聖パウロ学園の国語の授業 自分とは何か
★聖パウロ学園の国語科の小島嵩志先生は、軽やかに深い授業を実践しています。情報提供→個人ワーク→教え合ったり、ディスカッションしたり→個人ワークというスタイル。ですが、その情報提供は、小島先生の人間とは何かのモデルを提示するところまでいきつきます。もちろん、これがモデルだとはいきなり一般化しません。
★あくまで、作品に即して、人間の弱さやルサンチマンが生み出す極限とそれにどう対応していくのか問題提起を共有するのです。一年間いろいろな作品を通して、人間とは何か,そして自分とは何かというモデルを生徒自身がそれぞれ創っていくという壮大なプロジェクトです。
★私が見学したときは、「山月記」を扱っていました。人間の驕り・不安・嫉妬・欲望などなどその弱さにマスクをかける方法はいろいろありますが、この作品では「虎」に変貌してしまうというロングセラーの作品です。
★そこに気づいたとき主人公の李徴は、もはやなすすべがないと内省する漢詩を書くわけですが、その内容を漢詩に巧まれた表現技法を分析することでたどりついて欲しいという授業になっていました。
★聖パウロ学園は、高校だけです。大学進学指導の一環として、基礎知識も共有しなければなりません。ですから単元によっては情報提供というレクチャーになることも多いのですが、20%ルールといって、授業において20%以上は生徒が自ら思考を巡らす問いを創ろうということになっています。教師が作るだけではなく、生徒が創るというところまで含めています。気づきとは、問いの発露であるわけですから。
★今回の小島先生の授業では、40%がその時間になっていました。
(教師のモデル化>生徒のモデル化→教師のモデル化=生徒のモデル化→教師のモデル化<生徒のモデル化という過程が生徒自らが成長するプロジェクト)
★考えるということは、自由な発想が必要になります。そのために授業はあるタイミングで、規律型組織から自律分散協働型組織に移行する必要があります。それが授業が始まって、すぐなのか、半分ぐらいたってからなのか、後半の20%なのかは、生徒の状況と単元の具体的な兼ね合いを教師が見抜き自由意思で決断できるかで有効な授業になるかどうかが決まります。
★小島嵩志先生の授業が軽やかで深いのは、そのタイミングを瞬時に見抜き、生徒の深まりゆく扉を開くからなのです。
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