トランジション教育型学校(3)TQschoolの構成 2つの機能と1つの環境
★TQschool(トランジション教育型学校)の構成のイメージ図は、前回紹介したので、ここでは構成する2つの機能と一つの環境の要素について語りたい。前提として要素分解してその諸関係が化学反応を起こすというイメージをもっていただきたい。要素還元主義とか構成主義とかいろいろ語られているが、その議論は社会学者をリスペクトするとして、現実的には、両者のいいところどりをしたほうがよいだろう。いまだにどちらが正しいのか決着はついていないから、学者でもない私は良識というコモンセンスを基準にしたい。もちろん、それもメタ認知=リフレクションしながらであるが。
★今年から高校は本格実施の新学習指導要領に移行している。注目されている教育に「探究」というのがある。「総探」とか言われて、時間的制約を建前に、EEschool(受験指導型学校)では、入試問題の演習の時間にあてられたりしているのが現状だろう。それは、教科中心主義的だから、そもそも「探究」という分野が目に入らないだけのことで、EEschoolで、「探究」をやること自体が、学内では矛盾なのだ。2030年問題対応という視野と奥行きの次元では「探究」は当然なのだが、個人的な価値観ではなく、スクールパラダイムという意味での価値観が違うから、それを無視して「探究」を導入してもなかなかうまくいかない。
★「探究」をやるのなら、TQSchoolにパラダイム転換するしかない。条件を無視すれば、数学の難問は解けないことは、受験指導型学校は、よくよく知っているのだから。
★だから、探究ってなんだ?できないよと言っている学校は、自分たちの学校は、受験指導型学校だという前提を確認しているだけのことである。それはそれで寛容に受け入れなければならない。ただ、2030年問題対応というのは、よいのかわるいのかは判断中止するとして、世界の60%以上はスマートシティ化する。マンションの稼働率が下がっても、そこはバーティカル農法にリフレームされる。先進諸国は人口減になるから、都市の70%は自然林や海と接続する。森は、カーボンニュートラルの最高傑作である。ただ、里山の維持の労力が凄まじいがゆえに、それをAIドローンや森林AIインストラクターロボットによって、動植物との共生を図るデジタルネーチャーになっていく。輸送は各スマートシティシェルター内で行われるから、自動運転トラックやドローンによって賄えるようになる。
★シェルター同士は、道路などのインフラの整備には時間がかかるから、しばらく今までの通りだろう。
★生活用品は、3Dプリンターでプロダクトされる。したがって、食料、インフラ、生活用品はスマートシティで自給自足できる。もちろん、閉鎖的ではない。このアイデアをweb3.0の世界で共有できるwell-beingインテリジェンス機能がグローバルに機能する。
★スマートシティでは、車や輸送は、空を飛ぶから、道は人間の健康維持のためのスペースになる。森と海と道。仕事は、ほとんどがオンライン。健康ケアのために、一定時間外で多くの人とコミュニケーションをとる。健康とは、身体と心と人間関係の循環。それから死はいずれ迎えなければならないので、スピリチャリティケアがしっかりする。もはや宗教は文化になり、どの宗教にも共通するスピリチャリティケア(黄金律ベース)が機能的に一般化しているだろう。
★水については、森による名水がこんこんと湧くことになるだろう。「成長には限界があるが、愛には限界がない」という個人とスマートシティの価値観パラダイムが一致するかどうかメタ認知できる複眼的インテリジェンスと感性は、TQschoolが担うことになる。制度設計には、この複眼インテリジェンスが必要。
★その複眼インテリジェンスを生み出す泉が、TQschoolのコア教育機能である。1人も取り残すことがないように、全員があるレベルの探究体験プログラムがデザインされている。そして、そこにつながるようにコースやクラスが設定されている。問題は教科である。教科も必要なのは、スマートシティは、マインドとスキルとナレッジがないと循環をスマートシティー市民全員で自分事にして運営できないからである。
★もちろん、この知識は受験学力知識ではない。それぞれの知識は、分子や原子、陽子などの電子結合の組み換えを行えるような知識である。
★それには、教科も、探究体験型プログラムと結びつくようにデザインされている必要がある。
★そのうえで、バッファー教育機能は、それぞれの才能・技術・寛容という3Tを伸ばす、自分の関心を世界に転移する体験プログラムが山ほど用意されている必要がある。ここの部分は、外部の知と交流する場でもある。
★そして、このような機能=function=関数が成立するためには、先進的教育環境が必要である。ハコモノキャンパスではなく、スマートシティの小さなモデルがそのままキャンパスになっている物質的空間と、多様な世界とコネクトできるコミュニティという精神的な空間の両方があり、それが相乗効果を生み出すようになっている。2030年には、ここはメタバース空間が、その両方の化学変化を引きおこす媒介空間となっているだろう。
★このすべてが完成しているTQschoolは、まだないが、シフトしつつある学校はかなり出現してきた。どこか?それはGLICC代表鈴木裕之さんが主宰しているyoutube番組GWE(GLICC Weekly EDU)に登壇している学校は典型例だろう。
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