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2022年12月27日 (火)

ドネラ・プロジェクト(23)価値自由と脱構造的コミュニケーションの狭間で果敢に活動している教育者たち

★昨夜、久しぶりに対面で、友人と対話をしました。極めて重要な教育活動をしている教育者というか教育コンサルタントです。友人の行っていることは複数の学校によって承認されているし、新しい大学入試を活用する人生を開いていくトランジションキャリアデザインの組み立てもしっかりしています。

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★しかしながら、価値自由な社会にあって、その価値が理論に先行するという実存主義的世間的広がり、それゆえ本来的なコトをああだこうだいう文化を受け付けない20世紀型社会の頑固な壁にぶちあたっていました。

★価値自由ですから、しかもその価値が「善」であれば、そこに構成主義的、あるいは関係主義的理屈はウザイわけです。

★経験主義は重要ですが、実際にはその背景に、理屈を見出す、あるいは普遍的なものも見出すという態度が必要だとするのが21世紀型教育ですが、善なる体験をすればそれでよいのだという傾向としての経験主義は、善なるがゆえに悪に転化する関係性を見えなくする場合があります。

★ウザイとかキモイという言葉は、ディスカッションを停止させ、モニタリングやリフレクションを排除してしまいます。善か否かだけの単純な判断を要求します。関係主義とは、多角的で、当事者では気づかない他の関係性をリサーチする手立てでもあります。いわゆる適正手続きの場でもあります。

★今の政権もそうですが、この適正手続きはウザイとかキモイという話になっていしまいますね。

★学校現場でも、道徳の話のときに、コールバーグやハーバーマスを持ち込むとそういう雰囲気が流れる時があります。こういう状況を作らないのが、マネジメントの1つだと感じているわけですが、学校現場と違い、友人の場は不特定多数のネットワークです。価値自由の波の中に漕ぎ出でています。

★21時に、お店がそろそろ閉店ですと。あっという間の3時間でしたが、来年もよろしくと別れた後、道々やはりコミュニケーションの思考コードが必要だなと考えていました。そしてふと、ハーバーマスは今どうしているのだろうと。アマゾンで調べたら、こんな書籍が今年出版されていました。

「批判的社会理論の今日的可能性」晃洋書房 2022/6/20

《編者》
永井 彰 (東北大学大学院文学研究科教授)
日暮 雅夫(立命館大学産業社会学部教授)
舟場 保之(大阪大学大学院人文学研究科教授)

《執筆者》
田畑 真一(北海道教育大学旭川校准教授)
久高 將晃(琉球大学人文社会学部教授)
小山 裕(東洋大学社会学部准教授)
箭内 任(尚絅学院大学総合人間科学系人文部門教授)
藤井 佳世(横浜国立大学教育学部教授)
小山 花子(盛岡大学文学部教授)
宮本 真也(明治大学情報コミュニケーション学部教授)
水上 英徳(松山大学人文学部教授) 

★ハーバーマスは90歳を過ぎても未だ健在だったのです。この本のおもしろいのは、ハーバーマスの次の世代のホネットについても論考しているところですね。アドルノなどフランクフルト学派の第1世代を批判的継承をしている第2世代のハーバーマスの両者をさらに批判的に継承している第3世代がホネットなのでしょう。第1世代は、ヘーゲル、マルクス、フロイトの統合理論が中心だったせいもあり、現代日本ではフランクフルト学派はどうなのかと。ハーバーマスは、広く多様な現代哲学を検証しながらインテグレートしているので、割と受け入れられてきましたが、それでも、同書の執筆者を見れば、社会科学の主流かどうかはわかりません。しかし、東大を中心とするとその周縁にこそ、未来を拓くカギがありそうですね。

★いずれにしても、主体つまり主観をどうとらえるかはフランクフルト学派でも重要な研究対象です。教育の世界でもっと論じられてもよさそうですが、さてはて。

★おそらく、表立っては論じられないでしょうが、文科省の中では、参考にされているはずです。ディスカッションなどの討議的な判断力育成について語られることもありますが、これはハーバーマスを無視して語れない領域でもありますから。

★しかし、ハーバーマスを持ち出して教育現場で議論をするのは、まず無理でしょう。

★フッサールならまだ一部の大学や教育現場でベースにして生徒理解の方法を考案し、実践しているところもありますが、これとて普通高校では無理ですね。それが日本の教育の現状です。

★こういうことを語ること自体、現場ではウザイしキモイのです。

★では、絶望的なのか?いやドネラ・メドウズなら大丈夫だと思います。実際その継承者ピーター・センゲやそのネットワークの知識人的活動家は人気です。

★ただし、彼らの理屈をいうとウザイとかキモイとなるわけです。したがって、その理論を語るのではなく、感じてもらい、共感してもらい、自然と使いたくなる、考えたくなるような体験、つまりワークショップが重要だということでしょう。

★しかし、これこそが21世紀型主体性の考え方を物語っている可能性があるわけです。

★2023年は、ここが大きなヒントかなと道々寒さを忘れて歩いて帰りました。

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