2024年中学入試の行方(01)工学院、八雲、成城学園、かえつ有明、湘南白百合にみる ウェrビーイングとクリエイティブテンション
★2023年首都圏中学入試は、パンデミック、戦争やテロ、気候変動という世界の自然・社会・人間の関係が矛盾だらけの中で、しかも少子高齢化の中で、受験生は増加しました。この現象を、どのように捉えるのか。難関校の復権とか、建学の精神と伝統、ビジョンを明快に表現しているシングルスクールの復権とかも言われています。それに対し、でもよくみると、結局は伝統と革新を統合している共学もきっちり生徒を集めているのはどう説明するのかというクリティカルシンキングもあります。
【図Ⅰ】
★そのようなものの見方は、従来の中学受験市場分析の枠組です。それに対し、WHOや人類の安全保障、万人のための地球などの感染症や戦争、気候変動、ダイバーシティー(異文化、宗教の違いだけではなくLGBTQも含むマイノリティーの尊厳やインクルーシブな考え方も含む)、貧困などの角度からウェルビーイングを求める受験生・保護者と学校のマッチングが増えてきたという主張もあります。
★たしかに、偏差値や学力競争などが学校と生徒の関係を抑圧的な緊張に変質させる場合、つまり、隠蔽的で保守的で閉鎖的で生徒のみならず教員のウェルビーイングを阻害する関係はパニックを生み出します(図Ⅰ)。もちろん、そうならないように、学力を向上させる過程において1人ひとりの才能が生まれるほどよいクリエイティブテンションにもどそうとする作用が働く学校がほとんどです。
★ただし、そのクリエイティブテンションが持続可能になる学校はなかなかなかったのです。しかし、伝統と革新を統合させる21世紀型教育を進めている学校は、そこに気遣うあるいはケアフルな配慮を教育のデザインの中に埋め込みます。
【図Ⅱ】
★すると、図Ⅱのように、ウェルビーイン促進曲線と関係性の緊張が解けて、クリエイティブテンションを生み出し続けます。
★このような学校がウェルビーイングを求める受験生・保護者と共感し合い人気がでてきたわけです。この人気は出願総数増という基準だけでは見ることができません。出願総数爆増の理由は、必ずしもウェルビーイング促進曲線を持続可能にするからとは限らないからです。
★もちろん、工学院、成城学園、かえつ有明、湘南白百合の爆増しているその理由は、ウェルビーイング促進曲線の持続可能性を実現しているからです。一方、八雲学園は出願数が爆増はしていませんが、きっちり定員は確保しています。
★したがって、大事なことは定員を満たすことと、その理由がウェルビーイング促進曲線が持続可能になる教育環境デザインによっていることでしょう。
★2024年は、このようなウネリが大きくなっていくでしょう。2022年は、1972年の「成長の限界」が発刊されて50年でした。そのこともあって、昨年、この魂を継承して、それを現代化した研究が2つ出ました。「人新生における人間の安全保障スペシャルレポート」と「万人の地球」です。両方とも人類、地球、社会の関係性がウェルビーイングを生み出す循環をデザインするにはどうするかをテーマにしています。
★工学院、八雲、成城学園、かえつ有明、湘南白百合は、ウェルビーイング教育の実践校です。
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