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2022年11月18日 (金)

2023中学入試の役割 ソーシャルジャスティスを求めて(01)学歴社会とか塾歴社会とかを超えて新次元コンセプトレンズを実装する動き

★2030年問題—―50年前ドネラ・メドウズらが「成長の限界」でこのままいけば2030年に地球は最悪の状態になると警鐘を鳴らした。それがSDGsに受け継がれなんとかしようとなっている――を解決すべく人材輩出に挑む教育に転換しようという流れが生まれています。もちろん温度差はあるでしょう。しかし、進められるところから進むしかないわけですね。したがって、先見性・先進性に富んだ私立中高一貫校がファーストペンギンとして突き進めばよいのです。

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(「2023年度 和洋九段女子中学校 PBL入試(SDGs型) 説明動画」。生徒と教師が共創する画期的入試。Web3.0時代の先駆けともいえる。ソーシャルジャスティス入試と呼びたいぐらいだ)

★とはいえ、昨今の経済格差はものすごいわけですから、アッパー層の子弟が通う私立学校がけん引するのでは格差を広めるだけではないのかと批判する方もいるでしょう。たしかに、学歴社会や塾歴社会という教育格差を生み出してきた歴史的な経緯もあるかもしれません。日本のGDPを牽引するのか、平等を作るのか、どちらも行いたいわけですが、トレードオフ問題がずっと続いてきたし、今もあるでしょう。

★このトレードオフを解決するためには、次元を変えるコンセプトレンズを装着する必要があります。それは、世界の教育格差を無くし、世界の新しい経済社会をつくる。自然と社会と技術と精神の好循環社会を創る。究極のSDGs社会を創るというコンセプトレンズです。この新次元コンセプトレンズを実装するには、ドネラのシステム思考が役立ちます。

★このシステム思考を発動させれば、学歴社会をなんとかしようとか塾歴社会をなんとかしようとかいう段階で安穏と留まっているだけではいられなくなります。以前私自身がこの段階にいることで良しとしていました。しかし、それは間違いだったと今は猛省しています。この新次元コンセプトレンズからみれば、それも当然解決するのですが、それを解決して終わりではないし、そこに集中していると、目標に向かって進む過程は、問題を抱えながら進むので、その過程でその問題を批判されているだけでは足踏みしてしまうわけです。優先順位をみんなで考えながら進む気概を共有したいのです。

★産経新聞2022/11/15 16:33<「円安倒産」が急増 二極化鮮明に共倒れ懸念も>の記事にこうあります。

円安で苦しむ中小の姿が際立つ一方、円安の恩恵で記録的な好業績を達成する大企業も目立っている。SMBC日興証券の集計によると、10日までに発表を終えた東京証券取引所旧1部上場1048社(金融除く)の令和4年9月中間決算の最終利益は前年同期比14・2%増の18兆3054億円で、中間期として過去最高となる見通しだ。

円安は輸出競争力が高まり、海外事業の利益も円換算では膨らむため、輸出や海外事業比率が高い企業の収益を押し上げる要因になる。中間決算では、円安や資源高を追い風に三菱商事など大手商社や、日本郵船など海運大手が最高益を更新。任天堂やソニーグループも営業や最終利益で最高を記録するなど幅広い業種で好業績が相次いだ。

とはいえ、円安による原材料高で苦戦する大企業も多く、この集計では減益または赤字の企業も全体の4割強を占める。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「このままでは高い技術力をもつ中小企業まで倒産が波及し、共倒れしかねない」と指摘。「中小が大企業に対して適正な価格転嫁ができるよう、政府主導の仕組み作りが急務だ」と警鐘を鳴らす。

★相変わらず円安・円高の構造は変わらないように見えますが、この状況は、大手も中小企業も失速するという予想が見え隠れしていますね。構造が破壊されるだけではなく、社会そのものの危機が生まれます。なるほど2030年問題の1つの兆候です。この円安背景には、産業エネルギーと食料エネルギーという両方のエネルギー問題がありますから。

★したがって、商工中金は今SDGsに取り組んでいる中小企業を支援活動する段階に進んでいるし、大手企業も自前でそこは何とかしようとしているわけです。現状格差はあるでしょうが、SDGsというソーシャルジャスティスをそれぞれ実現しようと動いています。これは新次元コンセプトレンズを実装し始めているということでしょう。

★教育分野でも、卒業した生徒が、そのような新次元コンセプトレンズを装着して大学に進んだり、社会に進んだりできるように動く必要があります。ソーシャルジャスティスを生み出すのは、倫理観というマインドと実現するテクノロジーの両方の実装が要です。新次元コンセプトレンズの教育=シン・リベラルアーツを日本だけではなく、世界中で実施していくダイナミズムを生み出したいわけです。

★それが可能なのは、世界でも東京なのですね。一極集中だとか格差を生む拠点だとかいう側面も確かにあるでしょう。しかし、この拠点を新次元コンセプトレンズへのティッピングポイントを生み出すレバレッジポイントとして活用するアプローチをする逆転の発想はアリだと思います。

★なぜ東京(首都圏という拡張的意味を含む)かというと、世界でも一つの都市にこれほど私立中高一貫校が集結しているところはないのです。しかも、世界から見れば、私立中高一貫校の生徒は、アッパー層出身ばかりではなく、むしろ庶民ががんばって通わせている、地球市民クラスの知の集積地でもあります。

★「地球市民クラスの知の集積地=ソーシャルジャスティス教育の基盤」という観点から、まずは2023年中学入試を見ていきます。その後高校入試についても論考します。

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