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2022年12月13日 (火)

2023中学入試の役割 ソーシャルジャスティスを求めて(13)工学院 グローバルプロジェクト始まる。

★4年前から、工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は画期的なプロジェクトを行っています。高2の修学旅行をアップデートしGP(グローバルプロジェクト)に転換しました。国内外いくつかのチームに分かれてフィールドワークをし、SDGsの目標を達成するために具体的な社会課題を見つけるリサーチツアーです。その課題を見つけることによって、そこの地域市民と協力ができます。具体的かつ実践的、すなわち実存的な解決の方向性を見つけるとか起業までしてしまうとか、工学院の体験ベースのPBLの集大成が開発されました。ここ2年は、今回のパンデミックの影響でオンラインなどで創意工夫されてきたようですが、今年は再会。今ちょうど沖縄、熊本、熱海、オーストラリア、ルーマニアという国内外のフィールドワーク&リサーチへ旅立っています。

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(写真は工学院のサイトの公式ブログから)

★同時に中学生は、八王子や鎌倉、京都などにフィールドワークをしに行っています。高2のGPにつながる貴重な体験をしています。

★体験というのは、10人同じ体験をしても、10人それぞれ感じ方や考え方、ものの見方は違います。その違いがスクランブルして、それぞれの中にコンセプトレンズができます。体験を積んでいくことによって、このレンズは磨きあげられ、精度があがっていきます。

★このコンセプトレンズこそ、1人ひとりのバリューを映し出します。

★知識を覚えることも大切ですが、そればかりやっていると、知識量や知識を引き出すスピードや正確さばかり評価する偏差値が、あたかも一人一人の価値であるという錯覚を生み出す危険性があります。それはそれで、自分の価値を構成する1要素ではありますが、それが全体だという幻想がうまれかねません。いや実際生まれています。

★そうなると、階層構造が固定化して、それぞれの生徒のバリューをフラットに尊重することが難しくなります。

★それでは、予測不能な現状、乗り越えられません。たとえば、今日本は40ナノの半導体までしか作っておらず、20年世界に遅れていると言われています。そこでIBMと連携しながら2ナノの半導体という前人未到の次元に挑戦するわけです。その場合、アイデアや技術は、既存の知識だけでは生まれません。どう応用するか、足りないものはどう創造するのか?既存の知識の集積だけ競争している教育ではそんなことができないのはちょっと考えればすぐにわかります。

★よって、工学院のように、グローバルな体験ベースのPBLをとにかくたくさん行うということが、未来を拓く教育だということは了解できると思います。

★そして、1人ひとりのバリューを生み出すわけですから、学習者中心主義的なPBLであることもとても大切ですね。

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(shuTOMO 第11号 2022年10月2日発行)

★そのことについて、GPも含め、shuTOMO11月号で、記事を書きました。受験学力のみならず、大学や社会でグローバルリーダーとして、クリエイティビティとコンパッションというケアの精神の両方を有して社会課題をクリアし、未来社会を創っていけるそれぞれのバリューを生み出す工学院のトランジション教育は、日本のこれからの教育の1つの有効なモデルです。

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