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2022年6月

2022年6月30日 (木)

新たな教員研修制度の構想で、奮い立つ校長は稀かもしれない(汗)。

6月28日の教育新聞によると、<来年4月から導入される新たな教員研修制度の指針案が提示されたことについて、末松信介文科相は6月28日の閣議後会見で、「校長には、教員ときちんと話し合いながら、その教員の資質や能力を把握する力が一層求められる。今回の研修制度は、校長の力量が非常に問われる」と述べ、新たな研修制度の円滑な運用に向け、校長の役割に期待を示した。>ということらしい。

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★読んでいくと、各教師の研修ポートフォリオをもとに、one to oneで話し合い、強み弱みを、データサイエンス手法であぶり出し、弱みを強みに変容させる眼力を持ちなさいということのようです。

★これに照らし合わせると、私などは、到底校長失格です(汗)。なぜなら、ポートフォリオなどを作成する時間は膨大なので、ハナからやるつもりはありません。

★毎朝、日直のデータと担任の生徒の出席・出停・遅刻・早退の情報(数字だけではなく理由などの具体的状況)の集約((「学校日誌づくり」は法規で規定されています。大事なことなので、法規で定められているかどうかにかかわりなく行うものですが)と感染情報と熱中症アラート情報の集約をし、朝会において先生方からのヴィヴィドな情報を共有し、Excelとグループセッションにさらに保存や共有をする。

★出張報告書や週一回必ず実施される各部署のミーティングの報告書を読んで、瞬時に気になる新情報やケア情報を読み取り(そもそも緊急時は、瞬時に連絡がはいりますが)、毎日の朝会や週1回の運営会議、校務会議で共有し、対策を講じ、それが実行される確率が高いのかどうかの判断をしていくわけです。

★時々ですが、授業を見て、教師が気づかないうちに実践している強みを文章に可視化して共有したり、企画戦略室のメンバーとは、現状に起こりうるあるいは起こりつつあるパラダイムの転換をどのようにとらえていくか、そこからどんなビジョンがみえるのか、で、ゴールは、で、どうする?とかとか対話しているわけです。

★文理融合や情報について、勤務校の生徒にとって現実的なアプローチはないかどうかという提案を出す先生方の話に耳を傾け、問題解決方法をアルゴリズムに描く教師の話などにも耳を傾け、職員会議で共有したりするわけです。

★私立中高協会や同じグループの学校が発刊している紀要を読み込み、自分の学校と比較し、共通点と違いを発見し、新たなゴールを見つける情報共有も職員会議でします。膨大な量をいかに7分間でプレゼンするか、編集し発表する教師のリハもやります。こちらからやろうといのではなく、時間をとってくれますかと問われるので対応するだけですが。

★時間があれば、外に出て、ほかの学校の先輩方に教えを請いに行きます。Zoomや電話で対話もします。毎週定期的に他の学校の先生方から教育実践の話もうかがいます。

★思考コードあるいはルーブリックを3ポリシーに一気通貫させる教師たちの活躍にただただ驚嘆してもいるわけです。

★何より、カトリック精神に基づいた人間力形成に日々取り組んでいる生徒指導部や学年団に頭がさがるわけです。

★私にできるのは、このような学習する組織をつくることができるだけです。学習する組織には「自己マスタリー」といって、自分で学ぶ機会も尊重されています。カトリック養成塾に毎月学びに行く教師もいます。いろいろなZoomセミナーを聴きながら他の仕事をしている教師もいます。

★しかし、だからといって、私には何の眼力もないし、データ収集・分析、新情報収集・分析は、進路指導部や企画戦略室に丸投げです。先生方はタブレット、デスクトップ、ラップトップ、スマホなどのデバイスを自在に活用して教育実践をし、行事ごとにプログラムを編集し、新企画の提案書をつくっています。

★外部の団体との交渉やコーディネートもそれぞれの教師がやっています。校長はその方向性の修正をしたり最終的意思決定をしたりするだけです。

★新たな教員研修制度で「校長の力量が問われる」というならば、私は失格ですね。それに、校長ができない決定的なことが1つあります。それは何でしょう?ピンときますか?

★まあ、ピンとこなくても、そんなことは構いません。この決定的なことがないので、このような新たな試みは、結局は効果がないのです。校長の眼力というのなら、その決定的なことがなくても、問題ないというパフォーマンスをせよということになります。

★まっ、世の中は矛盾・パラドクス・トレードオフ・ジレンマの渦に満ちています。それを乗り越える不屈の精神がある方は、今回の文科省の提案に奮い立つことができるでしょう。

★しかし、私は無理です。学習する組織を創るので手いっぱいです(汗)。

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2022年6月28日 (火)

聖パウロ学園の国語の授業 自分とは何か

★聖パウロ学園の国語科の小島嵩志先生は、軽やかに深い授業を実践しています。情報提供→個人ワーク→教え合ったり、ディスカッションしたり→個人ワークというスタイル。ですが、その情報提供は、小島先生の人間とは何かのモデルを提示するところまでいきつきます。もちろん、これがモデルだとはいきなり一般化しません。

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★あくまで、作品に即して、人間の弱さやルサンチマンが生み出す極限とそれにどう対応していくのか問題提起を共有するのです。一年間いろいろな作品を通して、人間とは何か,そして自分とは何かというモデルを生徒自身がそれぞれ創っていくという壮大なプロジェクトです。

★私が見学したときは、「山月記」を扱っていました。人間の驕り・不安・嫉妬・欲望などなどその弱さにマスクをかける方法はいろいろありますが、この作品では「虎」に変貌してしまうというロングセラーの作品です。

★そこに気づいたとき主人公の李徴は、もはやなすすべがないと内省する漢詩を書くわけですが、その内容を漢詩に巧まれた表現技法を分析することでたどりついて欲しいという授業になっていました。

★聖パウロ学園は、高校だけです。大学進学指導の一環として、基礎知識も共有しなければなりません。ですから単元によっては情報提供というレクチャーになることも多いのですが、20%ルールといって、授業において20%以上は生徒が自ら思考を巡らす問いを創ろうということになっています。教師が作るだけではなく、生徒が創るというところまで含めています。気づきとは、問いの発露であるわけですから。

★今回の小島先生の授業では、40%がその時間になっていました。

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(教師のモデル化>生徒のモデル化→教師のモデル化=生徒のモデル化→教師のモデル化<生徒のモデル化という過程が生徒自らが成長するプロジェクト)

★考えるということは、自由な発想が必要になります。そのために授業はあるタイミングで、規律型組織から自律分散協働型組織に移行する必要があります。それが授業が始まって、すぐなのか、半分ぐらいたってからなのか、後半の20%なのかは、生徒の状況と単元の具体的な兼ね合いを教師が見抜き自由意思で決断できるかで有効な授業になるかどうかが決まります。

★小島嵩志先生の授業が軽やかで深いのは、そのタイミングを瞬時に見抜き、生徒の深まりゆく扉を開くからなのです。

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2022年6月27日 (月)

総合型選抜の準備の時期 地経学×DAO×カンザキメソッド そして画竜点睛を欠かないということ

★大学入試を「総合型選抜」で受験する高3生は、志望理由書の準備や志望校の小論文などの対策をし始めていることでしょう。高校時代に、多くの経験をして、その経験からいまここで何を学んだかをリフレクションしながら学んできた生徒にとっては、それほど難しくはないかもしれません。

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★ただ、2022年入試では「感染症」関連のトピックについて考える問いが多く出題されたように、2023年は、感染症と気候変動と戦争などのつながりループのどこかに焦点をあてて問いを投げかけてくるでしょう。

★従来は地政学的な視角で、問題を発見し解決していけばよかったのですが、ウクライナ侵攻があってからは、地経学的な視野が要請されるでしょう。

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★また、近未来の2050年くらいを考えるには、伊藤穰一さんの考えを理解しておくことも必要です。そのうえで、神崎史彦先生の下記の書籍を読むと理解とスキルともう一つ大事なことがわかります。

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★志望理由書にしても小論文にしても、面接やプレゼンにしても、身近な例や経験からいまここで何を学び、何に興味や関心があるのかを明快にすることは大前提ですが、それがどんな社会貢献につながるのか「手ごたえ」や「実感」を述べることも必須です。もちろん、それゆえ、何を研究したいかどう研究していくのかという構想や見通しも大事です。

★しかし、それだけではが画竜点睛を欠きます。

★いったい何が足りないの?書き方や表現の仕方?いやそれは当然のことで、これが不足していると論外です。

★専門的な知識?それはあってもよいですが、むしろそれは大学で大いに学ぶことですね。

★いったいそれは何か?そこを考え抜く3か月間ということでしょう。

★もちろん、神崎先生の書籍には、それが説明されています。しかし、さらりと読むと気づかないかもしれません。何度も出てきて強調されていますが、高3生は、スルーしてしまうケースが多いのです。あまりに大きいものは、近くでは見えないものですよね。

★それが見えるようになる視座が身につくようになるとようやく見えます。そのような視座は、教えられて身につくものではないので、3カ月間大いに考えてください。大いに友人とディスカッションしてください。大いに先生方からフィードバックをもらってください。期待しています。

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2022年6月26日 (日)

成立学園 今年も注目される

★先日の成立学園の説明会は、今年度最初の開催でした。同校の宇田川先生によると、参加者の数は昨年対比150%だったということです。凄いですね!

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(写真は、宇田川先生のfacebookから)

★宇田川先生が投稿したfacebookをシェアしたところ、次のようなコメントを頂きました。

来校された方の中に、以前GLICCに出させていただいた時の映像をご覧になって、それがきっかけで来られたという方がおいででした。たまたま自分が個別相談をさせていただいたのですが、めちゃめちゃ嬉しかったです! 

★私も嬉しくなったので、またご登壇してくださいとお願したところ、二つ返事で、7月22日(金)に出てくださるということです。楽しみです!

★成立学園の魅力を、じっくり宇田川先生が語っている動画もぜひご視聴ください。

 →GLICC Weekly ED(GWE) 第24回「学際的な新しい学びのリーダー 成立学園中学・高等学校 宇田川先生との対話」

★同校のナショジオの取り組みは、今年の春の順天堂医学部の小論文に直結していたし、農業への取り組みは、いままさに食糧難を乗り越える課題解決の実践にもなるし、気候変動への解決の着想にもなります。IELTSの充実した指導も目を見張ります。

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★ノートテーキングを通して成長を見守る決め細かい教育実践も感動的です。とにかく私などには語り尽くせない密度の高い教育が行われているのです。ぜひ7月22日お楽しみに!

