しゅとも7月号(02) 石井雅章教授インタビュー 今こそグローバル・リベラルアーツ。
★「しゅとも7月号」には、絶望とも思える昨今の社会情況を希望に変える動きの記事が掲載されています。それは<SDGsを本気で解決第2回「ビジョンからのバックキャスティング」神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部石井雅章 教授インタビュー >です。聞き手・構成・文/は、市川理香さんです。
★リベラルアーツという「ことば」は最近よく語られます。私立中高一貫教育の守護神のひとり東京私学教育研究所の平方邦行所長が今年の5月私立一貫教育のガイドブックを作成した際、リベラルアーツの現代化と私学の建学の精神との関係について、深く論じています。
★リベラルアーツの重要性は、昔から言われていましたが、コロナ、ウクライナ、フクシマに象徴される喫緊の人類共通の課題に直面している今だからこそ、リベラルアーツルネサンスが生まれているのでしょう。
★いくつかインスピレーションをいただいた箇所を引用します。
元々、大学は体系化された学問領域ごとに学部学科が構成されていたのですが、複雑化する社会状況に対応し、正解のない課題に向き合うには、心理学が必要だったり歴史学が必要だったり、政治学が、環境学が・・というようにどんどん学際的な、学問の領域を越境した学びが必要になってきたのです。課題解決への貢献と言うと大袈裟かもしれませんが、より良い生き方、より善き世界の実現に向けて学問の領域を超えて学び続けることがリベラルアーツだと思います。
★well-beingとは越境できるということですね!
ローカルな課題もグローバルな課題とリンクしているという視点は重要です。技術的な課題はまだしも、社会的な課題はある特定の学問を学べば解決するというものではありません。だからといって学際的に学んだ人だけで課題を解決できるかというとそうではなく、それぞれの専門性を深めた人と分野を越境してトータルで物事を捉える人がチームを組まないと、『2030 アジェンダ』とSDGs の目指す世界を実現できないと思います。
★ローカルとグローバルがつながる、つまり越境するには、リベラルアーツがポイントだということですね。
リベラルアーツは特定の専門領域を深く追究していないし、技術面での専門的な知識も有しておらず、法的に深い検討もできません。やはりそれぞれの学問分野の専門性は重要です。とはいえ、関心を持っている課題ベースでチームを構成し、現実の世界に向き合いながら、どんな専門性が大事か、どのように組み合わさったら解決できるかを模索し、多様な人たちとコミュニケーションがとれ、チームとしてアクションを起こせるプロを育てることが必要だと思います。
★つまり、リベラルアーツは、実定法領域にはないということですね。かつて自由七科という訳語がつけられていたわけですから当然でもありますが。しかしながら、それを専門に対し弱いととるか、重要なものと認識するかはまた別問題ですね。
日本も、ビジョンを語ることが恥ずかしくない世の中になってきたと感じています。20、30年くらい前は、何となく理想の状態を語ることを恥ずかしく感じる社会だった記憶があります。ビジョンを語ることにあまり価値が置かれていなかったのかもしれません。いまでも意識高い系という表現で揶揄する人もいますが、意識が高くて良いですよね。意識が高くて何がいけないんでしょうか?
★実定法領域にはないからこそビジョンがうまれる価値を大切にしている領域だということでしょうか。愛はl律法を超えるということでしょうか。
より良く生きるために境界を超えて学ぶのがリベラルアーツ
★より良く生きるため、とはやはり人類愛が生成される状況ということでしょう。グローバル・リベラルアーツは希望の学びということでしょう。
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