ウェルビーイングを今の教育で持続可能にするためには、ウェルビーイングをリフレーミングできるかどうかだが。(2)自由とお金
★ウェルビーイングを生み出し、持続可能にすることは、とても難しい。個人がウェルビーイング状況にいても、他者がそうでない場合、果たしてそれはウェルビーイングか。というようなシンプルな問いにすら解答することは難航します。まして、それがチーム、組織、社会、世界となるともはや解き得ぬ謎でしょう。にもかかわらず、ウェルビーイングを追究せざるを得ないのも私たち存在の不思議です。いずれにしても、ウェルビーイングという雰囲気は現状の何か辛いことからの解放やシフトから生まれることは古今東西から共通しています。となるとウェルビーイングをつくる自由が問題となりますね。自由を意識しなければ解放アクションは起きませんから。
★「政治的自由ー政治的規制」軸と「経済的自由ー経済的規制」軸で「自由座標」を考えるのは、多くの人が描いています。政治的自由は、制度が制約になるのではなく、自由を保障するセキュリティネットを広げる制度設計をする国や自治体、組織の機能です。政治的規制は、公平性などを保つために自由を制約せざるを得ないという機能です。
★経済的自由とは、互いに自分の欲求を満たすものが、それが精神的なものであれ物質的なものであれ、手に入る状況です。近代社会は互いの交換を媒介するのは「お金」です。経済的制約というのは、その欲求が理にかなったものでなければならないという制度設計です。たとえば、他者の身体をお金で買うことはできません。それは互いに欲求するのではなく、一方的な支配になり、自由を奪うからです。
★また、自由市場機能を停止させる行為も規制されますが、これは経済的自由を保障するわけですから、政治的自由同様、経済的自由の機能に入るでしょう。
★かくして、「自由」とは物質的なものではなく、身体神経系を含む精神的なものの領域に入ります。しかし、ここに「お金」が絡みます。
★「お金」を忌み嫌う学校関係者もいますが、「お金」は大事です。なぜ忌み嫌うかというと、学校がお金を儲けることがなかなかできないので、その正当化の権威システムを無意識のうちに形成しているというのが本当のところです。
★ところが、塾は「お金」を儲けなくてはなりません。補助金が定期的に支払われるわけではないわけですから。
★ここに学校と塾の大きな違いがあるわけですが、学校経営者の中には、教育への自由を保障するために、学校と塾のラインを多少越境しようという慧眼の持ち主もいます。
★時は金なりですから、「時間」の無駄をなくす制度設計は、お金にも換算されます。しかし、目に見えるお金を出すという創意工夫がやはり必要です。
★生徒獲得の確保は、意外と重要な創意工夫です。この生徒募集には、いろいろな創育工夫ができます。これによって、私立学校の場合は、公務員よりは少し高い給料を支払えるということになります。もちろん、手当の工夫も大事ですが、それはあくまで生徒募集の創意工夫がうまくいっているからこそできるわけです。
★とはいえ、学校も資本主義経済の循環の中に組み込まれています。結局、学校組織内での創意工夫だけでは、満足がいくかどうかは、今は、各個人のメンタルモデルや自由観に任されているのが現状です。それも自由と言えば自由なのですが。
★この社会のシステムと学校のシステムのギャップの現状をどのようにとらえ、どのように変えるのか変えないのか。それは少なくとも開かれたままにしておくことがウェルビーイングを持続可能にする最小限の制約でしょう。
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