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伊藤穰一さんの新刊本の意味 千葉工業大学にMITメディアラボの日本版以上を創ることかもしれない。

★1998年から新しい中高一貫教育の研究をしようと研究所を創った時、「希望の国のエクソダス」に出遭いました。村上龍さんの小説です。絶望を希望に変える中学生。新しいコミュニティを創る話です。出エジプト記ならぬ出学校記です。そのときの主要キャラクターの一人のモデルが、伊藤穰一さんだという風の便りを聴いて、ずっと気になっていました。

★その教育研究所のプログラム開発の1つに、2001年から本田技研の社会貢献事業部と協働してツインリンクもてぎでの2泊3日の発見体験学習というPBL型のプログラムを企画・開発・運営しました。

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★そのときのPBLの発想の1つとなったのが、当時のMITメディアラボのシーモア・パパート教授の3Rから3Xへでした。評価システムはスタンフォード大学に遊びに行ったときに仕入れたエンパワーメント・エヴァリュエーションを使っていました。すでに、チームに2台ノートパソコンを貸与し、夜のリフレクションの時には、エンパワーメント評価項目に入力して、個人の状況やチームの状況を可視化していくシステムです。

★それから2007年には独立して、通信制高校の市場を調査したり、私立中高一貫校のアドバイザーやストラスブール大学と連携して一週間の今でいう探究トリッププログラムを実施したりしていました。そんなことをしていたので、現在聖学院の児浦先生やかえつ有明の佐野先生方と慶応のSFCキャンパスで新しい学びの準備にもとりかかっていました。その日は3・11でした。

★リスボン大地震ではないですが、このままではいけないと心を突き動かす共感の輪が私学人の間で広まりました。それで、2011年に21世紀型教育機構を立ち上げる事務局長をやることになったわけですが、ちょうどそのとき伊藤穰一さんは、MITメディアラボの所長に就任。同機構の土台となる教育はC1英語・PBL型授業・STEAM・リベラルアーツ・哲学ですが、その着想とシンクロする感じがして、伊藤さんのブログや本をフォローしていました。

★伊藤穰一さんに学んだのは、パラダイムービジョンーゴールという全体感でした。また、いろいろな新しい言葉やトレンドの言葉を活用されるのだけれど、他の人と決定的に違うのは、その言葉を自分で創ったり、多様なネットワークの中で時代のキーワードを発見したりしているということです。誰かが使っている言葉をパクっているわけではないのです。

★そして、これが一番肝心なのですが、その言葉を実践に移行できるようにコーディネートしているということです。世界の集合知や集合脳をフル活用していますね。

★これは21世紀型教育機構でも活用しました。ですから、多くの情報を融合しますが、新結合することに務めました。それからIBやAレベル、APのエッセンスに学び、独自のPBL開発や思考力テストという偏差値ピラミッドをフラット化する入試も先生方と開発しました。

★文部科学省の先駆け的なポジショニングを得ようともしました。新学習指導要領で目指されている方向性は、すでに先行的に進めてきたのもそういうわけです。「思考コード」という学びのデザインや授業デザインのコンパスも、先生方と創りました。

★パラダイムービジョンーゴールー言葉ー実践ーリフレクションー次のステージという私の言動は、伊藤穰一さんに影響を受けたと思います。最近では落合陽一さんやマルクス・ガブリエルさんからも影響を受けています。

★そんなわけで、今回伊藤穰一さんが新刊本を出版されたので、すぐにkindleでポチっと。Web3.0、メタバース、NFTなどDAO( Decentralized Autonomous Organization)という組織で起こっていることをわかりやすく書いています。

★このDAOは、現在に到っている700年前フィレンツエで軍事力と経済力と宗教力の闘争の中で輪郭を形成した資本主義というパラダイムを転換するものだという認識を伊藤穰一さんは有しています。ここは私の持論でもあるので、なんか親近感がもてます。

★この新刊書は、未来予言書であると読む人もいます。それもありでしょう。現状の最前線を説明していてわかりやすいけれど、さらに次はどうなるのだろうと読む人もいます。それもありだけれど、それについては、私たちもいっしょに考えるのがおもしろそうですね。

★私はと言うと、ああ、これは伊藤穰一さんがMITメディアラボでやってきたことを、千葉工業大学に継承し、さらにおもしろいことをやりますよという宣言文だと受け止めました。

★2021年11月1日に千葉工業大学は、変革センターを設立。センター長に伊藤穰一さんを迎えています。伊藤さんの元に世界中の叡智が集まるでしょう。希望の国のエクソダスが、現実化する日本でありますように!

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2022年6月25日 (土)

富士見丘のグローバル教育の本質的意味 21世紀の究極の女子校教育だからこそ

昨日、富士見丘の副教頭佐藤先生(広報責任者)、英語科主任田中先生(広報副部長・模擬国連部顧問)と対話をしました。なんと2時間12分15秒も。次の日合同説明会なので、はやめに切り上げましょうという話でしたが、富士見丘のグローバル教育の本質を深堀する話になっていき、お2人の先生の情熱は高まっていきました。それもそのはずです。田中先生が担任や部活でいっしょに学んできた生徒が今までにない成果を出し同時に高い志を有したわけですから、教師冥利につきる内容だったのです。とはいえ、謙虚に、同校の教職員全員が一丸となって進んだからだという点を何度も確認されていました。実るほどこうべを垂れる稲穂かなとはまさにお二人の先生のことをいうのでしょう。教師の鑑です。

【図1】

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★田中先生はさりげなく語るのですが、一般の中高一貫校ではありえない教育プログラムやネイティブスピーカーの教員の数があったりして、その凄さに大いに驚かされます。

★【図1】のスライドにさりげなく「文学」の講座があるわけです。英語で「文学」というのは、国内の一般の中高ではないわけです。昨今では国語の大学入試において「文学」軽視という流れなのに、英語で「文学」とはすばらしすぎます。「文学」は、VUCAの時代に翻弄される人間の生き様と自分をどのように折り合いをつけるかとても大事な学問領域です。

★社会課題を解決できるような人材をというのが今の教育の流れですが、その社会課題はなかなか解決できないジレンマ、パラドクス、トレードオフの状況までつきとめなければ表面的で対症療法的な解決しかできないのです。そして、その根本的問題を汲み取り共感し、なんとかしようという志こそがグローバル教育の本質的意味でしょう。凄すぎます。

【図2】

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★そして、そのような授業のプロセスや内容の話を聴いて、さらに驚いたのは、【図1】や【図2】にあるように「現地校のクオリティやスタイルを富士見丘の授業で」とこれまたさりげなく語るのです。先生方にとってはもはや日常当たり前のことだからです。ところが、よくよく話を聴いてみるとその「現地校」というのが、スーパーハイレベルの海外私立学校の話だったのです。

【図3】

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★そのようなハイレベルな環境で学んでいるわけですから、【図3】のような結果にいたるのはこれまた当然です。今では、中学から入学した生徒は、高校に進級する際に、76%が準2級以上を取得するわけです。そして高校卒業時には、79.4%が、2級以上を取得するのです。当たり前と言えば当たり前なのでしょうが、凄すぎるといえば凄すぎるでしょう。

★この時点では、私はまだ気づいていなかったのですが、1時間37分辺りで、さらに衝撃的なすてきな話を聴くことになります。そこから私は、富士見丘の究極の教育の本質に降りていくことになり、対話に参加できない沈思黙考状態になってしまったほどです。いったいこれはどう理解してよいのかと。その回答については、2時間3分53秒あたりから、鈴木さんに諭されて話すことになります。興味がありましたら、そこも視聴してみてください。

【図4】

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★【図4】は、中学時や高校入学時の英検のスコアと卒業時にどこまで伸びるかという学習歴の一端です。一端と言ったのは、学習歴は結果ではなく、プロセスですから、そのプロセスの話は、ぜひご視聴ください。

【図5】

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★ぞして、【図5】です。昨年に続き、進学実績伸び率№1の学校としてメディアが取り上げているのです。ここのシーンの話は、感動的です。在校生・卒業生が自ら購入してきて、この結果の意味を田中先生と語り合ったというのですから。自分たちがいかにチェンジメーカーであったのか。その志を再共有し、共感共振している様子が目に浮かびます。

【図6】

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★さて、私が沈思黙考マヒ状態に陥ったのは、【図6】の話の途中からです。帰国生ばかりではなく、「思考力入試」「2教科入試」「Will入試」で入学してきた生徒も、英語力や探究力、論文力、プレゼン力を身に着けて大きな実績をだしているのです。今までの教育環境は帰国生だけではなく、そのエッセンスを富士見丘生全員が共有し、みなグローバルコースのメンバーなのだという同校のコンセプトが実現しているわけですから、それは当然です。

★しかし、話はそれだけではなかったのです。てっきり、模擬国連部やハワイ大学のラッセル教授の探究授業は、帰国生が中心だと思ていたのですが、そうではなかったのです。帰国生の英語力と中学に入るまで民間英語資格を取得してこなかった生徒がちゃんといっしょに活動しているのです。その様子を何度も見たことがある私は、そこでアクティブにリーダーシップをとっている生徒を目を細めて眺めていましたが、その生徒が帰国生ではなかったというのをはじめて知ったのです。

★田中先生は、そんな話をさらりとされるのですが、その状況がどんなに凄いことか少し想像してみてください。私はそこから、このことの意味に想いを馳せ、沈思黙考状態になったのです。凍てついたり睡魔に襲われていたのではありません。ライブですから、そういうこともあるのだなあと今更ながら思います。

★これは英語を勉強したいとか部活をがんばりたいという話だけでは、そこまではいかないでしょう。そうなるには、もっとインパクトのある本質的な動機に富士見丘の生徒は行き着いているから、やり遂げるのは当たり前という状態になっているはずです。その本質的な動機。生きる根源的理由とは何か。。。

【図7】

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★その回答は、【図7】のスライドの話を聴きながら、だんだん確信に変わっていきました。うなるより仕方がないし、感動のため涙がでてきてしまったほどです。富士見丘が女子校を続けていく本質的理由にかかわる話でもありました。

★もちろん、私の妄想としか言いようがないのですが、その話をしたら、佐藤先生が、否定するどころか、実際にそういう具体的なことが起きているのだと語ってくれたのです。

★女性の未来のみならず、世界の未来を根本的なところから見直す国際的な女性リーダーの系譜が富士見丘に流れ込んでいます。このアイデアを証明・検証する話は、いずれまた第2弾の対話を鈴木さんが仕掛けてくれると期待しております。まずは第一弾をぜひご視聴ください。

 

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星の杜中高 2023年に向けて本格的に動き出す。宇都宮海星女子が先進的な共学化へ。

★21世紀型教育機構の理事の石川一郎先生が、Facebookで、「星の杜中高」について発信。先日開催された塾説は、昨年対比130%だったということです。北関東で唯一のカトリック校が、女子校から共学校に大転換。その反響はまずまずということでしょう。そして、石川一郎先生は、同学園の理事にも就任しています。役割はカリキュラムマネージャーということですから、どんな教育が展開するのかワクワクしてきますね。

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(写真は石川先生のfacebookから)

★同校の校長石塚千恵先生は、今年就任されました。ところが、たまたま来月7月に第31回全国カトリック学校校長・教頭合同研修会があり、その運営委員をご一緒させていただいているため、カトリック校仲間として同校の改革の様子は気になっていました。いよいよ動き出したのだなとまずは大きな一歩を進められよかったと。引き続き風が吹いてほしいと願っています。

星の杜中高のトップページを見ると、すぐに同校がどのような教育を展開していくのかがわかります。

★VUCAの時代に対応する教育として、ハイレベルの英語力を身に着ける教育、PBL授業、リベラルアーツ、DXスキルなど多角的な教育が行わってきます。もちろん、スキルだけではなく、今回のパンデミックで世界中が気づいた黄金律の重要性を現代化していく教育には期待がかかります。

