なぜ「体験」をまず大事にするのか。
★ここのところ、学校の教育活動を「体験」から見ているのですが、ある先生に、なぜ「体験」?と問われたので、そういう問いがなるほど出るのだなあと妙に感心しました。ふだん丁寧に知識や情報などをレクチャーしていると、「経験」となるようなのです。たしかに、経験値とはよく使いますが、体験値とはあまり使いません。PBL型授業をやっていると、「まずやってみよう!」となります。まず体験しようとはいいますが、まず経験しようとはあまり言いません。経験はまずではなく、積み上げていく感じですから瞬間的な時間より持続的な時間のイメージがあります。
★それに、体験は、「体」とあるように、リアルな空間で身体を使って行う感じがします。一方経験は、「経る」という字が使われていることもあるからでしょうか、積み上げていって後からじっくり振り返ることができるように内面化されていくイメージがあります。PBLだと、最初はまず体験。それが繰り返されて経験値が高くなっていく感じなのでしょう。書物や文献、図表などから読み取る授業だと、たしかにまずやってみようとはなりませんね。でも、経験値は高くなります。ですから、PBLのように体験から出発すると主観性が大いに入り込む経験値ですが、講義型の場合は、客観的な捉え方の経験値が積み上げられます。
★体験の場合も、最終的には客観的な捉え方になるわけですが、そこに到達する過程には、主観が入り、ディスカッションやワークショップなどで、主観同士が精査し合って、客観性が生まれてくるシーンに立ち会えます。客観的と思われているものは、実は創出されたものであり、それがフェイクではなくアイデンティティがいかに保証されるのかそれこそ経験値を積んでいきます。こうしてはじめてようやくクリティカルシンキングを体得できるようになります。この過程がないと客観的ということばをいつの間にか科学的に絶対正しいと錯覚を抱く可能性があります。
★PBLだからこそ、体験から経験値をアップデートしていくことができ、その過程で、クリティカルシンキングや客観性を創造することができるわけです。VUCAの時代には、客観性も変わり得るわけですね。なおさらPBLは重要です。
★英語で、体験と経験をどう使い分けしているのか?単語でいえば、Experienceです。しかし、翻訳サイトReversoで類義語をサーチするとおもしろい結果になりました。
❶ And there's the chance to go on wildlife safaris and guided hikes too.
❷ This process is essential in helping you adjust to the physical changes that you are shortly to encounter.
➌ Combine your visit with a Delft Blue painting workshop.
❹ I worked in main dining for nearly two years.
➎ I have also lived in Kenya, Cambodia and the Philippines.
➏ Their life stories are the messages of love.
➐ I originally come from a background in Fine Arts and Graphics.
➑ KDDI Hong Kong has expertise in integrating solutions into our global network.
★❶~➌までの下線部の単語は、deepl翻訳では、「チャンス」「遭遇」「ワークショップ」と訳されるのですが、Reversoでは、いずれも「体験」と訳されます。
★❹~➑の下線部も、deeplでは、それぞれ皆さんが知っている単語の意味が使われるのですが、Reversoでは、いずれも「経験」です。
★ワークショップは「体験」で、ワークは「経験」としているのが、なんかおもしろいですね。
★Rversoの翻訳を使うと、先に私が妄想を抱いた「体験」と「経験」の違いは、完全に的を外しているわけでもないと自己満足した次第です。
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