予備校のビジネスモデル岐路~時間の個性化の時代
★Business Journalに衝撃的な記事が掲載されました。「予備校の代名詞「駿台」校舎閉校ラッシュの背景…浪人生激減、ビジネスモデルが岐路(2022.08.14 06:05)」がそれです。予備校がなくなるというようなことではありません。予備校のビジネスモデルを変更させる時代背景が前面にでてきたということが衝撃的でした。1960年代頃から高度経済成長期に向け、いわゆる「受験戦争」と言われる事態が起こり、浪人生が予備校に集結するわけです。
★「四当五落」なんて言葉も人口に膾炙されました。80年代後半からは「24時間戦えますか!」なんてクレジットの宣伝も一世を風靡しました。しかし、90年代にはいって、少子高齢化、大学の数の増加により、「浪人」より「現役」という風潮が広まります。中学受験の大きなウネリも重なります。私立中高一貫校のうたい文句の1つに「予備校に通わずに、現役合格」でした。
★ともかく、高校生一学年が200万人時代から100万人時代に突入し、2031年には、100万人を切る時代が到来しているわけですから、予備校も同じビジネスモデルを続けるわけにはいきません。
★今回のパンデミックで、オンライン授業も広がりました。生徒は1人1台パソコン時代になりました。「個別最適化」という「指導の最適化」と「学習の最適化」を推進する概念が広まっています。
★優勝劣敗や勝ち組負け組という概念を好まない、デジタルネイティブZ世代が中高生です。身体、心、人間関係という包括的なヘルス概念も広まりました。同時にそれは、このヘルスのクライシスも生んでいます。
★このクライシスは、他人が決めたライフプランに無意識のうちに従っているという時間プレッシャーによって生まれてきたというのは、多くの人が認識していることだと思います。時間は、化石燃料同様、限られた資源です。その限られた資源を自分事として活用できるかどうか。そこに多くの人が気づいたということでしょう。
★働き方改革などの議論は、まさにそうですね。
★したがって、「時間プレッシャー」から「時間の個性化」というパラダイム転換が起こっているのでしょう。最近では、「四当五落」ではなく「六当五落」とも言われるようになっているようです。
★総合型選抜をはじめとする多様な大学入試スタイルは、この「時間の個性化」の現われの1つでしょう。ディスカッションやワークショップをベースにしたPBLの必要性もその現われの1つでしょう。
★自分の時間を取り戻すということは、ハイデガーではないですが、まさに「人間存在の回復」でもあります。総合型選抜などの新しい大学入試は、「自己とは何か」を問うてきます。中高時代の貴重な体験は、「時間の個性化」の過程そのものです。
★予備校の新たなビジネスモノデルが、マーケティングやコーポレートベースのブランディングからソサイエティベースのブランディングに変化するのでしょう。そして、教育そのものは、ソサイエティと個人の調和を創造する時代にようやくなるでしょう。SDGsへのアクションはその典型かもしれません。
★予備校のみならず、多くの企業が、この調和を創造するためにブランディングの駆動力を一体何に求めるのか。それが「時間の個性化」ということになるのではないかと思います。モモではないですが、時間泥棒との決別ですね。
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