★そして、実に興味深いのは、上海やシンガポールなど国内外で保育園運営を受託するキッズコーポレーションの大塚雅一社長が4月から同学園理事長に就任していることです。

★今多くの方が語っているVUCA時代に対応できる先進的教育は、MITメディアラボの故シーモア・パパート教授とレズニック教授のキンダガーデンで行ってきたPBLが1つの大きなルーツです。もちろん、彼らは、デューイやピアジェ、レヴィ=ストロースなどの先進的教育に影響を与えてきた巨人は織り込み済みです。

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★レゴやDXといった先進的学習ツールを介在させながら、子どもたちが自律的に才能を発掘・開発・開花していく新しい学習環境を創出した私の尊敬している二人ですが、彼らは、幼稚園教育だけやっていたのではないのです。幼稚園教育は、その後の大人になっていく人生に大きな影響を与える重要な起点、種なのだと。カトリック的にはカラシダネということです。

★ところが、今日本の教育は、保育園や幼稚園の豊かな教育(教科を超えた学び・非認知能力を育てる遊び)を小学校に入学するや教科学習で、いろいろなつながりを分断してきました。

★今文部科学省や経済産業省は、この分断をなんとかつなごうとして必死ですね。いいことだと思います。

★多様性のつながりとしてグローバル教育が唱えられ、教科をつなぐ道具としてDXが導入されています。さらに、気候変動、感染症、平和を脅かす国際関係の解決には、庭園発想が必要だということになっています。SDGsもそのための重要な動きです。

★しかし、そもそも自然に対する目覚めが必要なのです。最近の教育未来創造会議では、GXという言葉が生まれています。グリーントランスフォーメーションということでしょう。もちろん、政府は、CN(カーボンニュートラル)を想定してのことですが、そのためにも、大前提の庭園発想的な自然そのものの循環感性が大切です。

★この感性は、まさにキンダーガーデンで培われます。

★ですから、キッズコーポレーションの有形・無形の資産が、「星の杜」のカトリック精神である「ぶどうの木」「カラシダネ」などのメタファーで語られている発想とシンクロするのではないかと期待がかかります。

★説明会では、バリのエコスクールとして世界から注目されている「グリーンスクール」での探究活動の予定の説明もあったようです。星の杜の今後の展開が楽しみです。

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2022年6月22日 (水)

聖パウロ学園の国語科 相互評価=共同編集というリフレクション

★聖パウロ学園の国語科の授業は、「編集」思考が育つ学びのダイナミズムです。あらゆる行事やセミナー、ゼミが国語科の授業に流れてくるように仕掛けられています。それが小論文になり、プレゼンになり、志望理由書になったりしていきます。結局は、「自分とは何か」という自分物語を編集していくようになっているのだと思うわけです。

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(高橋先生の小論文の相互評価のシーン)

★古典の学びでは、古典文法ももちろん行いますが、源氏物語などでは、キャラ設定を自分なりに再編集するスライドを作成しプレゼンしたりしています。キャラ設定は、物語編集では欠かせません。

★グローバルな文化の違いも、リサーチ→ディスカッション→編集→プレゼンとなります。

★いろいろな体験や授業を通して、小論文コンクールも経過するわけですが、小論文を書く前の準備はもちろん書き終わった後の相互評価はある意味、共同編集です。

★詳細なルーブリックができているので、生徒はそれを基準に評価し、互いにフィードバックしていきます。中には、自分が評価しても信頼がおけるのだろうかと質問する生徒もいます。いい質問ですね。主観と客観の狭間の中で、協働主観という別のものの見方があることに気づくチャンスです。

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★この詳細なルーブリックについて、生徒と高橋先生の対話しているのを聴いていると、シンプルに上記のような思考コードに変換できるなあと思いつきました。

★学校現場は、すでに思考コードのC軸思考まで学ぶ場ができているものです。そのリソースをどのように広報し、どのようにエフェクトに結びつけるのか。この作業を意外としていないのが、学校です。経営と教育の両輪が結びつくには、日々行われている授業の本質を共有共感共振できる仕掛けを生み出す必要がありそうです。

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聖パウロ学園の数学科 教えない対話 リアリスティックリフレクション生成 つまり問いの生成

★聖パウロ学園の数学科の授業は、グループワークもしますが、一般的なスクール形式の座り方の授業においても、生徒が内的時間空間に没入し、そのつどリフレクション(リアリスティックリフレクション)しながら、自問自答していきます。つまり、内面に問いが生成されるのです。

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★数学科主任(教務部長)の松本先生の授業における対話は3パターンあります。「傾聴型」「ファシリテーター型」「インパクト型」対話がそれです。要は「教えない対話」です。

★この教えない対話によって、生徒は内面の時間空間を創り出し、そこで問いが生まれてきます。自問自答なのですが、この自問自答は、実は松本先生との対話によって立ち上がるのです。

★日常における「対話」は、双方向ですから、お互いに情報を共有し合い、共創していくわけです。しかし、授業においては、生徒にとって、喉から手が出るほど教えて欲しいダイレクトな方法を、あえて語らないという「不足空間」を生み出すわけです。すると、自然とそこに生徒の意識が集中していくわけですね。

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★自問自答も思考作業も、1人でできるものは一つもありません。仮に個室に入って学んでいても、記憶として対話の相手がいるはずです。

★授業では、「教えない対話」と「教える対話」をあえて分解して、合成していくという醍醐味があります。

★このダイナミズムは、生徒1人ひとりの内面の中で起こります。たとえば、教える対話を必要としない生徒もいます。そのような生徒は、すでに教科書や参考書で、「教える対話」を済ませているわけです。

★逆にいきなり「教えない対話」ではパニックになる生徒もいます。

★だからといって、「教える対話」ばかりだと安心しすぎて思考作業が弛緩します。

★松本先生の妙技は、生徒1人ひとりの合成状況を見極めながら、授業を生み出していくわけです。こういう授業をコンストラクション型と言います。

★私が見学した時間は、すでにインストラクション型授業の後の時間でしたから、「教えない対話」の3つのパターンなどが見えました。たいへん興味深いシーンでした。

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2022年6月21日 (火)

富士見丘のグローバル総合教育

富士見丘の教育が、「グローバル総合教育」と呼べるのは、同校のサイトを見ればすぐにわかります。同校の教育は英語は英語ではありません。PBLも探究型授業だけで行われているわけでもありませんし、各教科だけで行われているわけでもありません。アートも美術の時間だけに限られているわけではありません。スポーツも体育だけで行われているわけではありません。

【図1】

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★たとえば、化学の授業は、実験とプレゼンテーションが行われ、当然タブレット型ラップトップも使いたい放題です。

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(写真は同校サイトから)

★また、高2のグローバルスタディー演習は、ハワイ、台湾、マレーシアなどの都市や現地校と連携して、SDGsなどの社会課題を探究します。C1英語も活用します。PCも活用します。Zoomなどでオンライン交流もします。プレゼンは、アート感覚が盛り込まれます。スポーツも、コロナ禍でなければ交流のすてきな場となるでしょう。

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(写真は同校サイトから)

★【図1】(同校サイトをみて私が思いついたイメージ)のように、同校の教育活動は密接につながっているのです。

★それゆえ、「グローバル総合教育」と私は呼びたいのです。

★このような各教育活動が密接につながることによってシナジー効果があふれでます。それゆえ、進路実績も飛躍的に伸びています。そして、そのことがメディアでも高く評価されています。これについて、同校サイトでは次のように述べています。

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(写真は同校サイトから)

<4月23日発売の『週刊ダイヤモンド』において、本校の大学合格実績が高く評価され、「レバレッジ度総合ランキング第1位」となりました。このランキングは、入学時は入りやすいが、大学受験では難関大学に数多く合格する、そんな“レバレッジ”が利く「お得な学校」を評価するもので、昨年の第3位に続き、2年連続で高評価をいただきました。
本校は、2015年から5年間、文部科学省指定のスーパーグローバルハイスクールとして高大連携の探究学習や英語4技能を伸ばすプログラムの開発に取り組み、その成果が進学実績の伸長に結びいています。>

★凄い!という言葉以外に思い浮かびません。

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首都圏模試 2022年英語入試導入校<146校>

★首都圏模試センターのサイトで、2022年首都圏中学入試において、英語を導入した中高一貫校は146校であったと公表されています。

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★首都圏私立中高一貫校のおよそ50%が、帰国生・国際生入試以外に、一般入試でも英語入試を導入しているということでしょう。

★英検など民間英語認定試験のスコアも利用する学校もあり、中学入試にも実用的なグローバル教育の影響が大きくなっています。

★同サイトの一覧を見ると、英語入試を導入している学校の多くは、伝統と革新の統合に挑戦し、教育のアップデートをし続けている学校です。

★したがって、New Power Schoolのリストを見たいという保護者は、同サイトのリストを参考にするとよいでしょう。

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2022年6月20日 (月)

創造性は問いの生成 そこから世界は生まれる~内田真哉先生の構想

★みずき野幼稚園の理事長内田真哉先生は、レゴ@シリアスプレイのファシリテーターの資格を有し、日本SEL推進協会も立ち上げています。レゴを通してクリエイティブラーンニングスパイラルを生み出し、そのスパイラルを生み出すハートの状況をつくりだすSELを交差することによって、化学反応が起こり、子どもたちの創造性が爆発するのです。

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(みずき野幼稚園では、内田先生のレゴワークショップも行われています。MITメディアラボの見識とSELの見識のコラボをデザインするのが内田先生です)

★このスパイラルについて、MITメディアラボのレズニック博士は、次のようなシンプルな図を描いて示します。

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★なんともシンプルですが、それぞれの領域で、視点が生まれ、視野が広がり、スパイラルは視座を高め、向こうを見ればパースペクティブが展開し、反対を見れば、そこには起点が見えます。根源と見通しの渦まきでもあります。

★子どもたちは、この内的時間と空間の渦の中で、ワクワクする気持ちが拡大し、同時に多様な「視」が生まれます。ワクワクしないと「視」は固定され、未知との遭遇はありません。

★しかし、ワクワクすると多様な「視」~「視点」「視野」「視角」「視座」「見通し」「起点」「俯瞰」「虫の眼」・・・・・~が生まれます。この多様性が「ズレ」「違い」「ギャップ」を生み出します。

★それこそが「問い」です。その度合いが程よいとクリエイティブテンションが生まれます。その度合いが少ないとワクワクしませんね。その度合いが大きすぎるとパニックになります。

★このクリエイティブテンションという内的時間と空間を外的時間と空間に転換するあるいはその逆を生み出す環境をデザインするのがファシリテーターの役割です。この環境が生成されると、問いはコンコンと生まれ出でます。

★コミュニケーションが、相互にクリエイティブテンションを生成する言語活動であり、情動活動であり、身体脳神経系の躍動であると、問いは果てしなく生まれます。相互自問自答つまり、インターリフレクションこそ、クリエイティブラーニングスパイラルのオリジンかもしれません。

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問いは生まれてくる。それを編集すると世界が生まれる。

★最近「問いのデザイン」などという話がちょっとしたトレンド。問い作りは難しいと。本当にそうでしょうか。一方で、「正解がない世界」などという言葉も今や日常化しています。とするならば、周りは問いだらけだということでしょう。新しい問いの発見というのもありますが、発見せずともどんどん周りに湧き出でています。

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(理事長内田真哉先生のみずき野幼稚園のシーン。苗植えをする子どもたち)

