関東地区カトリック小中高連盟東京地区 大司教様を囲む会 第2バチカン公会議60周年のカトリック教会の改革とカトリック学校
★今年は第2バチカン公会議60周年。そんなときに、関東地区カトリック小中高連盟東京地区のカトリック学校が、18校集まりました。「大司教様を囲む会」をカテドラル(関口教会)で行うためです。教皇フランシスコは、昨年10月10日、バチカン聖ペトロ大聖堂で、「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会」の開幕ミサを、自らの司式によって行いました。
★教会の危機、それは第二バチカン公会議の理念が現実の中で薄れていく危機であり、それは世界の人びとの危機でもあると教皇フランシスコは認識し、シノドスを定期的に頻繁に開催していくようです。危機とは何か?大司教様によると、第二バチカン公会議で共有したシノドス的教会への方向性の喪失です。
★シノドス的教会は、福音を告げながら、「ともに旅をする」のですが、この「ともに旅をする」ということについて、どのような形で行うか、わたしたちが「ともに旅をする」中で成長するために、どうしたらよいのか、そこに聖霊の導きがあるようにするにはどうしたらよいのかなどが、世界の教会で果たして大きな一つのベクトルとして共有できているのかという問題のようです。そのために、次のポイントについて、シノドスを開いて、対話を続けようというのが教皇フランシスコの考えであり、実践のようです。
・霊の呼びかけを思い起こす。
・すべての人の声を聞く、参加型の教会プロセスを生きる。
・カリスマの多様性を認識する。
・福音宣教のための参加型の方法を見つける。
・反福音的な動きを見極める。
・社会の癒しや和解のために信頼できる教会となる。
・キリスト教諸派、他の宗教、市民団体との連携を強める。
・教会内のシノドス的な動きを促進する。
★ところが、世界代表司教が集まったときに、保守勢力がいて、第二バチカン公会議以前に戻るべきだという反論がでるくらいで、カトリック教会内でも分断が起こるのではないかという現実もあるのだと大司教様は語りました。もちろん、そうならないように全力を尽くしているし、尽くしていくと。それには、宣教の共同体、交わりの共同体、命を大切にする共同体のあり方について、こうして対話を持続可能にしていくのだと。静かなそれでいて情熱的な語りの中に大司教様の気概を参加者は感じたようでした。
★そのため、そのあとの各学校の近況報告の分かち合いは、パンデミックへの向かい合い方、宗教性を教職員と生徒に浸透させることはいかに可能か、ポストコロナあるいはwithコロナで増えているかもしれない家庭の危機の影響を受ける生徒たちへの寄り添い方、そしてカトリック学校の経営の危機など、本質的な分かち合いが行われました。
★大学合格実績のような話は直接には出てきませんでしたが、参加したカトリック学校の合格実績を補完しながら、分かち合いの内容をカテゴライズするとこんな感じです。大司教様が語る、第2バチカン公会議以前に戻りたいという考え方は、共同体に力点を置くのではなく、個人の救済の場でよいという考え方らしく、まるで政治におけるコンサバです。それに対し、カトリック的理念に基づいて、世界の諸問題、市民の生活の諸問題から乖離せず、それに対応できる共同体をもう一度という意識が今の教皇フランシスコを中心とするシノドス的教会で、まるで政治におけるコミュニタリアニズムのような感じです。それはともかく、参加したカトリック学校は共同体型カトリック教会が理想なのだという点では一致していました。
★しかし、現実は、それを正しく追求すると経営難(実際に日本全国のカトリック校の中には幼稚園や小学校を廃止したり、統廃合をしているところが増えてきました)になり、ともすると、個人救済の場となってしまう流れが生まれてしまう。実際経営がうまくいっているカトリック学校は、その流れがあり、それに抗いながら正しき共同体型カトリック校を持続可能にするにはいかにしたら可能かについて模索しているということです。
★カトリック共同体であれ、私立学校共同体であれ、世界の政治共同体であれ、リバタリアンパターナリズムとリベラリズムとコミュタリアニズムという価値観の神々の争いは昔からあります。諦めずに対話していくという「ともに旅をする」教会であり学校という意志の共有がなされた会となりました。
★それにしても、かつて経営がうまくいっていなかったカトリック学校が、対話の方法を現代化して復活している学校も出てきていることも確かです。カトリック学校が共同体型カトリック校の理想を実現するためには、現代化対話が必要だということでしょう。そして、教皇フランシスコの営みこそ、現代化対話の渦を起こすことになると思います。このことについては、分かち合いではあえて触れられていませんでしたが、近況報告を通して、その点について確信を抱いているカトリック学校が3校ほどあると確認できました。
★私は、カトリック学校だけではなく、私立学校全体で、現代化対話が起こりつつある響きを耳にしています。それをドネラ・プロジェクトとして来年4月以降は動いていくことにします。今はその下準備を始めています。12使徒の中で、イエスの側にもっとも近いところにいながら、仲間からはあまり尊敬されていなかったとされている使徒トマス。
★トマスは、当時から別次元の共同体型教会を指摘していました。ちょっと内村鑑三的でもあるかなあと。私学の系譜の中で、カトリック、プロテスタントなどを問わず、内村鑑三や新渡戸稲造、田中耕太郎、南原繁らの思想の現代化実装とSDGsのルーツであるドネラ・メドウズの系譜をインテグレイトするのがドネラ・プロジェクトです。
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