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2023年1月15日 (日)

大学入学共通テスト 社会の問いの背景 効果的な利他主義は有効か

★昨日、今日と大学入学共通テストが行われています。がんばれ受験生!と私に限らず多くの人が祈っているでしょう。彼らがどんな問題に挑戦しているのか?速報のニュースをみると、「思考型問題」が定着したとあるから、記憶と発想の両方をフル回転して頑張っているに違いありません。結果はともかく、このようなテストに向かって学び合うことは、人生にとって意義があることは間違いないでしょう。

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★政治経済とか倫理の問題をちらっとみて驚きました。資本主義とかSDGsとか正義とか自由について考える問題が出題されていました。資本主義については、このシステムの結構要である生産手段は私有か否かがいきなり問1から。産業革命時代から、インダストリー4.0とかソサイエティ―5.0とかの現在にいたる資本主義の進化系の話の時に、ここをどう捉えるかで、経済の仕組みは転換します。

★このことは、マックス・ウェバーがすでに見抜いていたわけですから、伝統的な問いであると同時に、AI時代のノマドにとってどうなるのか大事なところです。問題自体は簡単ですが、このような視点や背景をもって問いが創られているのはすごいなあと。

★そして、SDGsの探究メタファー問題も出題されていました。SDGsの扱いは、サプライチェーンやトレードオフの関係問題を問うたりしているので、従来の道徳問題としてではなく、おそらく効果的な利他主義(EA)を提唱したウィリアム・マッカスキルの影響が背景にはあるんだろうなあと。

★他者を救うために稼げというこのEA。昨年アメリカの中間選挙のときに、民主党を後押ししていたはずのFTXの破綻がありました。そのCEOであるSBF(サム・バンクマン=フリード)は姿を消していました。

★この通称SBFと呼ばれていた人物のアドバイザーがマッカスキルだったようです。発想はよいけれど、その方法が問題だった。とはいえ、このFTXを運営するメンバーは、みなスタンフォードやMITなどの出身者。そもそもマッカスキルはオックスフォード大学の准教授。

★効果的な利他主義であるEAは、黄金律を実用的に実現するかのようにみえたけれど、なかなか難しいようですね。

★しかしながら、発想は間違いではないでしょう。それゆえ、共通テストの背景にこのような発想も考慮する要素としていたとしても問題はないと思います。

★しかし、これは、あの当時の政権とハイデッガーの関係に対する批判的な検証が今も続いているように、今後同じようなことが議論されるかもしれませんね。

★思考型問題は、大切だけれど、その善なる思考をAIなどで増幅させると、必ずしも善が増幅するわけでもないというクリティカルシンキングが重要なわけです。

★共通テストの倫理の問題の中に、シェリングの善と悪の両方を内包する人間だからこそ自由が問題なのだということについての対話文を通して考える問題がでていました。実にリーズナブルというか、バランスの良い発想を求めているというのが見え隠れしています。

★今回の新学習指導要領や高大接続改革はいろいろな問題もあったでしょうが、このような問いを創る機関が機能しだしたというのは、希望があります。

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