★幼稚園児が、苗植えをするとき、どうやって植えるのか、どこまで掘るのか、どのくらい土をかけるのか、そもそも苗や種は、こんなに小さいのに、これがトマトになったり、トウモロコシになったりと、それはもう大変です。

★未知のことはすべて、園児にとっては問いです。

★幼稚園や保育園のころの日々の経験は、溢れる問いに身をゆだねていると言っても過言ではありません。

★それがいつしか、答えを知ってしまい、未知の部分がなくなると問いは枯渇します。

★しかし、未知の部分がなくなるということはおよそ考えられません。なぜなら、私たちは常に未来に向かって新たな問いに出遭い続けていくからです。

★ところが、実際には、そうなっていない。だから難しいとなる。

★でも、本当は、未知のものに出遭わないように規制された環境だからにすぎません。

★その規制の巧みな戦略は、問いを教えることです。

★問いとは周りに溢れているのではなく、教科書や教師が投げてくれるものだという先入観が習慣化してしまったからかもしれません。

★したがって、問いのデザインとは、そのような環境をDE-signするということでしょう。問いを投げられる環境という記号をDEする。デ-ザイン、つまり脱記号ですね。

★すると問いはコンコンと湧き出てきます。

★もちろん、枯渇しないように、持続可能な問いの生成環境のデザインは必要ですね。この問いの生成環境のデザインの方法を、世界作りの方法と言います。

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2022年6月19日 (日)

人材育成は、「内的時間空間×C軸思考」を創ることができるかどうかがカギ

★少なくとも、学校教育においては、生徒1人ひとり、それから教師もそうですが、内的時間空間を創れるか、内的なC軸思考ができるかがカギです。内発的動機付けとか自分軸とか、最近では自分事といわれていますが、その正体はよくわかっていません。ただ、そのようなものがなければ、多様な外的拘束性に従うより仕方がなく、民主主義と言えども、他者や権力者、権威者に支配される生活を送ることになります。

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★なぜ内外超越的構成主義的PBLが必要かと言うと、上記の図の右側のように内側と外側がコミュニケーションできる状態になる必要があるからです。

★ただ、ペアワークやグループワークをやっても、内的な状況がFix Mindsetという慣習従順性や頑迷固陋な精神状態だと、外からの拘束性や規制を、自分の生きるルールに変換できず、高ストレスや鬱屈、閉鎖的な言動をとってしまうようになります。簡単にいうと、パニック状態です。

★しかし、上記の図のような違いを知ろうとしないのが、現場だったり、実は学問的なり理論だったりしています。

★ですから、拘束性や規制を緩和する対症療法しかできないのです。

★人は、どうしてこのような地政学的で地経学的な拘束の中で生きているかなかなか理解しようとしません。それは自分には関係ないというFix Mindsetがなせる業なのです。

★しかし、インフレになって円安になって、経済状況が悪化したり、貧困が目に見える形で現われ、そこで感染症が爆発したりすると、パニックになるわけです。

★VUCAなんてのは、もっと先のことだと思っていると、突然やってきます。大パニックになるわけです。

★教育の世界でも、学校生活を順調に営んでいる時、制度的拘束性や人間関係の時間空間拘束性に気づかないことが多いのです。まして、A軸思考やB軸思考が、自分を拘束し縛っているのだということに気づかないのです。むしろそれを使いこなす競争で優秀であることが善だとされます。

★しかし、それは外的拘束性を鵜呑みにしているだけです。ですから、成績の付け方が変わると、パニックになって、わからない、意味がない、なぜ教えてくれないのか、解答を示せ、明快にしろ、わかりやすく説明しろとギャーギャー騒ぎ立てます。それはパニック状態なのです。従順に従っていれば、安心安全なのに、秩序を乱したのだと。

★同じように見えても、上記のように内面に重層的な時間空間ができている人は、拘束や規制を自分のルールに変換したり、出来ない場合、距離を置く、妥協する、変更するといった創造的作業をするという言動をとります。これが独立自尊のリーダーの行為です。

★不平不満は、ソフトかハードかの違いはありますが、パニック状況です。

★内面の重層構造ができていないと、外部の環境変化や自分の想定しないことが起こったときに、人のせいにしたり、思考停止したり、激情的になったり、パニクりますね。

★人材育成とは、このようなパニック状態では、イノベーションが生まれたり、それを生み出すクリエイティビティを生成することができなくなります。

★心理的安心とは、様々な規制を緩和したり、それを取り除こうとすることだけではないのです。拘束をルールに変換したり、やむを得ない場合は拘束を変えるリフォメーション作業をすることです。

★そのために瞑想などをすることはよいことですが、そういう作業をしないでただ瞑想していても問題を先送りするだけです。

★外的環境は民主主義でも、内的世界は束縛されているということはあります。

★外的環境は全体主義でも、内的世界は民主主義的な世界が広がっているということはあります。

★それは「夜と霧」を読めば了解できるでしょう。

★私たちが目指すのは、もちろん、外的環境も内的世界も民主主義的世界で満たされることです。それが黄金律が満たされいる1つの状態です。

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湘南学園のブローシャ:学校の教育の本質を凝集。

★湘南学園のブローシャを送っていただきました。ありがとうございます。封を開いてすぐに同学園の教育の特徴があらわれてきました。夜明けの表紙。あけるとそこには大海原が広がっています。

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(太平洋は、湘南学園にとって、眺めるだけの海ではなく、学園生活の中で強烈なリアリティがあるのでしょう。そんなシーンです)

★湘南学園は、ESD(持続可能な開発のための教育)が、すべての教育のベースになっているということも了解できます。

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★持続可能というと、すぐにSDGsを想い起こしますが、ESDのルーツは、持続可能な開発 「環境と開発に関する世界委員会」(委員長:ブルントラント・ノールウェー首相(当時))が1987年に公表した報告書「Our Common Future」に根づいています。ブルントラントは女性の大統領です。もともとは医者で、ハーバード大学でも学び、戦後ノルウェーの民主主義社会の建設に尽力もしました。

★そして、1970年代から国連の業務にもかかわっていました。不思議ですね。というのも、1972年には、ローマクラブが今のSDGsにもつながる「成長の限界」を報告しました。このレポートをまとめた中心的な学者は、ドネラ・メドウズです。彼女は2001年に急逝しますが、ブルントラントは今もWHOなどで活躍しています。

★この持続可能性という概念を生み出し、自然と社会と精神の関係のパラダイム転換を生み出すのに、二人の女性がインパクトを世に与えたことは間違いありません。その精神を湘南学園がしっかり受け継いでいるわけです。

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★そして、ラップトップを抱えて、自由な発想をたたえている生徒の皆さんの写真。DX人材育成も当然しているよというメッセージです。

★以上のようにサスティナビリティは、グローバルなパラダイム転換を生み出そうと牽引した人材がつくりだしたものですから、湘南学園もグローバルでグリーンフルな人材を育成する教育がなされているわけです。そして同時にDX人材も。

★もう随分前から実践を積み重ねている湘南学園。現政権が力をいれているのが、DX×GX人材育成ですが、同学園はもっと前から行っていたわけです。ユネスコスクールでもあるので、どこかで同校の教育実践が政府に情報として伝わり、影響を与えたということもあるでしょう。

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教育の世界で起こる問題を解決するには、先入観を捨てて客観的な事実を認定するところから始める。それでも危うさはある。リベラルアーツの現代化で回避することは可能か?

★教育や学校の世界では、いろいろな問題が起こります。その問題を解決するために教師は日々奔走するわけです。うまくいくときもあるし、なかなかうまくいかないときもある。それゆえ、様々なセミナーや研修会があるわけです。そして、どのセミナーや研修会でも、問題に直面した時に、先入観を捨て、自分のフィルターをいったん外し、客観的な事実を確定してから、どこに問題があるのかを発見し、解決策を考えよと。その際、1人で考えるのではなく、仲間やチーム、第三者などをどう構成するかも考えるわけです。

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★研修では、

1)問題に直面した時に、

2)先入観を捨て、自分のフィルターをいったん外し、客観的な事実を確定してから、

3)どこに問題があるのかを発見し、解決策を考える

4)仲間やチーム、第三者などをどう構成するかも考える

★と分けて、それぞれの方法が教えられるわけです。

★問題に直面した時に、すでにそこにバイアスが生じます。受け入れる受け入れないかというマインドセットの状況が人によって違います。したがって、ここではGrowth Mindsetなど開放的精神が推奨されるわけです。まあ、エポケでもいいわけですが。

★先入観をすてると言った場合、何が先入観なのか?モニタリングの視点が提案されるわけです。しかし、ここでもバイアスがあります。モニタリングの視点がそもそも社会通念的、日本の教育界では、道徳という名の規制です。この規制をとりはらって、先入観を捨てることができないわけで、少なくともそういう限界があるということについて認識をしなくてはならないのですが、この話を持ち出すと、場が凍り付きます。教育の限界が現われる瞬間です。

★このことは客観的な事実を認定する際にも同じことがいえます。あくまで、教育における社会通念に照らし合わせてであり、それは科学ではなく、道徳による社会化です。客観的な事実は、国によって違うのは、今回のウクライナで痛いほど思い知らされています。

★どこに問題があるのかを発見するという場合、ズレをみいだすわけですが、ここも社会通念に照らし合わせて見出すわけです。より高次のルールに従ってズレを見出しつつ、それが社会通念とのズレとどう違うのかを考えることはなかなかできません。

★したがって、根本的な解決ではなく、学校にいる間だけの解決になる。つまり対症療法になり、原因療法にはならないのです。

★仲間、チーム、第三者などをどのように構成するか。第三者については、ふだんの学校生活では、カウンセラーで、法律問題に触れるようなことがおきたときには、法律の知識を持った専門家も構成員になります。

★ここにいたって、視野が広がり、開放的にはなりますが、そもそも問題が起きるのは、社会化に対するなんらかの反作用です。なぜその反作用が起こるのかまでは、追究されようがありません。

★したがって、ここでは妥協点を見つけるということになります。

★このような、状況や結果になってしまうのは、コミュニケーションをするときの思考の領域が、A軸・B軸で終わるからです。新学習指導要領では、それゆえ、C軸まで巻き込もうとなっています。

★しかし、これは、日本の教育の限界を文科省自ら乗り越えようとしてのことかどうかはわかりません。

★おそらく、そうではなく、グローバル世界は、VUCA時代です。多様な価値観や文化的な違いがあります。このような中で合意形成をしていく場合、日本の社会通念だけではなく、各国の通念を受け入れながら議論していかなくてはならないわけです。この状況に対処していくための新学習指導要領だと思った方が自然でしょう。

★しかし、それでは、やはり妥協だとなります。いや、この判断もまたすでにバイアスがあります。どこかに絶対正しい社会通念があるはずだという。

★そのようなものはあるのかないのか?あるから、それを探すのが多様性におけるコミュニケーションなのか、ないのだから妥協でよいのだとするのか、ないのだから共創しようよとなるのか、そもそもいまここでが解決すればよく、そのようなもの自体があるかどうかはどうでもよいと考えるのか。

★ここに正解はありません。あるのは、意思決定だけです。ではすぐれた意思決定などあるのでしょうか。すくなくとも、人類が誕生する以前からある事象に照らし合わせることが無難というのが、最近の思想のようです。人類が誕生する以前からある事象とは数学的世界です。

