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2022年9月19日 (月)

トランジション教育型学校(2)トランジション教育型学校=TQschoolへ

★トランジション(transition)教育型学校を、別名TQschoolと呼ぶことにする。トランジションは、偏差値という枠内での学力スコアの伸び率も含むが、それ以上に、自分が置かれているシステムや制度、習慣などの枠組をメタ認知することによって改善や次元を変える自己変容を起こすことである。既存システムに対して視野を広げ深層に迫り、問題を発見して責任を引き受けるがゆえにクリティカルシンキングをし、それによって発見されたさらなる実際的な問題を解決するアイデアを出し、行動するクリエイティブシンキングを身に付ける結果、新たな次元に自らを設定する自己変容型知性(self-tranforming mind)を身に付けることである。

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★Tというのは、「━」という視野を広げる共感力を示している記号と「❙」という深堀していく思考力を示している記号を統合したイメージを表現している。Qというのは、「〇」という現状のシステム循環を示している記号と「\」という現状をメタ認知するクリティカルシンキングを示している記号を統合したイメージを表現している。トランジションの過程は、このTとQを組み合わせ、その化学反応としてクリエイティブシンキングが創造的破壊をもたらす道のりである。それゆえ、トランジション型教育学校は、別名TQschoolなのである。

★一方で受験指導型学校は、Entrance Exams SchoolとしてEEschoolとしておこう。

★このシリーズでは、教育機能において部活と行事を括弧にいれると前述したが、それはもし括弧に入れないと、EEschoolとTQschoolの差異が覆い隠されるからだ。部活や行事は両方の学校で行っている共通部分で、ここは感情的に感動を生む場所であるが、その感動の質の違いは、見えてこない。結局、オープンスクールなどで体験して、感動してしまえば引き込まれる。すべての学校のオープンスクールを体験し、比較して選択することは困難である。

★私は、部活も行事も昨今のメディアなどが取り上げているような否定はしていない。やりようによって、いくらでも自己変容を起こす環境にできる。実際、多くの現場では創意工夫をしている。

★だから、部活や行事で学校選択をするのは難しい。ただし、従来型のEEshoolの教育は、実は受験指導中心であるから、そこでは偏差値や大学合格実績の違いしか見えないため、学校の付加価値として部活と行事でしか判断できないのである。この選択は従来はよかったと思う。というよりそうならざるを得なかった。ただ、実際には、受援指導と部活や行事のそれぞれが偏差値や大会やコンクールで勝ち負けスコアで選ぶことになり、人口成長論やGDP成長論のベースになった優勝劣敗論教育がベースにあることは否めない。

★2030年問題対応とは、新しい成長論へのパラダイムシフトができるかどうかなのである。ドネラ・メドウズがいうように、化石燃料を燃やし続け欲望の消費経済の生活パラダイムには限界があるが、愛には限界がない。愛とはもちろん、一定の学力エリートだけではなく、誰一人取り残すことのないwell-beingを生み出すことである。

★すべての人のそれぞれの才能(talent)を開花し、すべての人が技術(technology)を共有し、すべての人が互いに寛容(tolerance)である世界を創ることなのだ。TQschoolのTは、この3Tも含んでいる。一方で、EEschoolは学歴社会という優勝劣敗の象徴的システムの結節点の1点である。一部の学力エリートの才能と彼らのハイテクノロジーを育成し、優勝劣敗という明治維新以来教育の根幹に据えてきた不寛容教育を継承してきた。

★文科省も経産省もそれに気づき、自己省察を進めてはいる。たしかに、EEschoolのEEをエコとICTという道具で置換えようというイノベーションを進めている。それはそれで、頑張って欲しいが、2030年問題対応に間に合うかどうかは予測不能だ。

★それゆえ、私立学校の中には、2011年の3・11の反省と省察と洞察からTQschoolにパラダイムシフトする学校が生まれ、今もまだまだ少ないが、毎年チャレンジする私立学校が生まれていることは確かだし、それは従来の成長論の限界が来てしまったのだから、当然の動きなのである。グレートリセットという言葉をダボス会議でも昨年使っているが、もともとは21世紀が始まるや、リチャード・フロリダ博士が、クリエイティブクラス論を展開したときに生み出した言葉である。このクリエイティブクラス論については、優勝劣敗をアップデートするデジタルネイチャーやデジタルアートで活躍している落合陽一さんも見直している。

★「落合陽一」という記号は、実は優勝劣敗論からは遠い経験をして今のポジショニングを自ら得ているところが、EEschoolではなく、TQschoolのシンボルだと思っている。

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