2023年首都圏中学入試動向(29)首都圏私立中学入試の出願総数から
★2月6日現在の首都圏中学入試の出願総数(日能研倍率速報による)をみると、やはり同エリアの中学受験者数は昨年より増えていると推理できます。千葉・茨城の総数は少し減っていますが、おそらくこれは、たとえば東京の私立中学に通う生徒の5分の1弱が千葉・茨城の私立中学通学生であることを考慮すると、茨城県の公立中高一貫校の数の多さは同エリアの私学に影響を与えるのは当然です。もっとも、来年あたりから、首都圏全体の公立中高一貫校の志願者の数も落ち着いてくるでしょう。茨城の公立中高一貫校はまだ草創期的な雰囲気がありますが、それも来年からは首都圏全体の公立中高一貫校の雰囲気に吸収されていくと思います。
★そうなると、千葉・茨城の私立中学入試の市場は増えていくでしょう。ただ、定員ということに限れば、今も順調な学校が増えているでしょう。
★東京は男子校の勢いがやはりよかったという結果になっていると思います。東京の男子校の最先端を走っていたのは聖学院です。今もそうですが、他の男子校も、伝統を基調にしながらも、何かしら新しい学びの創意工夫をしています。成熟期に入っている男子校が内生的成長を仕掛けてきたわけです。昨年まで草創期的な雰囲気の共学校がいったん成熟期にはいり、落ち着いたタイミングで、男子校が動き出していたのかもしれません。今後の共学校のさらなる内生的成長を楽しみです。
★神奈川県は、湘南白百合を筆頭に女子校が勢いがよいわけです。改革草創期的な雰囲気がある女子校が女子校市場を活性化させているのでしょう。
★しかし、全体を見れば、私立中学自身がどの学校も成熟期に入り、パッケージ教育や目玉商品教育、特効薬やカンフル剤的な教育の立ち上げではなく、教育の質の密度を高めていく教育プログラムが、各学校で創意工夫されてきた感があります。
★首都圏の私立学校で、思考力の前にまず知識が大事だという言い方はもはやなくなっているでしょう。ルーブリックなんていらんというのもないでしょう。一方通行的な講義でいいんだという学校もないでしょう。英語ではなく日本語がまず大事なんだという言い方もしないでしょう。英語さえよければなんとかなるという言い方もしないでしょう。
★新タイプ入試を露骨に否定する人も少なくなったでしょう。総合型選抜を受けている生徒を一般選抜受験から逃げているという学校も少なくなっているでしょう。
★このような物言いは、偏向主義的な根をもっていて、市場の活性化を妨げるネガティブ発想です。そもそも公平性に欠けるものの見方考え方ですね。
★このような偏向主義がはびこっているうちは、狂信的な受験雰囲気をつくるものですが、もはやそのような雰囲気は消失しつつあります。もちろん、まだまだそうではないという方もいますが、そうならないように多くの塾の先生方がカウンセリングしているのも現状です。
★逆に言えば、そのようなケアやカウンセリングが行われない塾や学校は危ないと言えるのです。合理的配慮という支援は、一般の生徒にも行われなければならりません。それは国民の責務と法律でも文言化されています。
★この合理的配慮という側面から見れば、垂直的序列により、心を痛める生徒が出てくることは、そのシステムが合理的配慮を欠いていることになるわけですが、まだまだ日本全体の教育の世界ではその認識が弱いですね。
★ところが私立中学の教育は、そのようなケアやカウンセリングが実行されるようになっているのです。授業の中に対話やディスカッションを活用するのは、オープンダイアローグ的なカウンセリングのバリエーションでもあると考えることもできます。
★これはどういうことかというと、教師が心理的安全性を設定して、そこで生徒が発想の自由を楽しむという教育ではなく、混迷の状況の中で、あるいは混迷な状況に直面した時に、生徒が自らそして仲間と協働して心理的安心安全な足場づくりをして、創造的な思考ができる状況文脈を張り巡らし、その混迷な状況を解消していく利他主義的な行動をとれる人材づくりをするということです。これが内生的成長の真骨頂なのです。
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