★リベラルアーツが、結局紀元前から続いているのは、そういうことかもしれません。未来の教育は結局、その時代その時代に適合したリベラルアーツの現代化を生み出すことがカギなのかもしれません。

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2022年6月18日 (土)

どこの学校からでもダブルディプロマ取得できる時代 GLICC代表鈴木裕之さん

GLICC(鈴木裕之代表)は、「オンタリオ州ディプロマ取得コース~トロント大学への最短パスポート、世界の大学へのゲートウェイ」を発表しました。同サイトによると、「日本にいながらカナダの高校卒業資格を取得することができるようになりました。GLICCでは、カナダ・オンタリオ州のプログラムと日本の高校のプログラムを組み合わせることで、カナダと日本の両方の卒業証書を取得できる「ダブル・ディプロマの制度」を提供します。現在通っている中学高校に関わらず、どなたでも個人として申し込みが可能」ということです。

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★このことが、どれほど凄いことなのか、なかなか理解しがたいことかもしれません。そこで、GLICCでダブルディプロマを取得できることの重要性を、昨今続々海外から名門パブリックスクールやインターナショナルスクールが上陸している経緯を確認しながら、その流れの最先端にたっていることの事実を鈴木さんと対話しました。ちょっと込み入った話なので、ここで説明すると膨大になります。ですから、動画の方をぜひご視聴ください。

→GLICC Weekly EDU 第83回「2023年の新しい教育事情ー海外からインターナショナルスクールが続々やってくる意味ー」

 

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★そして、このダブルディプロマ取得や海外大学に進むときに必要な「思考力」とはいかなるものかについて、東大の外国学校卒業生対象小論文入試(要するに帰国生入試)と聖学院の中学入試の「思考力入試」でみました。

★聖学院の生徒は、国内にいますから、直接東大の帰国生入試を受験することができないのですが、もし受験できたとしたら、合格できる「思考力」が育っているというコトについて対話をしました。

★現状受験が無理なので、そのような思考力をもって、高額な学費を工面できる生徒は海外大学に進学してしまいます。

★いったいそのような思考力とは具体的には何か?

★今年の春、GLICCから東大の帰国生入試を受験した2名(もちろん合格)の思考力を披露し分析しました。そして、そのような思考力を身に着けていく入口のモデルが聖学院の思考力入試であることについてじっくり対話しました。

★かくして、ダブルディプロマの意味は、たんに海外大学に行ける道であるだけではなく、VUCAの時代にサバイブし、人類を救済する知恵を身に着けることができます。

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★具体的に「人類の集団生活」「気候変動」「感染症」「戦争」の負の連鎖ループ図も提示し、この図の一つ一つのループの社会課題解決について2023年入試でも扱われるであろうことを予想して示しました。

それが、東大の帰国生入試(一般選抜とは違います)と聖学院の思考力入試を、分析してつなげてみると見えてくるのです。ぜひご視聴していただければ幸いです。

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2022年6月15日 (水)

【速報】ついに学習塾GLICCからダブルディプロマ!海外大学への道全開!

★ハロー校等の名門パブリックスクールやインターナショナルスクールが続々日本に上陸する昨今、めちゃくちゃすごいグローバルでイノベーティブな学びの場が登場しました。おそらくこれは教育界の隕石ですね。GLICCがオンタリオ州と提携しダブルディプロマの拠点になります。あのトロント大学やオックスブリッジやハーバード大学への道が開かれます。もちろん東大も外国学校卒業生扱いになる可能性もでてきます。

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★とはいえ、日本の学校に通いながら帰宅後オンライン学習するわけですからハードです。しかし、それを乗り越えたときの有形・無形資産は、資産所得倍増どころではありません。

★日本の教育についに3%の穴を通したわけです。さすが鈴木裕之さん(GLICC代表)。

★このことのとてつもない重要性は、日本経済の危機に直面したいまだからこそあるのです。円安で学費は高いでしょうが、それ以上の見返りがあります。

★この危機は、実は日本を救う跳躍台にできます。この跳躍台をポジティブに転換するには、グローバルでイノベーティブでグリーンフルでなければならないわけです。

★これが日本型教育の真骨頂です。日本の高校と海外の高校のダブルディプロマ。和洋折衷型ディプロマこそ、これから世界をリードするスーパーグローバル人材でしょう。

★それがGLICCから生まれます。日本の学校と海外の学校を結びつける力があるからですね。

★時代は、本当に共創の時代になりました。実感です!

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2022年6月12日 (日)

国立音楽大学附属高等学校 普通科×リベラルアーツ

★国立音楽大学附属の学校案内を送っていただきました。勤務校が高校だけなので、同大学附属の高等学校の普通科の学校案内をまず手に取りました。表紙は、ポップでカジュアルな感じで、クラシックの重さはありません。DXベースの学びが展開しているのだなとすぐにイメージができました。

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★本格的に音楽の道に進むには、中学から入学し、高等学校の音楽科に進めばよいのでしょう。中学も、「演奏・創作コース」と「総合表現コース」に分かれています。たぶん、前者は高等学校の音楽科に進む生徒が多いのでしょう。後者は、高等学校の普通科でしょうか。

★いずれにしても、探究とDXはベースになっているようです。そして、普通科といえども、おそらく音楽や美術、デザインなどのアートが好きna

な生徒が多いのでは。少なくとも他校に比べれば多いのではないでしょうか。

★探究、音楽とくればリベラルアーツです。

★しかも、音響抜群の教育空間が広がっているでしょうし、新設の施設もできるらしいですね。

★普通科だと、クラシックばかりではなく、ポップな音楽も活用し、動画などプレゼンテーションも興味深い作品として結実するのではないでしょうか。

★普通科でありながら音楽の素養も生かせそうです。

★DXも音楽ソフトやアプリがたくさんあるわけですから、その素養は大いに生かされるでしょう。このような新しい教育の魅力を受験市場が発信することを期待しています。

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東京私学教育研究所紀要第70集~中央大学附属の先進的研究 掲載

★東京私学教育研究所は、年間通じて、教科や特別活動、経営関連など多くの研修を企画実施しています。その研修を企画するためには各委員会が形成され、各校から有志の教員が委員として参加しています。それ以外にも、同研究所は研究協力校として指定している学校があります。その研究の中間報告や最終報告は、学校でその実践例を発表したり、紀要に論文掲載をしたりしています。

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★そこでは、実に本質的で先見性・先進性のある独自の教育が開発され実践されているのです。しかしながら、学校説明会や学校案内などには、その詳しい内容は発信されません。発信したとしても、かなり専門的で難しい話もあるので、PRとしては限界があるということでしょう。

★とはいえ、それぞれの学校の教育の本質こそが、日々実践されているわけです。もし、説明会や学校案内に表現されたことだけが教育だとすると、どうでしょう。ちょっと考えるだけで、成り立たないということがわかるはずです。

★ですから、もう少し突っ込んんだ話や中高の先生方も研究をしているのだということがわかる情報発信も必要です。研修をとおして、研究へと深まっている教師がたくさんいる学校の教育力は本物教育を持続可能にするからです。

★2022年3月に発刊された「東京私学教育研究所紀要第70集」には、中央大学附属中学校・高等学校のお二人の先生が論考している「行動する知性を育む~コンピテンシー自己評価アンケート分析~」という論文が掲載されています。

★同校は、90%弱が中央大学に進むし、10%強は国公立大学や総合型選抜などで他大学を受験します。

★ですから、受験勉強で進路実現をする以上に、進路先で専門的な活躍ができる素養としてコンピテンシーを育成する必要があるのでしょう。進路先でも活躍できるトランジション教育の一環として生徒自身が、自らのコンピテンシーを知り、強みを伸ばし、弱みを強みに変えるセルフマネジメントができるようになるということでしょう。

★自らのポテンシャルを豊かに、それをカタチに変えるべくセルフマネジメントする。そして教師はその環境をつくるカリキュラムマネジメントをする。その2つのマネジメントの合力が生まれているのだと思います。

★こうして、はじめて主体的・対話的で深い学びの現実態ができるからです。

★いずれにしても、中央大学と幾つかの学校と協力し、データサイエンス的な取り組みもしています。本格的な論文ですね。

★そういえば、2009年に、中央大学理工学部は、文科省の「大学教育・学生支援推進事業」【テーマA】大学教育推進プログラムに採択され、「段階別コンピテンシー育成教育システム」の事業に取り組んでいました。それが継承されているかどうか追跡はしていませんが、今では、中央大学のコンピテンシ自己評価システムは<C-compass>と呼ばれ、それを読み替えて<Chufu-compass>も策定したようです。

★グループの知的資産を活用した、他の追随を許さない先進的で独自の「見えない学力」という本物の学力あるいはポテンシャルを生成するシステムを構築する先生方が存在する学校です。そのことに受験生も気づくとよいですね。

★自然と興味や関心を持つ体験もあるし、自分が気づかない興味と関心を自己発見するシステムもある学校はそう簡単には見つからないのです。

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静岡聖光学院 リフォーメーションからさらなるバージョンアップへ

★2017年4月1日に静岡聖光学院は、21世紀型教育機構に加盟。破竹の勢いで教育内容と教育空間をリフォメーションしてきました。教育内容はグローバル教育、思考力を加速させ、今ではそれをDXと融合して6年前とまったく違う教育シーンを創っています。また、教育空間も、ここはシリコンバレーのクリエイティブスペースかと思わせるほどのリフォームがなされ、さらにイギリスや東南アジアをはじめ世界にその教育空間を拡大しました。

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★5年間でリフォメーションを完成させ、2023年は、いよいよさらなるバージョンアップという段取りになりました。

★先週金曜日、GLICC Weekly EDU(GWE)で、副教頭田代先生、アカデミア部長榊原先生と対話しました。2023年の静岡聖光学院のバージョンアップの予告編をお聴きすることができました。

★田代先生は、21世紀型教育研究センターの主任研究員としても活躍されています。同校のリフォメーションを5年間で完成させた重要人物です。本当に世界を経めぐり、21世紀型教育の大切な柱グローバルイマージョンを同校に根づかせました。そして、今年から神奈川の聖光学院の理事長・校長工藤先生が、同校の理事長・校長も兼任することになり、新たなバージョンアップに向けて活躍されるでしょう。

★今回のGWEは、OBの立教大学3年生古杉さんからのメッセージももらい、教師冥利に尽きる感動のシーンから始まりました。そして、同校の感動的でビジョンが明快に見通せる動画から話がスタートしたのです。この動画は必見です。同校の未来のみならず、これからの日本のあり方のヒントも提示しているからです。

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(下段左から古杉さん、田代先生、榊原先生)

★そのあと、榊原先生のトークが展開しました。説明会では、体験教室などで直感的に同校の授業の骨太さを感じることができますが、ここまで理論的厚みがあることは、榊原先生に説明してもらわないとわからないことだらけでした。STEAMのスキルと哲学的素養をもった静岡聖光学院の先生方のサバらしさが伝わってきました。そして、生徒が大きく成長する環境をつくる先生方のチカラの秘密が明らかになりました。

★このような土台に、神奈川の聖光学院のもう一つの強烈な教育が加わるのだと思うと、凄いことが起こるなと。

聖光学院グループが、神奈川や静岡エリアを超えて、世界の聖光学院に突き抜ける姿を思わず想像してしまいました。ぜひご視聴ください!

