東京私学教育研究所「所報№87別冊」 バックキャストは未来からではなく、未来を超えるところから構想するというコト
★東京私学教育研究所から、「所報№87別冊」を頂きました。本冊子は、同研究所で研究委託された委員としての私学の先生方の成果を発表する論文集です。しかし、今回は、同研究所所長の平方邦行先生のミッションとビジョンとそれが生まれる根拠としてのパラダイム転換の論考が載せられています。また、第2部ではその実現のために同研究所の所員の方々と「研修コード」を作成して、4月から新たに始めている研修の価値づけをまとめた論文も掲載されています。
★それゆえ、「別冊」という扱いになったのでしょう。第1部は、今年5月15日(日)に開催された「Discover私立一貫教育2022東京私立中学合同説明会」において、ガイドブックとして来場者の保護者に配布された冊子の転載ですから、「別冊」という扱いは理に適っているといえます。
★恐縮至極なのは、同所報のあとがきで、平方先生が「ガイドブック制作に対して、惜しみない協力をいただいた聖パウロ学園校長の本間勇人先生」と何人かの方々といっしょに名を連ねて頂いたことです。ありがとうございます。
★このガイドブックのタイトルコンセプトは<「変革」の時代に試される私立中高一貫校の教育>です。新しくガイドブックを作成するので、対話をして欲しいということで、なんどか研究所やZoomで議論をさせていただきました。
★基本は、2089年から考えるというバックキャストの時間コンセプトの中で考察するということにしました。2089年というのは、昭和生まれの方々が100歳以上になり、すでにZ世代やα世代が、社会を動かしているエポックだからです。
★まずは、そのときに生き生きとした「私学の建学の精神」の意義づけから再考することになりました。そのとき、すでにバックキャストとは直線的な時間で考えるのではなく、「モモ」的な円環する時間で考えるのだということも了解できました。
★でなければ、普遍性を保つことができないからです。したがって、バックキャストは、未来から考えるのだけれど、その未来でも持続可能な普遍的なミッションは何かということを構想することなのだと。
★つまり、バックキャストは、未来からではなく、未来を超えるところから構想するコトなのだというコンセプトレンスを確認することができました。
★そのレンズで、先見性やイノベーションの概念を再構築しながら、なるほどだから私立学校なのだという多くの気づきを得ました。
★同研究所バージョンの思考コードと同研究所独自の研修コードを論考の中でいかに活用するかというコトも議論しました。
★ガイドブックですから、中学入試の動向や大学と連動する中学入試問題なども入れようという対話もしました。
★また、海外の私立大学や私立高校、インターナショナルスクールが続々上陸する時代なので、地政学的及び地経学的に考察するページも作成しようかと。しかし、これはまだ機が熟していないので、さわりだけにしようとか。ただ、触れておかないわけにはいかないと。
★この手のガイドブックは、保護者ばかりか、学校関係者、塾関係者も目を通すので、まだダボス会議を主催している世界経済フォーラムレベルの見通しをダイレクトには入れられないなど。ただ、私立中高一貫校の卒業生は、そのレベルで活躍しているし、そもそも保護者の中にはかなり進取の気性に富んだグローバルな方々もいるので、そこはやはりイメージしていただけるようにしようとか議論になりました。
★議論の過程で、目からウロコというものは、いっぱいあったのですが、リベラルアーツの現代化が思考コードとCEFRのルーブリックの掛け合わせで、その輪郭が明確に見えたことは感動的でした。
★そして、このリベラルアーツの現代化の領域こそ、未来を超える出来事なのだということも確信しました。もちろん、平方先生は、そこまではあえて書いていません。
★カタカナ言葉は、いっぱい使われていますが、取捨選択されていて、今では多くの方が日常使っているカタカナ言葉を使うようにセーブしていました。さすがです。
★今回私は、本当に貴重な機会をいただきました。今回の体験は、おそらくWeb3.0 を超える道を探すきっかけになりました。地政学→地経学→?ということです。Web3.0は、地政学と地経学のパラダイム転換ですが、その次の次元が実はあります。Web3.0もデメリットはありますから、それを解消する構想力が必要になります。そこの部分が、未来を超えるポジショニングなのでしょう。
★それは何か?2023年に向けて、多くの仲間と対話し、実践していきたいと思います。
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