変わる聖パウロ学園の学校説明会
★昨日、10月29日(土)、勤務校聖パウロ学園高等学校は、学校説明会を行いました。清々しい秋晴れの中、多くの受験生・保護者の方が学校説明会にご来校くださいました。心から感謝です。というのも学校で開催する最初の行事だった8月のオープンスクールは、八王子の新型コロナ・ウィルス感染ピークで、9月に延期せざる得なかったため、マーケットの反応が実は読み切れないでいたからです。
(主幹大久保先生のグローバルの意味と英語教育についてインパクトあるわかりやすい説明。英語に対する苦手意識をもっている受験生がモチベーションを燃やすことになるスピーチ。校長の宇宙船地球号の乗組員を受けて、グローバル人材の意味を共有。グローバル=英語教育という先入観を問い返す、目からウロコのトークは、大久保先生の得意とするところ。目からウロコは、聖パウロの生き様そのものです。)
★高校入試の説明会は、中学入試とはかなり戦略・戦術が違います。中学入試だと、試験が終了する2月から開催する学校もたくさあるぐらいですが、高校入試は、はやくても7月でしょう。高校入試の場合は、はやく行っても、実際に受験する生徒の手ごたえはまったくわからないのです。7月までは、学外の説明会を中心にマーケット動向をリサーチし、ニーズに合わせて、広報戦略・戦術を調整していく仕込みの時期です。とはいえ、その仕込みは、1年前の今の時期から行っていくわけですが。そうしないと、仕込みたくても実際にはできないのです。
★そういうわけで、8月に学校で行い、その調整の有効性や手ごたえのチューニングを行います。しかし、今年はそれができなかったので、一月遅れの9月になりました。そのとき手ごたえは感じたのですが、この時期からは、受験生は中学校側の意向も考慮に入れますから、純粋なニーズを突きとめられません。中学入試では、小学校側の意向は考慮することはないので、私立中学と受験生・保護者と塾との関係が形成する市場の動向を探ればよいのです。この市場はかなりオープンですから、市場の反応をストレートに感じます。
★ところが、高校入試は、さらに公立中学の指導がはいります。ここは個別具体的ですから、全体像は見えにくいのです。中学の学校選択情報は、過去の情報・データの積み上げが90%を占めますから、高校側が新しくしても、その情報が、大きく影響することはなかなか難しいのです。
★ですから、中学の学校選択指導が本格的に始まる前に、受験生・保護者の求めるもの(リアリティあるものは、進路を意識する時期のものです)を知っておく必要があるのです。中学側の想いと受験生の想いの差がわかれば、アプローチの方法が見えてきます。ところが、9月以降は、中学側の思いと受験生の思いは、一致してきますから、新しい情報が受け入れられるかどうかはわかりにくいわけです。
★そこで、今回は、勤務校の教員が中学訪問をするときに、新しい情報にちょっとした工夫をしました。中学校の進路指導の先生方が、いつもと違うので、再度パウロを点検することになるような工夫です。しかし、再点検されて受け入れられるかどうかはある意味カケなのです。
★ところが、この中学訪問も、コロナによって、スケジュール変更など余儀なくされ、十分に伝えられない現状に直面もしました。入試広報部が臨機応変に動いていますが、タイミングが少し遅れています。
★そういうこともあって、昨日の学校説明会に受験生・保護者の方がどのくらい集まってくださるか、緊張がはしっていたわけです。今もそれは変わりありませんが、新しい広報戦略・戦術がそんなに外れていなかった手ごたえを感じることができたので、入試広報部長とようやく今年の募集活動の方向性が定まったという感じかなと一瞬確認しました。しかし、その後すぐに、マーケットの反応でいままでと違うところがでてきたので、早急に分析しますと広報部長。さすがです。