 

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2022年6月 9日 (木)

チームと個人(3)個人とチームと組織と国家と

★学校では日々授業をはじめ様々な教育活動が行われています。教師と生徒と同僚と協働して教育は行われています。チームづくりは大切です。そのチームづくりと学校組織のミッションや組織のあり方がシンクロしたり共振したりしていると、生徒にとってタレントが豊かになる魅力的な学校になります。

★これは、ポジティブCでもネガティブCでも、それぞれシンクロしたり共振していれば、良し悪しは別として、内側にいる生徒にとっては魅力的なのです。

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★ところが、学校は、常に国家の政策の影響を受けています。国家の軍事力(戦後の日本ではあまりなじみがない)、経済力、教育力に対する政治的政策は、学校の個人にもチームにも組織にも影響します。

★時の政権は、文科省、教育委員会、自治体を通して、毎週のように通知を送ってきます。公立学校は、それを無視して教育をすることはできません。私立学校も無視はできませんが、独自の受け止め方ができる通知もあります。今回のパンデミックに関するものは、受け入れるというより、私立学校の方針と共通する部分があったということで、結果的にうけいれたということになっています。

★このように、国家の政策に対し、相対的な自由があるのは、その国家が準民主主義国家だからです。民主主義国家だとしたら、学習指導要領のような全国一元的なルールについては議論があるでしょう。

★これは、本当に複雑です。IBやラウンドスクエアを創設したクルト・ハーンのように、時のドイツの全体主義政策に真っ向から反対した場合、亡命を余儀なくされる程、命がけです。

★ですから、これまでご紹介してきたポジティブC×真正ポジティブΩの個人とチームと組織の場合、民主主義国家とはシンクロする部分が多いのですが、そうでない場合は、難しい局面があります。

★実は、現状の日本は、準民主主義と言われています。ですから、私立学校は国の政策と協力するところは協力しますが、そうでないところは異議申し立てをするときもあります。戦後教育基本法が改正される過程で、文科省が直接私立学校を指導しかねない条項に関しては、政府と議論を重ねたわけです。結果は、そうはならなかったわけです。かえって私立学校の意義を共有できたわけです。

★現在もガバナンス問題で、議論を重ねています。

★日本ではなく、世界に目を向けると、学校が国の軍事力と経済力の影響をダイレクトに受けているのがすぐに了解できるでしょう。

★私たちが教育を変えるとかいう話は、本当は命がけの話なのだということを、コロナ・ウクライナ・フクシマといった深刻な問題に直面した今、身に染みて了解できます。

★DX人材はたしかに育成しなければなりません。でも、その育成は、ハード権威主義国家でもできるし、ソフト権威主義国家でもできるし、準民主主義国家でもできるし、民主主義国家でもできます。

★教育を変えると社会を変えることができると、よく言われます。それを言うことができる国に私たちはいるということでしょう。

★学校は選べます。しかし、私たちは選べないものもあるし、選ぶのが困難なものもあります。

★どのような状況下にあっても、自分を貫き通すことはたしかに大切ですが、日本に住んでいる私たちが、本当にそれができるのか試される日が刻一刻と近づいているような気がしてなりません。

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東大理系合格者数ランキングベスト10の意味は何か?

★朝日新聞EduA2022年5月31日の記事「東大理系は1位開成、2位筑波大附駒場、3位灘 トップ3は文理合計ランキングと同順位」で、東大理系合格者数ランキングが公表されています。ベスト10は、筑波大附属駒場を除いてすべて私立学校です。現政権はDX人材育成のために理数系を強化しようとしているわけですから、私立学校がやはりがんばらなければという意味が示されているのでしょうか。1位は開成。岸田首相の母校ですね。そのような意図もあるかもしれません。

★たしかに、10校で東大理系に540人合格しています。東大合格者の36%もシェアしているので、凄まじいですね。

★しかし、1学年ざっくり100万人のシェアは0.054%です。

★これでは、DX人材の量が足りません。つまり、どんなに優秀でも、東大だけに頼っていては、日本はヤバいということですね。

★いろいろな思惑があるでしょうが、中高生600万人が、文理関係なくDXとGXを学ぶ環境を速いところ作らなければという危機感をこの記事は示唆しているのではないかと思います。

★いや、そうではない。東大生は高度な専門家だからここに頼らなければといわれるでしょうか。

★それはどうやら違います。DXもGXも今やワールドワイドにつながります。英語を活用し、あるいは英語の翻訳アプリを使い、世界中のDX人材資産を活用して中高生が準プロフェッショナルになればよいわけです。ワールドワイドは、フリー、フラット、フェアー、フラタニティですから。

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チームと個人(2)個人とチームと組織と

★前回マトリクスで4パターンをご紹介しましたが、本来は16通り(実際には無限です。あくまでパターンとしてです)あるので、1つひとつ述べる必要があります。しかし、典型的な例ということで4つのパターンをご紹介しました。さて、PBLの授業にかかわるのは生徒もそうですが、同僚の教師も含めてチームです。ポジティブCのパターンだと学校中がPBLの授業で溢れます。しかし、たいていはポジティブCのチームとネガティブCのチームが併存しています。ですから、その比率によってPBLの雰囲気が広まるかどうかが決まります。

★しかし、仮にポジティブCが圧倒的でも、学校組織によっては、うまくいかないこともあります。組織がポジティブCと真逆のミッションと組織のあり方だと、そもそもポジティブCは細々とやっているという感じなので、PBLが広まるということはありません。教師によって行う人もいるけれど・・・という感じです。

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★問題なのは、ポジティブCとチームと組織の関係がポジティブΩパターンの場合です。ポジティブCとネガティブΩの組み合わせは実はないのです。個人とチームがポジティブCで、チームと組織がネガティブΩという組み合わせは存在しないからです。

★実は、ポジティブΩが、真正Ωである場合と戦略的Ωであることがあるのです。

★真正ポジティブΩの場合は、学校全体がPBLを重視し、その質やスキルをアップデートすることに邁進します。最初は、進学実績はでませんが、アップデートしていくにつれ、いわゆる受験勉強を乗り越えて、PBL的な土台で進学実績もでるわけです。理想的な個人とチームと組織です。

★しかしながら、個人が必ずしも経営的視点を持っていない場合どうでしょう。ポジティブCと真正ポジティブΩの掛け算の値が低くなります。それゆえ、PBLを基軸にする教育は、敬遠されるのです。ところが、インターナショナルスクールが海外から押し寄せ、海外大学に進学する生徒が増えつつある今、結果的に、よしということにもなります。

★この状態が、真正ポジティブΩはがまんができなくなる時があります。そのとき、目に見えない軋轢が生まれ、経営的視点を考えないけれど優秀な教師が他の学校に移るということがあります。本人と学校両者にとってよいわけですが。

★さらに、ポジティブCと戦略的ポジティブΩの場合は、結果がでなければ、その組織はがまんしませんから、ポジティブCそのものを解体し、ネガティブCに変えていきます。それが当たるかどうかわかりません。当たる場合もあるし、当たらない場合もあります。当たらない場合、負のスパイラルにおちいることもあります。組織の意思決定はかなり重要だということですね。

★もし戦略的ポジティブΩが、待つという戦略をとったとき、結果的には真正ポジティブCと同じになる場合もあります。そのとき、Ωが真正か戦略的か区別がつきにくいですね。それを見極めるには歴史をみるしかないわけです。個人とチームと組織のダイナミズムは結局は不確定で、なかなか難しいのです。

★それに、こんなにきれいなパターンではなないので、なおさらです。カタチがなければ、秩序はすぐに雲散霧消します。アナーキーなチームがあったとしたら、それは組織として存在することはできず、戦略的に組織内に作られ、うまくいかなければ解体されるというのが常です。起業家精神とアナーキー精神は、実はまったく別物です。

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2022年6月 8日 (水)

チームと個人(1)PBLで

★現政権は、各省庁挙げて、「人材育成」のための投資だあ!という感じになっています。それはいいことですが、人材育成は、ミッションとあり方のミックスで考えることですね。それと1人で生きていくことは、人類誕生の時から不可能なので、仲間との関係も重要です。ここではチームと呼んでおきます。

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★PBLにおいてチーム生成は重要です。PBLの巧みな先生方のチーム生成を見ていると、なんといっても「自然体」です。生徒1人ひとりのミッションが共感を帯びてきます。それぞれのタレントを大事して相乗効果を生み出そうという自分軸が生まれてきます。そしてチームも当然それをミッションとします。

★そのようなミッションの化学反応が起きるには、自分の在り方が、柔軟で頑なではなく開放的で、だからこそ気づいたことを共有しようというあり方を創っていきます。チームのあり方もそうです。上記の図でいえばCパターンです。

★ところが、Cパターンであれば何でもよいかというと、必ずしもそうではありません。個人のミッションもチームのミッションも権威主義的で、個人のあり方もチームのあり方も情報隠蔽体質で頑なで抑圧的であったとしたら、それはそれでCパターンになるわけです。

★さて、どうしましょう。

★結局、ポジティブCとネガティブCがあり、どちらもそのメンバーは生きることができます。

★ただし、PBLがうまくいくのはポジティブCのときです。

★もし、PBLがうまくいかないとしたら、それはネガティブCか、そもそもDのように超バラバラか、Aのようにあり方がバラバラかです。

★Bパターンはどうでしょう。Bパターンは、ポジティブBはあってもネガティブBはありません。ネガティブBであり方が権威主義で自分もチームも同期しているとしたら、軸は強制されるので△にはならないからです。

★Bは、実はポジティブCに移行するパターンです。

★PBLは初めからポジティブCではありません。むしろBの場合が多いでしょう。

★ミッション軸が相互に承認されながらだんだんゴールデンルールに近づいていくのが、PBLです。ミッション共感はゴールデンルールに向かえるポテンシャルがあるメンバーが集まることが必要なのです。

★私立学校が、生徒募集の時、偏差値だけで選択しないのは、そういう意味もあるのです。大学の総合型選抜も同様です。

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聖パウロ学園の数学科 「世界制作の方法」をPBL授業で実践し始める パウロの森で静かに根源的思索へ(3)伊東先生のPBL授業

★伊東竜先生の数学のPBLは、数学科のMM(Math Meeting)の成果を自分の研究に織り込みながら創っています。インストラクショニズムとコンストラクショニズムの合力で授業デザインがなされています。どういうことかというと、インストラクションの中に、インプロとかアドリブが入る部分があるということです。モーツアルトのピアノ協奏曲などにあるカデンツァ的な発想ですね。先生のPBLの流れを見ていきましょう。

1)Thinking Routines

授業の始りは、簡単な問いで、「解法」と「アルゴリズム思考」の往復をします。生徒は、毎時間、ここから始まるというマインドセットがされています。「解法」は氷山の一角で、「アルゴリズム思考」は海面下のシステム思考関数です。

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「解法」と「アルゴリズム思考」が往来できるのは、「思考コード」を媒介にするからですが、それについてはいずれまた。

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2)ファシリテーターとしての対話

生徒の話に耳を傾け、生徒自身が、自分の中にある考えを引き出すちょっとした対話。経験が創り出すもので、これはインプロ部分。

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3)ポストイット

「世界制作の方法」は、実にシンプルで、聴いたらそんなことなの?!と驚くかもしれません。ポストイットは、「削除と挿入」「拡散と集中」「順序づけ」「重みづけ」などをするときに役立ちます。これらは、みな「世界制作の方法」です。一見簡単ですが、小論文を書くとき、物語を編集する時、デザインをするとき、建築の図面を描くとき、哲学する時、実験をするとき・・・、あらゆる場面で、これらの方法を活用しています。これらを簡単にいうと、カテゴライズですね。

