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2023年1月 2日 (月)

ドネラ・プロジェクト(27)ウサギアヒル 未来思考のC‐Question

★2023年はウサギ年。干支がウサギですから、除夜の鐘がなるや、低迷した政治経済、そして生活世界が飛躍すること・転換することが願われていますね。次の図は、ウィトゲンシュタインが「哲学探究」で、心理学者ジャストローの図版から引用したウサギアヒルを書き写したものです(もとはなめらかな曲線なんですが、書き写したので、ぶれています 汗)。ものの見方・考え方・感じ方を変えることについてウィトゲンシュタインが考察する契機とした幾つかの図版を使っているのですが、ウサギ年の2023年には、こちらがよいかと。

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★未来思考や主体的関係性を生み出す体験のうちの1つC-Question体験として年始にはなかなかよい問題かと。新学習指導要領で「探究」が騒がれていますが、このトリックアートを使っているウィトゲンシュタインの「哲学探究」を読むのもいいかもしれませんね。もちろん、哲学ではなくて、「錯視」を扱う心理学に興味を持つのもよいですね。

★しかし、未来思考や主体的関係性は、要するにものの見方・考え方・感じ方を多角的に多義的に考察する場であり、そこから主体的関係性がその関係性を持続可能にするwell-beingな状況を創るアクションを起こせるとよいわけです。

★このウサギアヒルは、この図にこだわるのではなく、森を歩いていても、渋谷を歩いていても、共に体験する者どうしが語り合うと、ものの見方・考え方・感じ方が違うという日常経験を言語化・記号化・象徴化・・・なんでもよいのですが、ハッと気づかせてくれるCross Boundaryな問題だし、Critical Thinkingを刺激する問題だし、Criativityを開放する問題です。思考コードでいう、C軸問題です。

★このようなC-Questionは世の中には山ほどあります。それを集積し、あるいは新たに創り、未来思考×主体的関係性WSをやろうと今年は仲間とプロジェクトをつくりはじめています。

★このウサギアヒルから、子どもたちは、うさぎとかめのイソップ童話を連想するかもしれません。こどもたちは、STEAM体験も並行して体験していきますから、そもそもなぜウサギカメなのかと。ウサギアヒルと同様にものの見方・考え方・感じ方に変化が起こります。ウィトゲンシュタインにならってアスペクトの変化(アスペクトトランスフォーメンションだとしてATと呼びましょう)が起こります。

★いろいろな角度から考えるわけです。文化人類学的記号論的に考えれば、イソップ物語の世界中への伝播の痕跡を巡る壮大な旅に想いを馳せるかもしれません。その前に、日本文化に根づく資料がありますから、それをたどってみるのもよいかもしれませんね。

★あるいは、うさぎとかめのアルゴリズムについて考察するかもしれません。すでにプログラミングの世界にはあるわけですから、そこから自分もやってみてもよいかもしれません。テクノロジーやエンジニアリングの前に、それは数学だとなってもおもしろいかもしれません。中学受験では速さの交差問題でもよく出題されています。

★あるいは、その速度の違いが、生存年数の違いに結びつくと気づくかもしれません。ネットで調べると、すでにカメが長生きすることを研究しているバイオロジー世界が広がっています。AIによる計算はすごいですね。

★当然遺伝子というかゲノムの解析ですから、分子や原子や陽子や電子などなどの話になるわけですが、もし数学的発想が発動すれば、つまり分解と統合と変形という思考が発動すれば、あらゆるものは分解でき統合できるのではないかと。

★ただ、それにはエネルギーが関係しています。そして、そのエネルギーが、気候変動に関連するような話に飛ぶし、そのエネルギー源の1つ光合成の解析もしたくなるでしょう。

★もっとも、そういう先行研究はすでにあります。とはいえこれらの先行研究はまだまだ成功はしていません。みんなで研究したいものです。

★しかし、いずれにしてもこうして眺めていくと、世界はすでに未来をよくしようとして進む未来思考が作動し、そこからうまれた発想を協働して主体的関係性を作りながら、進めているということが見えてきます。

★でも、まだまだみながそのことに気づいているわけではないのです。新しいものというより、すでに生まれている、いや人類とは誕生以来、未来思考と主体的関係性を作ってきたからこれだけサバイブしてきたし、それを一握りの人間だけが稼働させていたから、持続可能を破壊するような事態が起きてもいるわけです。

★ルソーのいう自然状態は仮説的論理の問題ではなく、実存的問題としてすでにあったし、今もあるわけです。ただ、それを阻害する実利的問題がやはりあるのですね。ルソーが人間不平等起源論で示したC-Question「鹿狩りの寓話」にまたまた戻ってしまいます。

★C-Questionは始まりであり終わりでもあるのかもしれません。興味と関心から始まる探究とかPBLとか未来思考。1人ひとりがC-Questionの響きを奏でるアートなのかもしれません。

★そうそう、「鹿狩りの寓話」にはうさぎが登場します。ウサギシカ問題だったわけですね。。。まったく世界は不思議の国のアリスです。

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