理事長・校長会で 近藤会長と麻布の平校長のすてきな問答
★昨日、一般財団法人私立中学高等学校協会の第1回理事長・校長会が、私学の拠点アルカディア市谷(私学会館)で開催されました。年に何度かある協会の総会の1つです。ですから、テーマは、協会の運営面・広報面、私学振興を中心とする私学経営の面、入試の共通の紳士協定や公私の申し渡しの件、各種研修の紹介など多肢に渡ります。
★特に国や自治体との助成金・補助金などの交渉は、近藤会長と日本中学高等学校連合会の会長の吉田先生をはじめとする役員の先生方が奔走します。東京都教育委員会は公立、知事は私学を所轄するわけですが、何も働きかけをしなくては、1人1台パソコンの補助金などはでないわけです。毎年、様々な私学の補助金枠がきまるのは、協会の役員の方々と都の私学部の方々の協力によるものです。
★この協力を実現するためにも、東京都の私学がこうして一堂に会したり、毎年国際フォーラムで実施する私学展も東京私学全体で行ったりするわけです。
★教育基本法改正で、文部科学省が直接私学に助言指導を行う条文をつくろうとしたとき、私学協会は一致団結して交渉したわけです。今回のガバナンスへのある意味介入も同様に交渉したわけです。近藤会長によるとなんとか初等中等教育段階は阻止できたようですが、大学は文部科学省の所轄ですから、ある意味、私学の分断が起こるかもしれないという懸念があり、今後も引き続き私学の魂・自由を持続可能にする活動を続けていくということです。頭が下がります。
★そのような一連のテーマの話が終了したあと、質疑応答の時間がありました。今まで、ここで質問する校長は極めてまれだったのですが、今回は麻布の平校長が質問をしました。質問というより提案あるいはお願い。。。微妙ですが、とにかく受験市場では御三家と言われるている学校が、会員として協会に属しているけれど、積極的に参加する姿勢というイメージはなかったので、驚きました。
★しかし、ハタと気づいたのは、私自身が「受験市場」側に随分いたので、そういうレンスでみていたのだと。私学が主導する「入試市場」において、つまり協会というレンズで見ると、そこに御三家なという分類はないわけです。偏狭なレンズをまた壊すきっかができたわけです。感謝です。
★平先生は、コロナ禍における説明会のありかたにおいて、どうしてもWebだったり、対面といってもポスターセッション型になって、1人ひとりと対話する対面型ができなかった。しかし、来年からは再び、入試相談型の対面スペースに戻して欲しいと。
★そして、次が平校長らしいのですが、その理由を具体的実践例を挙げて根拠づけたのです。麻布学園は、7月・8月に何度か、1組15分で入試相談をする機会を設定したら、保護者は満を持して待ってましたとばかり、たくさん申し込んでいただいた。私たちだけではなく、受験生・保護者も同じ想いのはずという仮説を立てていました。
★それに対して、近藤会長がこう回答されました。私たちも同じ想いですと。ただ、運営するにあたり、やはり具体的状況を見通し、経済状況も考え(ここの具体的な話は極めて重要であるため、具体的にはここでは言えません)計画を練っていくという趣旨であったのは、少し驚きました。
★というのは、近藤先生の場合、決断がはやいですから、明快に来年はそうしますと言い切るかと思っていたのにそうではなかったからです。慎重に大所高所から検討するというような言い方です。それ自体は明快でしたが、近藤先生がそのように言う時には、たいていの場合、従来と同じことを再び行うのではなく、どうせやるならもう一味加えるという意味を含むのです。
★平校長の自分の学校のケースから普遍化する話と、近藤会長の普遍から個別化する方向性が、一致というより化学反応を起こし、来年度のさらなるアップデートが予想されるやりとりが、実に興味深かったのです。そんな秋の始りでした。
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