2023年首都圏中学入試動向(34)麻布、駒東、鴎友学園女子の社会の入試問題の共通したコンセプトレンズ
★今年の麻布の社会の入試問題では、個人と公共の統合をいかにするかジレンマの解決を問うていました。駒東と鴎友学園女子は2021年に発行された核兵器禁止条約に日本が参加しないことについて、駒東は、日本が参加しない理由の根拠である核兵器の他の兵器と違う点を問うてました。鴎友学園女子はなぜ日本は参加しないかという理由と反対に参加すべきだという主張の理由を説明する問いが投げかけられていました。
(2023年駒東社会)
(2023年鴎友学園女子社会第1回)
★実は、いずれも共通しているのは、One Earthをいかにwell-beingにするかという国際的な高い意識に対する見識があります。万民のための地球は、人類すべての市民の共有財、つまりコモンズであるということなのです。
★これは昔からコモンズの悲劇という難問にぶつかってきました。J.J.ルソーが「人間不平等起源論」で語った有名な「鹿狩りの寓話」問題ですね。
★このジレンマ、特に駒東は囚人のジレンマをどう解決するかという知の地平があります。
★このように、麻布も駒東も鴎友学園女子も、ジレンマ問題を発見し問い返すメタコンセプトとしてのコンセプトレンズを身に付けているかどうか問うているという点で共通した学習観があります。思考コードでいうB3・C3の領域に属する問いというわけです。
★探究で、「問い」創りが大切だが、難しいという現場の声をよく耳にしますが、このような学校の社会の中学入試問題は問いの宝庫です。しかもいきなり難しい問題を生徒にぶつけるのではなく、最終的なジレンマ問題を考える足場づくりの問いから始まっているので、授業やプログラム作りの最適のマニュアルでもあります。
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