「主体的」を考えるヒントの1つか? ジルベール・シモンドンの新装版
★ここ数日、勤務校の通信制高校の先生方と対話していて、自分がカバーしてこなかった重要な視点を頂きました。最近接領域と合理的配慮はサポートのあり方として似ているけれど、合理的配慮は相互理解ではなく相互作用なのだと。勤務校の全日の面倒見がいいというあり方には、最近接領域を超える合理的配慮もあったにもかかわらず、それをも最近接発達領域として理解している自分がいたわけです。
「個体化の哲学〈新装版〉: 形相と情報の概念を手がかりに (叢書・ウニベルシタス 1083) 2023/1/25」ジルベール・シモンドン (著), 藤井 千佳世 (監修, 編集), 近藤 和敬 (翻訳), その他
★しかも、合理的配慮(翻訳があまりピンとこないのですが)は、教育用語ではなく、差別撤廃のための新しいコミュニケーションのあり方で、すでに国連が採択し、日本も批准していたわけです。法律にもなっていて、新たな権利を支える国民の責務でもあるわけです。
★勤務校の通信制高校の先生方は、合理的配慮をフッサールの哲学をベースに捉え直していますが、さらにメルロ・ポンティの発想もとり入れている先生もいて、深いのです。とはいえ、日常の学園生活で、哲学用語を使って教育を行っているわけではないのです。
★理念や理想としての合理的配慮ではなく、いまここでナチュラルに生成される合理的配慮なのです。
★そんなわけで、いろいろ調べていくと、メルロ・ポンティにも学んだフランスの哲学者ジルベール・シモンドンの著作に出会いました。
★改装版として、1月25日に出版されたばかりです。ネットを調べていると個体の捉え方を、原子論的実在論でもなく、質料形相論でもない新しい捉え方だとかいうわけです。シンギュラリティやアラグマティックなどという考え方と個性化作用がかかわっていると言われたりしています。
★読んでみないとわかりませんが、何せ分厚いし、kindle版がでていないので、字が小さくて困ります。
★ドゥルーズやガタリに影響を与えているのですから、物象化ではなく、関係性の話だろうとは思いますが、その生成過程に挑んでいるのでしょうから、知りたいという意欲がでてきたわけです。
★ふだん「主体的」とか「対話的」とか簡単に使っていますが、「合理的配慮」をめぐり、もっと多角的だし複雑系だし多次元な領域がそれぞれの背景には広がっています。
★勤務校の通信制の教師の実践を理解するには、先生方の身体図式を理解する必要があります。全日制にも困っている生徒はいます。そこを媒介にすると、通信制も全日制も連続することが明確にわかるはずです。
★今は、制度上境界線があります。その境界線を越えたとき、その制度そのものが壊れます。
★新しい教育改革。しかも意図せずナチュラルに変化が生まれてくるシンギュラリティが生まれてくるかもしれません。
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