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2022年11月 5日 (土)

西武学園文理 Inquiry based Learningの構築が学内に浸透

昨夜、第102回GWEで、西武学園文理中学・高等学校(以降「文理」)の加藤潤先生と対話しました。2020年、2021年とパラダイム転換を進めているという話に驚きました。文理と言えば、埼玉の私学の中で有名な3つの学校のうちの1つです。何も変容する必要はないという先入観を持っていましたが、それは砕かれました。生徒の進路の複線クラスを設定し個別最適化を図る一方で、共通の学びとして「文理探究 Bunri Inquiry」を学内浸透させているのです。この緻密な学びのデザインについて、加藤潤先生は、ご自身も開発にかかわっていたので、納得のいく話をされました。

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GLICC Weekly EDU 第102回「西武学園文理中学・高等学校ー多様な仲間と協働できるリーダーを育成する」

★つまり、PBLとかアクティブラーニングとかICEモデルとか、探究の学びのスタイルはいろいろあるのですが、文理はIBL(Inquiry based Learning)を導入しているということでしょう。このIBLは、まさにIB(国際バカロレア)でも活用されているスタイルです。PBLともいわれていますが、明快に探究に焦点をあてたとき、IBLというのが教師と生徒には共有しやすいということもあります。なぜなら、学びの目標が明快に提示されるからです。PBLは、どちらかというと、大学での「研究」という言い合いがあって、そもそも何が研究の対象なのか生徒自らが迷路にはまる可能性もあります。大学では、そこを乗り越えるレジリエンスが大事ですが、限られた学び時間の中で行う時は、たしかにIBLは有益だと感じました。

★IBLについては、いろいろな考え方があるのですが、インストラクション型のIBLの学びのデザインをしているTrevor MacKenzieの4ステップアプローチの話が簡明、明快にまとめられています。次の図のようになります。

4steps

★問いー答、問いー資料ー答、教師生徒の協働による問いの生成ー調べるー答は多様、生徒による問のデザインー探究活動ー問いは多様ー多様な問題解決という感じにEBLのデザイン進化が予定されているわけです。

★文理の探究は、中1から高1、高2と進むにつれ、最終段階のFree Inquiryに進んでいくということが、加藤潤先生のお話からわかります。高入生は、2021年から一貫生と混合しているので、一貫生の刺激を受けて、すぐに追いつく仕掛けがあるのだと思います。

★さて、大学実績に関してですが、文理も総合型選抜で進路を開いていく生徒が増えていて、文理探究がそのエンジンになりうる可能性を感じているということです。来年文理探究はある意味集大成の時期を迎えるので、その成果が楽しみです。

★なぜ、その手ごたえを感じるかというと、それは加藤先生が多用するキーワードに反映されています。「クリティカルシンキング」「多様性」「仮説をまず立てる」がそれですが、これはEBLのステップが最終段階に達しているからこそ、確信をもって自然に語られるキーワードです。

★中学入試も、実にシンプルです。教科入試、適性検査型入試、英語だけ入試の3つのタイプが設定されています。

明快、簡明だからこそ、生徒は近未来の見通しを立てながら、マイルストーンを1つひとつクリアすると、確実にその見通しをたてたゴールをクリアできるという自信が生まれてくるわけです。そのような生徒の内面の成長モデルが確立しているのが文理の教育だなと感じ入りました。

※参考)首都圏模試センターのサイト「西武学園文理中学・高等学校2022『世界を見つめ、人を想い、未来を創る。』」及び同センター発刊の高校受験情報誌にも記事が掲載されています。

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