聖パウロ学園 カトリック学校対象の大学入試に向けての講座(1)世界の作り方=数学的発想
★勤務校聖パウロ学園の夏期講習の前半が終わりました。新型コロナウイルスの感染第7波になったので、最小限高3対象に絞って行っています。というのも、パウロ生の多くは、推薦型や総合型選抜を受ける生徒が多いため、対面型のほうが深堀出来るからです。家庭内感染などで自宅待機中はオンラインでも対話します。
★しかし、それは志望理由書とか小論文とかある程度出来上がりが近くなって場合で、そこまでの準備段階は、複数でディスカッションしたりワークショップをして、柔軟な複眼思考を耕す準備過程が必要です。
★数学科の伊東先生と私が受け持ったカトリック学校対象の入試の準備のための講座も、ワークショップが必須です。
★この講座は「宗教と現段社会」という講座で、実は直接志望理由書や小論文対策を行う講座ではないのです。カトリック系の大学を志望しているからといって、聖パウロに限らず、他のカトリック学校の場合も、洗礼をうけた信者とは限らないのです。むしろ信者の生徒は極めて少ないのです。
★カトリック大学側も、信者であることを求めてはいません。しかしその一方で理念やアドミッションポリシーでカトリック的なマインドは要求されます。神学部でない限り、そのポリシーに、宗教的な用語や聖書の言葉が前面にでることはありませんが、背景にはやはりあります。
★法学部や政治経済、国際教養関係の学部で、優勝劣敗発想や富裕層の全面的肯定、格差社会の肯定という価値観では、なかなか難しいはずです。もちろん、価値観の制限や押しつけをしようというのではありません。
★ただ、カトリック大学という他者の価値観を尊重できるかどうかは重要です。勤務校の生徒は、もともと神父やシスターが常駐しているわけではなく、1人ひとりの内面に黄金律が響いていることを日常の生活の中でシェアしていくことを重視しています。というわけでカトリック大学を真正面から拒絶する生徒はいません。
★ただ、宗教のデメリットに関してはきちんと感じることができます。宗教の光の部分だけをみて、カトリック大学のマインドを受け入れるのではなく、デメリットの部分も理解したうえで、そこを自分なりにどう乗り越えていくか準備することも大切なのです。
★そういう柔軟で複眼思考が互いにできるのか、確認したり、気づいたりするワークショップが20分から30分あります。身近な問いについて、個人ワーク→シェア→個人ワークあるいは合意形成などのワークショップを行っていきます。
★ここで展開される題材は、まったく宗教とは関係ないように見えますが、基本的にアリストテレス=トマス・アクイナス的なリベラルアーツ的な視点が身についているかどうかモニタリング=メタ認知=エポケーできるようになっています。
★この哲学と神学の融合体は、結局は数学的発想だし、数学者で哲学者でもあるグッドマンが提唱したシンプルな世界の作り方の5つぐらいのアプローチを体験できます。
★このワークショップの企画運営は数学科の伊東先生とコラボしなければできませんでした。まさに文系人の私との文理融合的なワークショップになりました。全6回ですが、生徒は自分をとりまく先入観など多少払しょくできたと思います。できなかったにしても先入観にとらわれている自分をみつめなんとかしたいという気持ちは湧いたと思います。
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