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4)個人ワーク

自分の内なる知識、論理、創造性などをフル回転して棚卸をします。議論したり協働したりする前の大切なリフレクションの時間です。

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5)個人ワークが終わったら、次はPeer Instruction(PI)。

Peerは、ペアではなく、仲間ですから、グループワークに似ていますが、どちらかというと互いの情報のズレを確認し、自分のアイデアのアップデートを行います。やはりここでも、「削除と挿入」「順序づけ」「重みづけ」など世界制作の方法を活用します。

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6)フィードバック

PIが終わって、生徒1人ひとりの思考が落ち着いたところで、伊東先生は、フィードバックを行います。まだ思考を広げられる可能性を指摘していきます。思考の開放性や柔軟性は大切です。

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7)プレゼン

一通り終わったところでプレゼンですが、個人ワーク→対話→PI→フィードバックなどの循環の過程で、当初の自分の考えをアップデートしてきた結果を発表します。この過程こそ、「世界制作の方法」の醍醐味の「分解と合成」及び「変形」です。

補❶)プレゼンしたりするときに、ルーレットのアプリを使います。伊東先生が指名するより、ルーレットで運命づけられるのがワクワクするということです。おもしろさは、「単元の内容」にだけではなく、「学び方」にもあります。両方の合力で興味関心が広がり深まります。もっとも、伊東先生自身は確率の話がベースです。世の中は、確率を上げるために、イノベーションが発展してきました。そのたびに、アップデートという「変形」を行ってきたわけです。

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補❷)眼差し

生徒が考えたり議論をしたりしているとき、話しかけるでもなく、ただ机間巡視しているわけでもなく、あたたかく見守っている眼差しを生徒が感じ取ることによって、学びの共感的雰囲気ができあがります。

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補➌)アフォーダンス プレゼンテーション・パターン・カードなどを媒介に

私が見学に行ったときには、使っていませんでしたが、生徒がプレゼンする前に、プレゼンテーション・パターン・カードなどで、自分の魅力を引き出すワークショップを行うときもあります。教師がこうしなさいああしなさいではなく、カードというツールを媒介にすることで、建築家やアーティストが活用するアフォーダンスというパワーを活用します。アフォーダンスとは、心理学的現象で、自分が意識していないのに、環境が刺激し、行動を促す心の動きのことを意味します。

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聖パウロ学園の数学科 「世界制作の方法」をPBL授業で実践し始める パウロの森で静かに根源的思索へ(2)

★結局、聖パウロ学園の数学科は、高1から高2までの2年間という長大なスパンで、文理関係なく、生徒が「世界制作の方法」を身に着けられるようになることがミッションなわけです。グッドマンの「世界制作の方法」をベースに聖パウロ流儀の「世界制作の方法」にアップデートされていくということもあるでしょう。

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★数学という解法は、授業のダイレクトな目標ですが、「世界制作の方法」は、その授業を通して身に着けるインダイレクトな目標です。数学の力は、この合力によって最終的に出来上がります。これは高3において理系の生徒が身に着けることになります。

★文系は、「世界制作の方法」と「文学」の合力とか、「世界制作の方法」と「歴史」の合力とか、パワフルなのは「世界制作の方法」と「探究視点」の合力という感じになります。

★DX人材は「世界制作の方法」と「情報」の合力となるでしょう。

★「世界制作の方法」とは結局「哲学」です。ただ、数学的アプローチの哲学であるので、英米の分析哲学に近いかもしれません。カントやヘーゲルは、もちろん、この「世界制作の方法」で読み替えると、実にシンプルになるはずです。

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2022年6月 7日 (火)

聖パウロ学園の数学科 「世界制作の方法」をPBL授業で実践し始める パウロの森で静かに根源的思索へ(1)

★本ブログの記事「数学と情報のクロスオーバー 大事なことは物の見方の交差 聖パウロの数学ミーティングから気づいたこと」でも紹介しましたが、数学科はアルゴリズム思考を数学科のミーティングでもトレーニングし、その思考方法を生徒と共有し始めました。その発想のよりどころの1つはネルソン・グッドマンの「世界制作の方法」です。

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★ネルソン・グッドマンは、たぶん数学哲学者でもあり、言語哲学者であり、究極的には、政治も経済も芸術もデザインも言語も精神も・・・あらゆるものは記号システムで構築されたもので、それこそが世界であると考えたのではないかと思います。がしかし、そんなことを言っていると、独断と偏見で違うと言われるでしょうね。ともあれ、おもしろいのは、数学科と話をしていると、必ずしも集合論は世界を構成する唯一のものではないという考え方がでてきて、ネルソン・グッドマンと波長があっているなあと私などは感じてしまうのです。

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★集合は、すでにある前提条件なしには、分類分けができず、氷山モデルでいえば、見える部分のカテゴリー分けに過ぎないのかもしれません。見落としてならないのは、海面下のシステムとつながっているということです。すると、この海面下の諸関係が氷山の一角につなっがっているから、そこを見てしまうと、みなつがなっていて、カテゴリー分けができなくなります。

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★かといって、カテゴリー分けをしないわけにはいかないですよね。数学は、多様な条件という概念の諸関係が生み出す記号システムだということでしょう。この氷山の一角と海面下のシステムを、勤務校の数学科の教師はアルゴリズム思考として(私はシステム思考だと思っているのですが)再構成し、世界制作の方法を生徒と共有しているわけです。

★またわけのわからないことをと数学科の先生方に叱られそうなので、現場の数学の授業をご紹介しましょう。伊東先生は、簡単な復習問題を1問提示します。生徒1人ひとりが5分くらいで解いたあと、この問題を解くときにどんな数学的知識や概念を使ったのか問答します。問題解法は氷山の一角で、その海面下の知識や概念のつながりを紐解いていきます。

★このウォーミングアップが終わったら、応用問題。一次不等式の問題だけれど、式を解きなさいというダイレクトな問題ではなく、式の条件を満たす最小の自然数を求めなさいということです。このインダイレクトな問いを設定することで、一次不等式の解き方を通して「自然数」の概念を再考するという意味付けがなされていたのでした。しかし、そこに気づくまでに、個人ワーク→ペアワークを行っていきます。

★各人ポストイット一束渡され、一枚のポストイットに1情報を書き込んでいきます。どんなことを書くのかと言うと、目の前の問題を解くにあたって、必要だと思われる知識や概念をできるだけたくさん書き出しなさいと。

★そして、ペアワークで情報を交換し、互いに自分の考えを豊かにしていきます。最終的には教え合いながら問題を解いていきます。

★このワークショップ型授業の中に、実は世界制作法の視点を実装するトレーニングが埋め込まれています。

★聖パウロ学園は、文系進路が多いのですが、最近では文系も数学は必要とされています。しかし、私立文系の場合、入試問題で数学を選択しない場合がほとんどです。数学の授業のモチベーションがあがらないのが普通です。

★しかし、勤務校の数学科の教師は、文系にも役立つ数学は何かとここ数年議論しているのです。難しい問題が解けなくても、記号システム全体を俯瞰する視点は、文系の学問や領域でも大いに役立ちます。

★ですから、ネルソン・グッドマンのシンプルな世界制作の方法を授業の中で共体験していくのです。

 

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私大入学定員の基準緩和

★読売オンラインの記事「入学金の二重払いになりがちな「追加合格」の減少目指し、私大入学定員の基準緩和へ2022/06/06 15:00」は注目です。文科省は、これまでの定員厳格化から一転して基準緩和、つまり規制緩和へ転じます。

★入学時だけではなく、4学年全体で考えるということですから、結果的には何も変わらないのではと思われるかもしれません。たしかに、それぞれの大学は、変わらないように見えますが、私立大学500強ある全体を考えると、格差がかなり開くことになります。

★規制緩和は、自由度が高くなるので、格差が生じるのは想像に難くないわけです。

★現在でも、私大志望者数の80%を500の内の100大学でシェアしています。

★80%の枠内で、つまり100大学で、熾烈な受験生争奪戦が起こるということかもしれません。

★2032年以降は、1学年100万人になり、そこから80万人時代になります。

★この状況を乗り越えるには、いったん規制を外して、自由度を高め、その過程で突破口を見つけようということなのでしょう。

★大学全体としては、入学しやすくなるわけでしょうから、もはや入れればそれでよいではなく、自分はいかなる道を歩いていくかしっかり見つめながら学ぶ教育環境がある中高を選択することが必要です。

★そして、500のうちの400は、高大連携と大学間連携、大学大学院連携をするなど研究のクオリティをあげることです。そうなると、武蔵大学のように海外大学との連携ということになるでしょう。海外の大学は、それを狙っています。正しい契約関係を結ぶリーガル環境も再び必要になります。

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あるGWE視聴者の反応 3%の穴の向こうを見通す

★ほぼ毎週金曜日に発信しているGWE(GLICC Weekly EDU)。鈴木裕之さん(GLICC代表・21世紀型教育機構理事・事務局長)が主宰。ファシリテーターとして私立学校研究家(微笑)である私もほぼ毎回参加させていただいています。

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先週は81回目です。80回目は和洋九段女子、81回目は工学院大学附属、そして今週82回目は静岡聖光学院とクリエイティブ&ケアリングクラスを生み出している学校が続いています。

★先日、登壇者の方から連絡がありました。視聴された方からその日の夜にメールで問い合わせをいただきましたと。帰国生・国際生だったということです。

★GWEは、多くの人が気づかない明日への希望を生み出す教育環境をご紹介しています。3%の穴の向こうを見通そう。するとそこに希望があるというわけです。

★頂いたこの情報を励みに、3%の穴の向こうをみなさんといっしょに見通す努力をして参ります。

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2022年6月 6日 (月)

これからの人材育成 2つの流れ 私立学校と政府

★今、政府は、新しい資本主義実現会議と教育未来創造会議を開催し、DX人材、GX人材などを育成する構想を実現しようとしています。一方、2011年から創設されている21世紀型教育機構もまた、21世紀型教育研究センターを中心に、次代の人材としての教師をSGT(スーパーグローバルティーチャー)と称し、育成プログラムをアップデートしています。

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★同センターの研究員は、上記写真の上段左から2人の主席研究員の児浦先生、田中歩先生、下段の左から3人の主任研究員の新井先生、染谷先生、田代先生です。

★同センターの育成するSGTは、C1英語×PBL×STEAM×哲学の素養を身に着けるべく、専門的な研究というより、ワークショップの中で経験値を高めながらプラグマティックな方法で成長していくストーリー展開が仕組まれています。

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★もっと簡単に言えば、クリエイティブでコラボレーティブでケアリングマインドを実装しています。これは世界をアップデートできるマインドですから、思考コードでいうC軸を備えたリフォーマーです。

★VUCAの時代に柔軟に対応していくには、マルチなペルソナを有することと、3つの構成要素が化学反応を起こせることが求められます。そのような関係態が豊かになっている人材をC-reformerと呼んでおきましょう。

★このような人材が政府からでも私立学校からでもどちらからでも生まれてくるのは歓迎すべきことでしょう。

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2022年6月 5日 (日)

