ドネラ・プロジェクト(09)アースショット構想を実現するための教育 成城学園に学ぶ理由
★今回のパンデミックは、世界システムを変容させる衝撃を与えています。最初の頃は世界のガバナーは一過性のもので元に戻ると思っていた節がありますが、現状は、地政学の危機、地経学の危機が押し寄せ、政治の転換、経済の転換、ICT技術の転換、なんといってもSDGsの最重要性への転換などの局面にぶちあたっています。そしてその転換を好循環のシナリオとして描けるCLIC(Concept Lens,Innovation,Compassion)人材を生み出すのは教育ということになっています。
(SDGsウェディングケーキモデルをヒントに作成。たぶんヨハン・ロックストーン博士が、ストックホルム・レジリエンス・センターを創設した所長時代に作成したモデルだと思います。)
★では、どんな教育が必要なのでしょう。この教育モデルの1つが成城学園です。成城学園は大正自由教育から生まれた学校の1つです。今騒がれているPBLだとかドルトンプランだとかは、創設当初から実験的に導入しつつ、インテグレートして成城学園独自のそれでいて普遍的な教育を行っています。
★大正自由教育の影響を与えた人物は、デューイであろうと思いますが、デューイ自身、体験主義、道具主義で、社会の変化は学校にも及ぶわけだから、変化にどのように対応していくかプログレッシブな教育を提唱しました。
★ですから、成城学園も、創立当初の政府のヘルバルト主義的な教育とどう折り合いをつけるか模索し、独自の路線を最初から歩み始めます。戦後は、スプートニクショックで冷戦時代ですから、それを乗り越える教育学者の1人ブルーナーが認知心理学という新しい学問を教育に結びつけます。
★これによって、生徒の学びの内面的なというか認知的な構造の研究が進みました。これを教育で実施すると、ヘルバルト主義とデューイ的なプラグマティズムは統合できるかもしれないと言われていましたが、なかなかな生徒の学びの内的連関過程にまでは、現実はうまくいきませんでしたし、今もいかないのですが、成城学園は適用できたと思います。
★そして1970年代はオイルショックで、成長の限界という今のSDGsの核になるものの見方が生まれます。ドネラ・メドウズのシステム思考やメンタルモデル、協働主義、ビジョン共有などの発想で、それがピーター・センゲの学習する組織にウケうがれます。そして、この学習する組織の周辺で、SELとかMITメディアラボとかハーバードのプロジェクトゼロが生まれ相乗効果を生んでいきます。
★つまり、現在の学習指導要領や高大接続改革がその背景で意識している学びの環境デザインです。
(アースショット構想は、ウィリアム王子がアースショット賞を設立していまから、おそらくそれとも関係あると思いますが、気候変動や環境問題に詳しく、NHKにも出演しているヨハン・ロックストーン博士のアイデアでもあります)
★20世紀初頭は、近代国家構築と民主主義の構築の葛藤と調整を背景とした教育でした。次は冷戦におけるケネディ大統領が決断実行したムーンショット計画に象徴される、市場経済と科学の時代です。そしてそれへの警鐘の時代の教育でした。3つ目は冷戦終焉後のイノベーションが前面に出る教育です。4つ目は、21世紀に入って、どうやら自然と経済は循環しなくてはならないという時代の要請を背景にした教育です。
★そして5つ目、つまり現在は、自然と社会、経済、生活、心などがすべて循環するアースショット時代です。これには、CLIC人材の育成教育が必要になってきます。この5つの時代のダイナミズムを引き受けて適用し、独自の教育を構築し、それぞれの社会の要請に対応してきた学校の1つが成城学園です。アースショット時代を牽引する生徒が誕生しています。
★昨年から同校の広報部長青柳圭子先生と定期的に対話をしていますが、その過程で、どんどんその実践が増えています。
★今週から来週にかけて、そこら辺を研究したいと考えているところです。
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