★一年前、広報部長と作戦会議をしたときに、新しい広報戦略・戦術の根幹として、小手先の広報活動はしないと話し合いました。生徒指導部長とは、生徒指導部の生徒主体の学校づくりを前面に出していこうという想いを全面的に応援すると対話もし続けました。その生徒の人間力を教師が共にどうやって作っていくのかその学びをPBLという表現から「思考型教育」に変えて、一般的なトレンドに合わせた教育であるというような誤解をされないように、現場で生徒が未来を創っているリアリティを共感して頂こうということを狙っていこうと、教頭とも何度も確認し続けています。エッ!?それが戦略なの?たしかにそう思う方もいらっしゃるでしょう。なるほど無手勝流に見えるかもしれません。
★しかしながら、徹底的に生徒が学んでいる姿、生徒が主体的に学校づくりに参画している生の姿、生徒の思いの表現技術などをストレートに共感していただくには、1年前から仕掛ける必要があったわけです。学内が自己変容することと広報戦略・戦術も変わるということの同期を調整していけるかどうか、毎日入試広報部長とディスカッションしてきたし、今後もそうするわけです。
★この同期をとろうとプランしてから、徐々に学内では、部活やパウロ祭などの行事、探究ゼミ、ボランティア、キャリプロ、授業、大学や企業等の連携活動などあらゆる教育活動で生徒と共に歩みだす雰囲気があふれてきました。もともとあったのですが、一つの大きな雰囲気になることが肝要です。タイミングを見つけては、道具を小出しに共有していきました。1つ目は〇〇、2つ目は★★、3つ目は、◎◎、4つ目は、☆☆、5つ目は♡♡。今回の説明会では、その♡♡が、カチッと音をたてたような気がします。5つの道具については、今年の生徒募集活動が終わってから振り返りたいと思います。いつもこのブログで言っていることなのですが、それが現場で共有されるかどうかはまた別問題ですから。
★さて、プログラムは、3つのパートに分けて実施しました。「全体説明会」「ミニ思考型授業体験」「個別相談」。いずれも在校生がナビゲートするなど大活躍してくれました。私たち教員を手伝うということではなく、いっしょに受験生・保護者の方をご案内し、照明やマイクチェックなども臨機応変に操作してくれました。その姿は、イベント企画運営の同僚という感じでした。
★プログラムにない質問やキャンパスツアーも買って出てくれました。パウロは「体験を重視していますからぜひ」と。すれ違いざまに「すばらしい」と小さく声をかけると、大丈夫ですよ心配しないでとアイコンタクトを返してくる生徒たち。いろいろな局面でこちらは感動ものでした。
★また、全体説明会では、小島綾子教頭といっしょにパウロの教育の魅力について、多角的にプレゼン。スライドも在校生自身が作成。ミニ思考型授業体験でも、チームティーチングさながらのサポートをしていました。生徒の普段のありのままの活動がストレートに伝わり、受験生・保護者も私たちも共感の輪が広がったと思います。
★パウロで先輩や先生方といっしょに未来を描いていけるとスイッチが入ってくれることを期待したいと思います。
※パウロのfacebookの速報から、当日のアンケートの声をご紹介します。
<説明会参加アンケートには、次のように共通したコメントをたくさん頂きました。ありがとうございます。>
・在校生がついてサポートしてくれたり、学校の説明をしてくれたのは、すごくよかったです。
・在校生の方が、素敵なプレゼンをされていて、すばらしいと思いました。
・英語が苦手で、不安でしたが、苦手の子でも学べることがわかり、安心しました。英語の体験授業が楽しかったです。
・パウロの授業のすてきな雰囲気を知ることができました。
・生徒さんが礼儀正しく自信にあふれているようすに感動しました。生徒が自分の考えをしっかりと持ち、それを伝えることができ、素晴らしいと思いました。
・先生も生徒もスライドを使い、わかりやすく説明されていました。たくさんの体験ができることもわかりました。
・先生方や生徒さんたちの関係のよさを感じることができました。
・グループに分かれてたくさん案がでた。楽しかった。
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