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2022年12月31日 (土)

ドネラ・プロジェクト(25)教育環境デザインはマルチバースに拡張する

★今年は「一般財団法人東京私立中学高等学校協会」の会長である近藤先生及び同協会の教育研究所所長であり「21世紀型教育機構」の理事長である平方先生をはじめとするみなさま、「首都圏模試センター」の山下さん(取締役代表)及び北さん(取締役・教育研究所長)をはじめとするみなさま、「GLICC」の鈴木さん(代表)には大変お世話になり、ありがとうございました。この4つの機関では、多くの私立学校関係者及び識者、企業家とネットワークをつないでいただける機会をいただきました。そして、東京私立中学高等学校協会の11支部のメンバー校の1校である工学院の田中歩先生(同校教務主任)には、勤務校における多様な局面で私が判断する時のものさしのモニタリングの相談にのってくださり、本当に助かりました。ありがとうございました。

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(工学院の生徒がそれぞれのマルチバースで体験を深化させていきますが、それを象徴する天文台がすてきです)

★この4つの機関で広がり深まったネットワークで多くの方々から学び、shuTOMOで「トランジション教育と思考コード」の連載を貫徹できました。7月号・9月号は八雲学園、10月号は和洋九段女子、11月号は工学院大学附属、12月号は聖学院、1月号は成城学園というラインナップで、それぞれの私学の独自のトランジション教育をリサーチさせていただけました。そして、その教育が思考コードのC軸に重きを置いていることがわかり、それぞれのクリエイティブラーニングが教育デザインのコアにしっかりあることを検証できました。

★また、クリエイティブラーニングのようなプロジェクト型学習は、そのベースに体験という生徒が実存的思考や行為ができる土台があることも了解できました。英語やICTなどは、もはやこのクリエイティブラーニングでは欠かせない道具です。

★特に今回のパンデミックで、私たちはICTがなければ感染症対策をするときに乗り越えるのは難しいということを身に染みて体験しました。それに、英語やICTがなければ、衛星を使ってロシアのウクライナ侵攻から市民が脱出する方法も難しかったでしょうし、ロシア市民の中にも多くの方が英語とICTを駆使してウクライナ市民を脱出させることも難しかったでしょう。

★グローバルな世界は終わったとかいう方もいますが、今回のウクライナ問題は、国と国というより政治の問題であることが色濃く、互いの市民はむしろICTと英語を駆使して、国境を越えて危機を回避するボランタリーな多様なコミュニティーを立ち上げています。まさにマルチバースが宇宙にだけではなく、地球上でも広まっています。

★このような越境思考や行為は、まさに未来思考という以外に何か言い方があるでしょうか。そして、国を超えて、危機回避の命がけの関係性を作るのは主体的関係性というほかに何か言い方があるでしょうか。

★2023年を迎えるにあたり、21世紀型教育(広義の意味)が、このようなまさに予想不能な局面で未来思考を作動させ主体的関係性を生み出していく教育環境デザインを積み上げていることがわかりました。

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★この図は、shuTOMO11月号で工学院の教育環境デザインの図をベースに再編集したものです。工学院の場合、コア体験以外にバッファー体験が多様というより、その都度生まれてくる感じです。生徒1人ひとりが、自分の興味と関心を深化させるためにどんどんチャレンジしていくのです。ちょっと他の学校とは違い、学校の教育をはみ出ていくわけですが、それまでも想定して教育環境デザインをしているわけです。

セカオワが“Habit”でレコード大賞を獲得しましたが、そのミュージックビデオは舞台が学校でした。複雑系の主体的関係性を生み出すには、脱慣習。壊して見せろよと歌っているのが印象的でした。

★共感的コミュニケーションをベースにしている田中歩先生。同調性を壊して、次の世界に羽ばたくその勇気とチャレンジングなモチベーションに同期するようなコミュニケーションを大切にしています。未来思考と主体的関係性が生まれる全員で実践するコア体験から、1人ひとりの独自の多様な体験が生まれる教育環境デザイン。グローバル教育というのは、one earth市民=宇宙船地球号の乗組員として主体的関係性をつくりだし、マルチバースをそれぞれが生み出していくことになるわけです。

★来年は、この図を端緒に新プロジェクトを幾つか実施していきたいと思います。すでに、昨年から徐々に始まっているプロジェクトもあります。成城学園の青柳先生、湘南白百合の水尾先生、工学院の鐘ヶ江先生、首都圏模試センターの北さん、ノイタキュードの北岡さんと対話を始めました。そして、歩先生には、その都度アドバイスをもらっています。この契機が、またほかのプロジェクトにつながり、たくさんの方とコラボさせていただことになると思います。来年もよろしくお願いいたします。

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