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2022年11月10日 (木)

ドネラ・プロジェクト(08)女子校の期待される役割 無意識のパターナリズムをクリティカルシンキングするコンセプトレンズを身に付ける。

★日テレNEWS 11/8(火) 22:59配信によると、「バレーボール元日本代表の大山加奈さんが、双子用ベビーカーと都営バスに乗ろうとして乗車拒否されたなどと明らかにしたことに対し、8日夜、東京都は、一部の対応が不十分だったと謝罪しました。」同記事にはさらに「東京都交通局は調査結果を明らかにし、1台目の乗務員はバス停の看板に隠れ気づかなかったとしたものの、2台目の乗務員は、ベビーカーを置くために座席をたたむという所定の対応を取らなかったと認めました。」とあります。

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★この大山さんの行動に対し、賛否両論のコメントがSNSにあるようです。平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」の次の質問に対する結果は上記の図のようになっています。

Q:街中や電車・バスなどの公共の場で、ベビーカーや子ども連れの親が困っている場面を見かけたら、あなたは手助けをしたり、話しかけたりすると思いますか。

★応援するよという意識が圧倒的に多いのですが、実際には、今回のようなケースは少なくないのです。具体的な状況によって、いろいろ争点は変わると思いますが、男子と女性を比較すると男子の方がやや意識が低いわけです。この差は大したことないとみなすか、パターナリズムが背景には残存しているとみなすかは、不明ですが、感覚としては、いろいろなところにパターナリズムは存在しているように感じます。

★道徳的に善いことをしてあげるねという権威者が押し付けていることに気づかない父権主義的なメンタルモデル。現代社会の男性は無意識のうちにもっているわけです。パターナリズムは、権威者に対し弱い立場に立たざるを得ない人に私事の自己決定権を控えさせるものですから、実はかなりのリスクがあります。

★権威者や専門家の言動には、本人は正義のつもりでパターナリズムを遂行していることはしばしばあります。おそらくこう言っている私もそうでしょう。特に日本の江戸文化への憧憬などの1つ武士道への憧れなどは、意識して歴史を眺めなければ、無意識のパターナリズムに陥ってしまう可能性があります。あくまで歴史の中の武士道としてとらえることが重要で、歴史を超えてそのまま現代にも適用するのはいったん括弧に入れるメタ認知の稼働が望まれます。

★桐朋女子が、桐朋の男子生徒とジェンダー問題について対話をする機会を設けています。湘南白百合が、栄光や鎌倉学園などと協働プロジェクトを行っています。

★男子生徒が、自分の内面に日本社会の文化として無意識の層にあるかもしれないパターナリズムに気づく良い機会になっている可能性があります。

★和洋九段女子や冨士見丘は、筋金入りのSDGsの探究活動を行っています。大学や企業、海外のステークホルダーとの対話も行っています。日本の外部の組織はまだまだパターナリズムがあると言われています。世界はそういうことに対し敏感に権利の問題として議論する機会がたくさんあります。

★女子校の新しい役割が明快にあらわれる時代が今なのかもしれません。

★もちろん、八雲学園のように女子校から共学校にシフトした場合、女子生徒がそういうことに芽生え、男子生徒がそれにきちんと対応するような雰囲気が生まれているケースもあります。女子校ならではのそのような時代を創るコンセプトレンズを伝統として持続可能にして新しい共学校の道を切り拓いていると感じます。

★また成城学園のように、もともと大正自由教育において、パターナリズムと対決する民主主義を支える教育づくりをしてきた伝統を今も継承している学校もあります。そこまで遡ると、当時大正自由教育に影響を与えたPBLが、今もこのような権威主義や父権主義をクリティカルシンキングするプロジェクトであることが浮き彫りになってきます。

★逆に言えば、PBLのような探究活動を拒絶する場合、そこにはパターナリズムが潜んでいる可能性があります。

★100年前のデューイに還ることもことももちろん重要ですが、50年前のドネラのシステム思考をPBLにとりいれて、PBLの現代化を図っているという学校が、上記に挙げた学校であることにも注視したいと思うわけです。

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