2023年 日本の近未来や世界のコトを多くの市民が考えることが日常になる(1)探究活動の国民的定式化
★正月三が日、ニュースや本を読んでいました。いつもの年とは違い、日本全体が冷静に物事をみて、確実に未来をつくっていく肯定的な動向が静かに進んでいると感じました。たとえば、孫とおかあさんといっしょなどEテレを見てすごしていたので、ずっと2チャンネルを流していたら、NHK高校講座の総合的な探究の時間の再放送が流されているのに遭遇。しばらく見ると、標準化されていていい感じだなあと。
★新しい探究ではなく、よくある探究を定式化していました。しかし、リサーチや観察の動機、探究のプラン、実行体験、気づきや仮説、再度体験、リフレクション、そして仮説の検証の結論、次に繋がる課題の設定など、探究活動の組織化ができていました。サイトをみると、やはり、すべての回が、この組織化にしたがっています。いわば探究のルーチンですね。それができあがっていました。
★テーマや社会課題はよくあるもので教科書的知識を超える者は少ないようですが、そこはNHK講座ですからそうなるのは当然です。この組織化は、指導案型というよりインストラクショニズム型であり、多少enquiry based learningにもなっていました。
★たしかに、テーマや問題の設定はストレオタイプですが、この探究の組織化が生徒のものになれば、自分で問題を発見し、解決する活動をしていくでしょう。そうなれば、生徒自身が自らPBLに移行していけます。そのために、知識・理解の段階から適用の段階に移れるように、ワークショップ型の授業構成になっていました。
★NHK高校講座で、定式化されているのですから、これは特別な組織化ではなく、広く全国の高校生が扱えるし、学校の教師が参考にできます。
★そういえば、子どものための哲学対話もNHKで扱われていました。多くの学校で、取り入れられています。
★ただ、哲学の方は時間割以外で設定しなければならないので、公立学校ではなかなか難しいですね。学校の働き方改革問題は、時間割外の哲学対話には消極的になるでしょう。
★しかし、総合的な探究の時間は、少ないと言えども時間割の中でできます。このような仮説を立てて、インタビューや実験をして、検証する学びのプロセスを日本の高校生がみな習得すると、すごいことになります。
★主体的・対話的で深い学びもこの探究の時間と相互作用を果たすことになるでしょう。
★このような深い学びの授業や探究の授業を通して各生徒がそれぞれの思考過程ルーチンをつくるようになると、学校の教師が過小評価しても、生徒の方はそんなのは関係なく、自分の未来を拓くでしょう。自分の未来は、善き教師に遭遇した時、開かれることもありますが、そうでない教師に出会ったときこそ、予測不能に対応する探究する思考のルーチンが役に立ちます。自分で乗り越えていけばよいのです。
★深い学びや探究は、真を自ら追究できるようにする思考過程を身に付けることですから、レッテル張りする教師(良い悪いにかかわらず、人の意見はその人のものの見方に依存している)のそのレッテルを自らぶち破っていけばよいわけです。
★NHKを協力者にする文部科学省恐るべしですね。
★もちろん、それでみんながそのレベルの探究を体験するかどうかは、ちゃんとリサーチしなくてはなりません。おそらく文科省はアンケート調査やヒアリングをするでしょう。
★しかし、それは時間がかかります。効果的なPBLや探究はいかにしたら可能か?そこは問題です。しかし、主体的・対話的で深い学びや総合的な探究の時間が行われるのが当たり前となることは、対話やディスカッションが当たり前になるということです。
★これを抑圧することは反動的とみなされる時代がやってきたことは確かだし、対話やディスカッションが必要だとする市民性は、世界のリーダーシップを発揮できます。地政学上、日本のデモクラシーの質の向上やもっと転換することに期待がかかるので、こうした教育は世界にとっても歓迎されるでしょう。
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