になるほど蘇生しているというケースがありました。
★今年もそのような学校はあります。ある意味蘇生後、このような学校は改革草創期に突入しますから、飛躍的成長をするか失速するかどちらかです。
★改革草創期の学校が飛躍的成長をずっと続けることはできません。資金や外部コンサルタントを投入して飛躍した後、実は、内部の教員による内生的成長を仕掛けないと成熟期は停滞し、戦略不全に陥りかねません。
★今年は、中学受験者が増えたということは、多くの学校が成熟期に入り、内生的成長を仕掛けたということでしょう。
★内生的成長とは、学内が学習する組織になることです。授業が学習者中心型になることです。学際的な探究が教科の授業の中にも浸透していることです。保守主義の消失、情報隠蔽体質の無化、偏向主義から多様性、無気力から効果的他者主義などの柔軟でチャレンジングな学習する組織に変容し続けることです。
★従来の名門中学という一握りの学校を頂点とする垂直的序列を破壊し、すべての私立中学が成熟期に入った後、内生的成長を果たすのが、私学が日本の教育の多様な問題や壁を撤廃していくことになるでしょう。そういう時代が到来したのです。2023年は各私学の内生的成長が一斉に花開くエポックなのかもしれません。
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