Eテレのアンコール放送 ロジェ・カイヨワやアリストテレス

★2022年2月24日ウクライナ侵攻が始まって、6月3日で100日攻防が続き、現在も止まることなく102日目が過ぎようとしています。そんな中、NHKが私たちが今何を考えどういう道を歩むのか、間接的に支援する番組を流しています。4月4日には、2019年8月に放送した「ロジェ・カイヨワ“戦争論”」を一挙放送しました。

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★また、明日6月6日は、「100分de名著 アリストテレス“ニコマコス倫理学”[終](4)“友愛”とは何か」がアンコール放送されます。

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★NHKは、ミヒャエル・エンデの「モモ」の背景にすでにある新しい資本主義のような構想をずっと追跡しています。時には里山資本主義として番組をアレンジしたり、21世紀に入ってからはずっと欲望の資本主義をドキュメンタリーで追跡し、それを乗り越える考え方をしている様々な学者を召喚してインタビュー番組をつくっています。最近ではマルクス・ガブリエルさんや落合陽一さんが頻繁に登場しています。

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★ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」は1982年に邦訳され、1985年に日本でも映画が公開されました。1985年といえば、プラザ合意がなされ、バブルとその崩壊と20年の経済空白を生んだ欲望の資本主義の渦が発生する起点だと言われています。

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★そして、その10年後の1995年は、国内は大惨事とIT革命の日常化の始りという光と影の渦巻く年でした。NHKが出版した「ソフィーの世界」がベストセラーになった年でもあります。

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★このように、惨劇のあるたびに、哲学書が世に出てきました。21世紀に入り9・11があり、2003年にはイラク戦争が起こり、グローバリゼーションの影が世界を覆うようになると、ちょうどその時、なんとか希望をという信念に突き動かされたかのように池田晶子さんは「14歳からの哲学」を出版しました。今もZ世代にとって人生の思索のランターンとなっています。

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★2011年の3・11の時には、東浩紀さんの「一般意志2.0」が出版されたのも、リスボン大地震のときに、やはり世の支えとなった啓蒙思想の捉え返しが必要とされたからでしょう。

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★そして、コロナ、ウクライナ、核拡散の危機に直面した今、上記のような哲学書が出版されました。岸田政権は、「教育未来創造会議」で、この難局を乗り越える人材育成をというわけですが、最先端のテクノロジーを活用できる人材だけではなく、哲学やリベラルアーツの視座を有したAI人材育成も射程に入れてくれることを期待しています。

★現場では、もちろん、先にそれを進めようとは思っています。

 

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北岡優希さんと対話をしながら勉強会 高校受験情報誌・創刊プロジェクトで。

★首都圏模試センター代表取締役山下一さん主宰の「高校受験情報誌・創刊プロジェクト」では、毎週Zoom勉強会が開催されています。全10回の予定で、取材などと並行進化するスタイルです。先週、その貴重な勉強会で、私も語る機会を得ました。テーマは、「入試問題の思考コードから見えるアドミッションポリシーとカリキュラムポリシーとグラデュエーションポリシー」。

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★この情報誌は、参加する教育関係者や学校の教師が、思考コードの視座や多様なものの見方を共有して、高等学校の教育に新しい光をあてようというものです。ですから、思考コードの基本的なものの見方・考え方を学び合おうということになったのです。

★参加するメンバーの方々は、20代から40代前半の方々が多く、前期高齢者の私の言葉は通じないのではないかと思っていたところ、私の娘と同じ年齢ぐらいの北岡優希さんが、「本間さんと私が対話しながら説明していくのを参加された方々にご視聴いただきましょう」とパートナーの役割を買って出てくれました。結果、やはりとてもわかりやすく、共感が広がる勉強会になりました。みなさま本当にありがとうございました。

★入試問題を思考コードで分析していくのか、学校の行事を分析していくのか、組織のあり方を分析していくのか、授業を分析していくのか、などなど迷いましたが、塾の先生も参加されているので、入試問題をメインにし、時間が余れば、結果だけですが行事の分析と生徒の成長の関係について情報提供することにしました。

★入試問題は、2022年の桜美林の社会科の【3】番を選択しました。都市問題とその解決案の記述が中心的な問題です。もちろん、都市を形成する政治経済的な制度設計の知識、予算のデータなども問われています。そういう意味では、思考コードのA軸、B軸、C軸すべての領域から出題されているので勉強会における分析対象としては適切だと思いました。

★北岡さんは編集者ですが、熟の経営の経験もあるので、入試問題の分析は初見で対話が盛り上がります。打ち合わせのとき、その問題がA軸なのかB軸なのかC軸なのかは、あまり迷わないが、1~3のレベルを振る時に迷うということでした。

★それは、やはり塾経験者及び学校の教師ならではの迷いです。一方模擬試験の教務陣だと、授業はしないので、あくまで、入試問題という枠組みの中で、コードを振りますから、あまり迷いません。むしろ、A軸なのかB軸なのかC軸なのか迷いがちです。

★入試問題の時に、生徒が解答をつくるときは、時間との闘いです。思考を広げるのではなく、思考を圧縮します。1つの知識を身に着けるのに、暗記で覚えた生徒とその知識に関連する多様な知識を結び付けながら結果的に知識を定着させた生徒の見分けは、知識問題では差がつきません。その場合、覚えれば出来る問題や、入試の段階では思考過程をショートカットできる段階にまでしているという前提でコードを振ります。

★ところが、授業をするという立場に立つと、たしかに入試問題ではA1かもしれないが、授業や進路指導においては、もっと広げ、生徒自身が新たな課題を見出していく授業を展開するから、A3とかC3ではないかとなるわけです。

★どれが正解なのか?そこで、北岡さんとそれはどれも正解で、その問いをあるいは素材を、アドミッションポリシーで活用するのか、カリキュラムポリシーの局面で活用するのか、グラデューエーションポリシーで活用するかで振り方は変わるのだと考えると解決するのではないかと仮説を立て、そんな対話をしながら、対話型勉強会を展開しました。途中で、視聴されている方々の中からも参加していただきました。ムチャブリにもかかわらず、快くお付き合いいただいた先生方、ありがとうございました。

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★もし、入試問題がA1・A2ばかりの問題だと、それがそのまま学校の顔としての問いの設定だと誤解されます。ところが、私立学校の授業は暗記型ではないのです。ですから、それを示すには、桜美林のように3つの軸の問題を出題すると、3つのポリシーに関するメッセージを伝えることができます。

★それにしても、対話をしながら、ライブ感満載の勉強会になったのは、北岡さんのおかげです。勉強会の後、対面型のワークショップをしましょうと声をかけてくださった先生もいました。感謝です。やはりそうですよね。いずれ対面型のワークショップを開催したいと思います。私のワークショップは、ダイアード型ワークショップとグルグル型ワークショップが行われるので、偶数人で行うのがやりやすいのですが。

★とにもかくにも、その日を心待ちにしたいと思います。

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2022年6月 4日 (土)

工学院の本物の教育

★昨日、工学院大学附属中学校・高等学校の鐘ヶ江先生(進路指導部主任)と田中歩先生(教務主任)と対話をしました。大学合格実績の飛躍について、興味深い内容となりました。工学院といえば、先鋭的で先進的教育をアップデートし続けている学校で、最近では受験業界もちょっと追いつけない速度です。しかしながら、今、工学院の教育について表現するとなると「本物の教育」という言葉がしっくりきます。そう感じた対話になりました。

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(GLICC Weekly EDU 第81回「工学院大学附属中高 田中歩先生、鐘ヶ江暢子先生との対話ー先進的英語教育と本格的グローバル教育が生み出す生徒の成長」)

★多様で多層な教育の話がいっぱいでてきますが、要は、一般的な今までの進路観のパラダイムを見事にひっくり返した話になったのです。

【図1】

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★【図】のように、一般選抜と総合型選抜の指導をセパレートして考える従来型の進路観のように、合理的効率よく大学実績を出すのではなく、多言語主義・多様性、プロジェクト型思考、AI×DX実装などでポテンシャルを沸き立たせ、その上で、一般選抜を選ぶか総合選抜を選ぶかは、あるいは両方にチャレンジするかは、行きたい大学によるわけです。

★選抜方法を先に決め、それにみあった大学を選ぶのではなく、やりたいことを実現する大学に合格するためには、多様なチャンスがあればそれを生かせる本物の教育を実施しているというわけです。具体的にはどんな学びの環境があるのでしょう。23区の私立中高一貫校にもない八王子エリアで突出した本物の教育がコンコンと湧き出ています。ぜひご視聴ください。

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2022年6月 1日 (水)

新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)公開される

昨日5月31日、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)」が公開されました。表面的には、ソサイエティ5.0や2050カーボンニュートラルなどで語られてきたことのきれいなまとめですが、本気でやろうとするとすごいなと驚くような内容です。

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(十倉委員提出資料から)

★新しい資本主義は、自由放任主義→福祉国家的資本主義→新自由主義のあとにやってくる資本主義ということのようです。市場か国家か、その両極を振り子のように往復してきた変遷から脱して、国家も市場もになる配分がうまくいく資本主義らしいですね。

★国家は、賃金を上げることにより、企業の利益の公正な配分を法律化します。そして、それはますます民間の市場競争を活発化し、商品やサービスのクオリティをあげていく。所得倍増となり、税金も増やせる。

★また、市場は、DXを活性化し、国家はGXを活性化する。もちろん、国家もDXをうまく回るように規制はします。

★それでは、そんなDX人材やGX人材はどこから生まれてくるのか。それは教育未来創造会議が提言している教育からです。

★新しい資本主義実現会議と教育未来創造会議が相互に関連していることがよくわかります。

★夢とテクノロジーとアート思考とアントレマインドを有した新しい資本主義やそれを支える教育を創る人材が、DX人材やGX人材だということのようです。

★しかしながら、DXもGXも相当レベルの高いお話です。したがって、大学のあり方も変えようというわけです。

★2014年以降議論されてきた初等中等教育学校の教育改革及び高大接続改革の話が、経済の話と密接に結びついて提言されるるようになったことは、今までもありましたが、ここまでダイレクトに結びついたのは進化です。

★社会課題と結びつく「主体的・対話的で深い学び」と「探究」に「お金」が結びつく話は、18歳成人にとってなかなか効果的です。ただし、新しい資本主義は格差を生まないようにするわけですから、金と幸福をどのようにとらえるのか、これまた人的資本の捉え返しをしなくてはなりません。

★これについては、この会議のメンバーの1人東京大学の柳川範之教授が提供した資料でちゃんとチェックされています。柳川さんはとても破天荒な生き方をしてきました。変化を創る人とかアントレプレナーのロールモデルでもあります。

★新しい資本主義実現会議にしても教育未来創造会議にしても、実に興味深いメンバーが集められています。しかしながら、資本主義下における配分は所得倍増でも実際には公平になりません。そのうえで税金を増やすわけです。

★それは、経済と自然と知恵を循環させられるDX人材やGX人材を育成するだけではなく、〇〇力強化のための目的もあります。

★新しい資本主義を支える人材は、DX人材、GX人材以外にも〇〇人材がいます。

★トフラーの予測したパワーシフトは、残念ながら逆戻りになる可能性もあります。AIと共生する人智が必要となるでしょう。

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