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2022年8月 1日 (月)

聖パウロ学園 カトリック学校対象の大学入試に向けての講座(了)根源的なるものと自己~モジュール型システム思考

★最終回は、ロジェ・カイヨワの「戦争論」を100分で解説しているNHKのテキストを使いました。カイヨワと言えば「遊びと人間」が有名ですが、この背景には「聖なるもの」の眩暈があります。「聖なるもの」は、カイヨワのライフテーマだと思うのですが、この「戦争論」でも取り上げられています。

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★もちろんこの「聖なるもの」について、カイヨワはキリスト教的な「聖なるもの」を前提にしていません。文化人類学や社会学、あるいは神話学的な発想を前提にしています。もっともイエスも十字架にかけられていますから、神話や文化人理学で扱われる「聖なるもの」の行方と共通はしています。

★それはともかく、カイヨワの「戦争論」は、従来の「戦争論」とは違います。なぜ戦争が起こるのかその根源的な問題を考察しています。その象徴としてギリシア神話の軍神マルスと女神ベローナを持ち出しています。

★従来の戦争論は、軍神マルスが主人公でしたが、カイヨワは、むしろ女神ベローナの側面を強調しています。

★これは、ニーチェのアポロとディオニュソスの関係にも似ているし、J.J.ルソーのヤヌスの側面的な発想にも似ています。

★かように根本問題は、葛藤やジレンマ、トレードオフ、パラドクスというレトリックで表現せざるを得ない「聖なるもの」が横たわっているようです。

★パウロ生は、そこまでの議論は時間上できませんでしたが、それぞれに戦争が起こる根本的理由を掘り下げていました。今回のウクライナの問題にも通じることも確認できました。

★前日に、EWP(Ecosystem of Wicked Problems)のループ図を深堀していましたから、戦争についても同様に深堀していきました。

★そのとき、生徒は、ループ図を書くのではなく、ランダムに書き込んだポストイットを並べ替えたり(順序づけや重みづけ)、不足のものは、新たに挿入したり、不要のものは削除したりしていました。

★根本的な理由を「ル・サンチマン」や「権力システムの暴走」という感情面と制度面からは、具体的には違いますが、構成上は共通した捉え方をしていました。

★そこを考えているうちに、そのル・サンチマン的感情はどうして起こるのか?なぜ「権力システムの暴走」は起こるのか?についてさらに考えていました。権力の正当化システムやそれに対抗する人権の本来的な意味など広がりもありました。財源や資金はどうするのかなどなども。

★したがって、ループ型のシステム思考というより、ポストイットを並べ替えたり削除挿入するモジュール型のシステム思考でした。分解と統合を繰り返していたわけです。

★このように根源的な問題が生まれる理由について、「順序づけ」「重みづけ」「挿入と削除」「分解と統合」、これによって最終的に自分の感情や考え方が「自己変容」していく体験をしたわけです。

★レトリック、モジュール型システム思考、数学的発想、アート発想によって、自らの信念と反する根源的な問題を洞察すること(現代化リベラルアーツ)ができる自己をモニタリングできた講座になったと思います。

★6回という短いプログラムでしたが、自己変容へ向かって現代化リベラルアーツを稼働させられる生徒が目の前にいました。今回は「宗教と現代社会」でしたが、「〇〇と現代社会」で、いくらでも現代化リベラルアーツプログラムを作成できることに気づかせてもらいました。感謝です。

★そしてこれからが、本番です。がんばれ受験生!

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