教育の質の高い中身を選択する時代(09)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味⑧
★今回の巻頭座談会で、北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)が7番目に振ったのは、北岡優希さん(ノイタキュード代表)。北岡さんは、塾経営の経験もあるし、複数のカメラで撮影しながら取材をするスタイルなので、メタ認知的なものの見方考え方をします。適切な距離を調整ながら物事を把握したり、取材対象の背景に何があるかを洞察する優れた能力をお持ちです。したがって、どうやら高校入試におけるパンドラの箱を空けてしまったようです。
★というのも、今回、通信制高校と親の役割について言及しているからです。
★明治維新以降、政府の教育観は優勝劣敗主義で、それはやがて学歴社会を生み、その修正を幾度しても、教育は経済社会に紐づいているために、どうしても比較優位や競争社会の観念から解放されることは難しかったわけです。
★難しいわけですから、当然そのような高ストレス、濃厚な権威主義的な社会からスケープゴートにされる人々がでてくるわけです。そのよな明治維新以来100年以上沈澱してきたゆがみを引き受けているのが通信制高校であり、核家族化してしまった現状では、そこを引き受けるのは親ということになります。
★そして、その引き受け方が多様で、少人数で1人ひとりの生徒と真剣に向き合い、ゆがみの中で産出された複合的な心の壁を、一つ一つ生徒といっしょに取り除いていく引き受け方もあります。また、そこには触れず、卒後資格をほとんど通学せずに取得させることだけに専念する引き受け方もあります。
★現状の社会では、高校卒業資格がなければ、人生の進路の選択肢はたいへん狭いものになってしまいますから、それはそれで重要な意味があります。
★さらに、全日制に通えるのに、あえて通信制に通い、自分の好きなことや現行の高校では教えられない学びに専念したいという生徒を引き受けるという方法もあります。もちろん、最小限の勉強で高校卒業に必要な単位を取得しなければなりませんが、全日の生徒に比べ、圧倒的に自分のやりたいことに時間を割けるのです。
★アスリートやタレントの方々が利用するのは、その格好の例です。
★親の対応も本当に多様です。核家族化しているわけですから、知り合いや学校の教師などのネットワークを活用できる親は、いくつもの悩みをクリアして進みます。
★ところが、そうでないケースもあるし、その種類は多様です。追い詰められる親もいるわけです。
★通信制高校や親の引き受け方については、現場にいなければわからない本当に辛い問題が存在しています。
★メディアやジャーナリストが、そこを開いているのは見たことがありません。なぜなら、できない理由が厳然としてあるからです。ここの問題を解決するのを国や自治体は放置しているわけではありません。むしろ、エッセンシャルワーカーがサポートする部署が多角的にあるのです。
★人権問題が横たわっているので、そこは各エッセンシャルワーカーと学校、教師は守秘義務を担いながら協働します。
★北岡さんは、そこに解決する問題があると直感したのでしょう。スーパー難問が横たわっています。まさにパンドラの箱です。
★しかし、すべての災いが箱からでていったときに、最後に希望が残ったという説があります。
★通信制高校や親が引き受けている難問に日々現場で向き合っている現場の教師の姿こそ希望です。
★働き方改革とかブラックだとか校則批判だとか部活批判とかあります。ICTやAI、メタバースなどを使って個別最適化だとか語る人もいます。もちろん、一理あります。しかし、そのような論考に北岡さんが洞察した問題をしっかり見て、引き受けようという人はあまり見たことがありません。
★通信制高校と全日制の現場に毎日かかわっている私は、改めてそれを真剣に引き受けるにはいかにしたら可能か見直さなければならないのだと確信しました。北岡さん、ありがとうございます。
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