ドネラ・プロジェクト(06)学びの内的連関 システム思考風に 思考力入試や総合型選抜の学びの深さを了解するために
★探究やPBLなどの学びの外的連関については多く語られています。学習ツールや学習空間などデノテーション的なループ図はいっぱいあります。このデノテーションの見える化は大切です。というのも、この外的な環境は、学習者の内的な反応が想定されているからです。しかしながら、どのような内的連関が学習者の中に起こっているかデノテーションとコノテーションの関係性を観察したり仮定したりしておかないと、結局は結果主義に陥ってしまったりします。
【学びの内的連関のループ図】
★学習者が本当に自由にフェアーに偏らないでフラットに考え、協働し、判断し、アクションを起こすFree Iquiryの状態になっているデノテートな状況の内面でどんな学びのループが生まれているのか?それは、日ごろ言われているように問いのループです。ところが、この問いのループは、Free Inquiryの状態では、内面からふつふつと湧いているのであって、言語化された問いだけが問いのストーリーをつくっているわけではないのです。
★インストラクショニズムの問いのストーリーの言語化は、学習者のためのものではなく、教える側の道具で、学習ツールになってしまっている可能性があります。もちろん、それでよいのですが、学習ツールとしての問いであるという自覚がないと、学習者に問題発見はできません。
★学習者が自らの内面からふつふつと問いが湧いている時、対話ができるし、自分と向き合って自問自答ができます。実はこのような問いがふつふつと湧いている自分と向き合うのがリフレクションで、学習ツールとしての問いを解決しようといしている段階では、まだ深いリフレクションにはなっていません。
★ある意味、この浅いリフレクション段階では、対話や自問自答をスルーしているのと変わらないかもしれません。すると、せっかく体験(リアルと思考実験の両方を含みます)しても学習が深まらず、調べ学習や暗記学習で済ませてしまうということも起こります。それでも、体験をしていれば、自ら学びのデノテーションは回るので、いずれ、深い学びのループにシフトする状態を見守ったり、フィードバックするというデノテートなアフォーダンスを仕掛けられるわけです。
★中学受験の教科入試で200字くらいの論述問題が出ますが、これはこれで、限られた時間内で行われるので、ファクト→オピニオンレベルの、つまり上記図でいえば、「想定」ループ内です。このループを回すことができれば、次の複眼的な問いや深層思考を進める可能性や潜在的能力があると判断されるわけです。
★ところが中学受験の思考力入試や大学入試の総合型選抜では、この複眼的な問いや深層思考の段階まで展開しているかがカギです。そこから根源的な問いを自ら発見して解決に挑むというのは、もはや研究の入口に立つわけです。プロジェクトが措定される入口に立つわけです。
★この入口に立っていると思われる受験生が、総合型選抜で大学側が、共にプロジェクトを展開していこうとなるわけです。つまり、合格するわけです。
★ただ、大学がそこまで要求するかどうかは、大学によって違います。複眼的な問いや深層思考のループ段階でよしとするところもあれば、根源的問題解決ループまで要求するところもあります。
★中学受験の思考力入試はあくまで、潜在的能力としてその可能性まで要求します。だから、教科入試で合格してきた生徒と比べて中高段階で学びの翼を大きく広げることになるケースが多いのは、当然です。
★なぜかというと、上記の図のループの矢印のコノテーションは、GRIT精神が内包されているからです。
★自分が対処療法的な学びしかやっていないと気づいて、根源的問題解決ループまでたどりつこうとするとき、それはGRIT精神が必要です。それから対話のパワーですね。
★ファシリテーターやプロデューサーとしての教師がデノテーションとしての学習環境をデザインするのは、このGRIT精神と対話力を学習者の内側から湧いてくるその持続可能性を見守るからです。このループ全てを試行錯誤して、失敗して原点回帰を繰り返すなどする中高6年間なり高校3年間を経ると、この自己変容の内的連関ループの回転が持続可能になるでしょう。
★そして、このループ図の回転の仕方や道のりの歩み方で、メンタルモデルがわかるし、メンタルモデルのパラダイムチェンジが起こっているかどうかもわかります。内的レバレッジポイントやティッピングポイントも了解できるようになります。
★しかし、それは、学習者一人一人によって違います。どんなコンセプトレンズ(複眼的な問いや深層思考の段階に生まれる場合が多いです)を形成するかは学習者によって違うのです。だからこそFree Inquiry状態になれるわけです。
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