2023年大学入試(01)慶応義塾大学総合政策の小論文 コンセプトレンズの作り方 探究の根源に迫る
★今年の慶応義塾大学の総合政策学部の小論文問題は、大学の学びとは何か?社会における「知」とは何か?を問う問題でした。古典的と言えば古典的ですが、編集の仕方そのものを問うているところがおもしろいですね。
(4人の作家の1人がJ.S.ミルでした)
★何か?の答自身は、不思議なことに問題の文章の中に書いてあるのです。慶応義塾大学総合政策学部は、大学や知をどのように考えているかアドミッションポリシーとしてちゃんと示しているわけです。
★解答を示しているわけですから、何を考えるかというと、その「何」を構成する根拠を構成せよということなのでしょう。ですから、時代も国も立場も違う4人の作家の文章を読んで、それらを結び付けながら論を展開していくのです。
★多くの場合、小論文と言えば、与えられた一つの文章を読んで、その作者と同じ考え違う考えを明らかにしながら自分の主張を展開してけばよかったのですが、総合政策学部の場合、4人の作者の目、つまり4つのアプローチを自分なりの見方で編集して大学とは何か?知とは何か?を論じるわけです。
★一見結びつかないような多様なアプローチを新結合するというわけです。これは、あるものの見方考え方感じ方が自分の中になければ結び付けられません。つまりコンセプトレンズが必要です。
★ところが、あらかじめあるコンセプトレンズもよいのですが、それさえなくても、造ればよいのです。ですから、わざわざ問題に、4つのアプローチに同調するのではなく、批判的に検討せよと。この批判的思考は、自分の中にものの考え方の基準が明快にないとうまくいきません。
★ですが、仮におぼろげながらのコンセプトレンズだったとしても、その場で磨き上げていけばよいのです。つまり、今回の総合政策学部の小論文は、このものの見方考え方感じ方というコンセプトレンズそのものをどのように作っていくのかにチャレンジする問題だったのです。
★コンセプトレンズとテーマを混同すると探究はしばしば調べ学習で終わってしまいます。そうならないためのヒントが今回の総合政策の問題にあったわけです。
| 固定リンク
« 2024年中学入試の行方(07)グローバル・アドミッションの時代を語る鈴木裕之氏が主宰するGWEが注目される。 | トップページ | 2024年中学入試の行方(08)子供たちの未来を遅らせる言葉の数々に惑わされないで前進する私学 »
「創造的才能」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
- 2025年中学入試動向(1)学校選択の新しい見方(2024.11.07)
「21世紀型教育」カテゴリの記事
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(6)中学選びの考え方・価値観を変える(2024.12.12)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 2025年中学入試動向(33)聖学院 STEAM教育 成果着々(2024.12.11)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(4)ケイトスクールとの類似点いくつも(2024.12.11)
「大学入試」カテゴリの記事
- リスクマネジメントしての中学選択(05)共愛モデルに学ぶ(2024.12.02)
- 新しい社会の在り方を「人間—テクノロジーー世界」の多様な関係性でとらえる世代(2024.09.17)
- 2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(06)児浦准教授のEUU構想に希望(2024.09.08)
- 「問いの力」AI社会でも変わらないコンセプトレンズ創出力~福島県私学教育研修会でWSを実施して(2024.08.26)
- 2027年新学習指導要領 経済面が強く影響?(2024.08.13)
「創造的対話」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(15)日大豊山女子 新タイプ入試60%占める ルーブリックも公開(2024.11.25)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
「PBL」カテゴリの記事
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 聖書・宗教の授業・礼拝 聖ドミニコ学園・聖学院・桜美林・恵泉・湘南白百合・女子学院・普連土など 自己を見つめ世界の痛みに向き合い対話し言葉を紡ぐ(2024.11.26)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
最近のコメント