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2022年10月26日 (水)

VUCAの時代に負けない言語の力 聖パウロ学園の言語学際科

★聖パウロ学園の国語科主任高橋先生と教頭小島綾子先生は、この時期教師や生徒との対話がピークになります。廊下を歩いては生徒と対話し、休み時間には、生徒から呼ばれ、職員室では、同僚から教えを請われています。

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(3カ月かけて行ってきたSDGsと気候変動のプロジェクトの最終ワーックショップを行う小島綾子先生)

★志望理由書や小論文、推薦書などのアドバイスを生徒からも教師からも求められているからです。もちろん、全教員がこの時期大学入試プロジェクトで動くのですが、最終的な詰めは二人の先生にとなるわけです。

★そして、それだけではなく、国語の授業におけるプロダクトや探究ゼミにおけるプロダクトのアドバイスにも対応します。

★特に昨今の総合型選抜で要求されるプロダクトは多種多様で、一つ一つに応じるのは、一般には難しいですね。それでも次から次へと対話していけるのは、小島綾子先生は、国語科教諭の免許だけではなく、家庭科の免許、養護教員の免許など知、身体、メンタル、人間関係、SDGs、金融教育など学際的知性を有しているからです。数多くのボランティアプロデュースや探究ワークショップのプロデュースも満開の花が咲いています。

★高橋先生も、国語科教諭のみならず、司書教諭の免許も持っているし、ICT支援委員としての認定もされています。それに哲学対話を企画したり、文学散歩に生徒と出かけたりするわけです。学際知と行動知の両方を兼ね備えています。

★勤務校が少人数だから対話に満ちているのか、二人の教師がそれぞれ学際的で、アクティブだからそれができるのか。両方ではありますが、教師が学際知と行動知の両方を持っていることは得難いということでしょう。

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(高橋先生もSDGsと気候変動のプロジェクトをファシリテートしてきました。外部団体との連携もアクティブにプロデュース。)

★このような対話が持続可能なのは、生徒1人ひとりが体験をたくさん行っているからです。どういうことかというと、体験を通じて、生徒は1人ひとり違うものの見方感じ方考え方を生み出すわけです。多くの体験を通して、そのものの見方感じ方考え方が、実は自分の才能の表出であることに気づいていきます。

★ですから、先生方は、1人ひとり違う発想の志望理由書や小論文に対応します。国語の授業でもそうです。大変なんだけれど、文章の要約を添削するような辛さはないのです。要約の添削は、何も難しくないのですが、基本生徒全員同じプロダクトです。もちろん、1人ひとりの要約スキルのレベル差はありますから、それなりに語ることはありますが、こんな発想とか、こんな表現とかいう感動を教員間で共有する盛り上がりはありません。

★もちろん、生徒の成長の感動はありますが、先生方が想いもよらない発想に触れる機会はそう多くはありません。やはり、学びはワクワクしなくては、感動しなくては、そういう意味で面白くなくてはというわけでしょう。

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★そんなわけですから、二人の「国語教育研究」への情熱もすさまじく、国語科の思考コードや思考スキルは「知と情」の両方ができあがっています。おもしろいのは、「覚醒」という自己開示の感情がちゃんとセットされていることです。

★したがって、一般に、文章読解というと、与えられた文章をきっちっり理解することが目的となりながらですが、実際には作者のバックグラウンドまで及びませんから、結局生徒の認識の網の目にひっかかった分しか理解ができません。

★ところが、パウロにおいて文章読解は、文章体験の1シーンにすぎません。ですから、生徒は自分の視野の狭さを広げる覚醒を味わう、つまり身体脳神経全体をつかって、自分の才能を創作物へと転換する過程を体験していくのです。プレゼンの内容は感動的なのは言うまでもありません。

★共感を呼ぶのは、他者の文章を引き受けて自分の言葉や感性と融合して新たなプロダクトとして生み出すからです。文章Aが文章X(transformatin)になるわけです。もはやパウロの国語科は、言語学際科というレベルです。

★新たなプロダクトとして転換されるそれぞれの才能どうしが響き合うからこそ、対話のおもしろさは持続可能になるのだなあと、二人の先生が生徒や教師と対話している様子を眺めて、感じいる今日この頃です。

★12月には、二人は、東京私学研究所の国語関連のセミナーで、ワーックショップを行うということのようです。

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